国鉄ブルートレインのプラモデル(2)
"とれいん"誌を探したらこの製品、32年前の1979年2月号に製品紹介が出ていました。4月号では富田真司さんという方がオシ、オハネ、オハネフの3両を組み立てて、「5月中旬にはオロネと電源車も発売」と書かれていますから、発売開始はこの頃ですね。
私のモデルに貼ってある完成日は1980年で、珍しく手が早かったことになります。
それが今でも新品を入手できます。ネット・オークションで2両を落札し、手持ち未成の2両と併せて4両を組み立てる、といっても、塗装して台車と連結器を取り替えるだけです。編成はオシが2両、オロネが2両となって、実際にはあり得ない組成ですが、走れば判りません(笑) 都合、カニ+オロネ×2+オシ×2+オハネ×4+オハネフ、です。
1.塗装
まず、使った缶スプレーです。
車体色はジェイズの44番、14・24系ブルトレブルー(青20号)です。300mlと量がタップリで、4両を塗っても余ります。ただし、完全な艶消しだったことは、心外でした。オーバーコートをしたら、ピカピカの既組立品と何とか揃いました。
昔は確か、マッハ模型がプラスチック用に売り出したものをスプレーしたと思います。
屋根色はMr.カラーの13番、ニュートラルグレー100mlです。量は4両分でカツカツの雰囲気です。選んだ理由は、既組立モデルとの近似です。
床下の黒はプラスチック・モールドのままです。
なお窓ガラスは、追加購入分が填め込み式となっています。まあ完全というわけではなくて、気持ちの問題でしょうか。
車体側面2条の帯はオシだけが白塗装ですが、他車に合わせてシルバーとしました。
31年前は最初にシルバーを吹いて帯にマスキングテープを貼り、後からブルーを吹いています。今回はデカールを試みました。マイクロスケール社の品番TF-1です。
1.2mm幅に切り出して水張りします。ただし、膜がチリヂリに切れてしまいました。それでも2両分は定着できました。 同社製品は膜材が印刷たということで、こういう使い方には向かないのか、あるいは古過ぎたのかもしれません。
そこでハセガワの「ミラーフィニッシュ 曲面追従光沢シート(品番TF-1)」という製品を使ってみました。 ツヤがいいので、これ、アルミか何かの金属箔と思いきや、ゴムのように伸びます。帯のモールド表面は少し凸凹していますが、完全に馴染むし、貼り損なったら、その部分だけメクッて修正もできます。
ただし、厚さ0.025mmといえど、貼り重ねると段が付きますから、切れ目を入れて重なった分を剥がす必要はあります。
帯材を正確に切り出すには、欲しい幅の線材と、厚みのある定規2枚を使います。皆さんご存知だと思いますが、画の通りで、線材と右側の定規を取り除いてからカッターで切ります。
私の用いている定規は製図用の塩ビ製三角定規2㎜厚で、中学時代の技術家庭科の授業で買わされたものです。
なお実物のステンレス帯は、幅が窓下部80mm、スソ部60mmで、厚さ3mmだと、"とれいん"誌1982年4月号「車輛の視点」に出ています。
3.レタリング
標記類は一応、国鉄末期を目途としています。新しく求めたキットにはJRマークが入っていました。
車番は、31年前の使い差しのインレタを"ダメモト"とばかりに擦ったら、ものの見事に付いてくれました。懐かしい"こみや"のレタマーク、インレタです。
ただし、三ツ星マークは駄目で、Alpsプリンターで自作しました。実物写真から判断してメタリック・シルバーとしましたが、31年前組み立てのモデルは白です。ちょっと大きすぎたようです。キットのデカールは、3つの星が離れてしまっています。
ドア直上の「A寝台」と「B寝台」の電照表示は、シール紙へのインクジェット印刷です。
トイレのスリガラス?も、同じシール紙へ薄いグレーを印刷して、貼り付けました。
「博多行・あさかぜ」の表示は、キット添付のデカールで間に合いました。カニやオシには不必要で余っていた31年前のものも何とか使えました。
4.カニ24の台車交換
一つ困った問題が起きました。
台車が2組、都合1両分、側枠が折れていたことです。103系のスチロール樹脂(?)とは異なり、こちらはエンジニアリング・プラスチックで丈夫なのですが、友人から押し付けられた分の中に破損品がありました。
幸いというか、カニ24がTR66で、手持ちストックに良く似たカツミのDT21があり、振り替えることとしました。
ただ、アリイ製品では台車を止めるビスが車体の組立用を兼ねていて、ちょっとした大工事となりました。
まず、新たな車体組立用のビスとして、台車中心ピンの内寄に2本、長めのM3×30ナベ小ネジを通し、床板下面から屋根板を引っ張る構造としました。屋根の内側にはメネジ孔を明けたブロックを接着します。
ブロック自体は、プラ板各種を貼り合せて作り上げます。接着剤はdリモネン系を使いました。
これの屋根板への接着では、溶剤系を使うと屋根モールドに歪みが出る恐れがあります。 そこで、無溶剤のスーパーXという接着剤を用いてみました。稲葉清高さんに御教示いただいたもので、dda40xさんも激賞(全2回)されています。
使い方は、両面に薄く塗って5~10分待ち、強く押し合わせます。これは、合成ゴム系と同じですけれど、糸引きがホンの僅かで、塗っている間の粘度上昇も緩やかです。使い心地は全くホワイトボンドです。刺激臭もありません。
また、接着面が密着せずに隙間が生じていても、接着剤で埋まれば少しは効く様です。
難点は、固まった後も接着剤の白色が消えないことです。木工ボンドのように透明にはならないのです。白色以外に透明や黒色を売っていますから、必要に応じて使い分ければよいのでしょう。
それと、はみ出した接着剤は固まってしまうと除去が大変です。早めに、柔らかい内に取らないといけません。
塗装は、プラ用の缶スプレーが“ノリ”ます。
接着剤メーカーのサイトに拠れば、空気中の水分を吸収して硬化が始まり、約10分で固定できる粘着状態になる。さらに完全硬化後も弾性を維持して、温度変化などによる収縮膨張にも追従するとのことです。
接着剤は、使う者の感覚というか、慣れや経験に依存する面が大きいので、しばらくあちこちで試してみようと思っています。
台車の床板への取付は、1mm厚の黄銅板を介する方法としました。DT21に付属していたビスのネジ長が短かいためです。長ければ当然、プラスチックで全てを構成したかったところです。
車体高さを出すため、スペーサーに1.2mmのプラ板を挿みました。もちろんスペーサーは床板に接着し、ネジ孔の有効長を確保しています。ビスはM2×4の黒色ナベ小ネジです
なお、寸法取りを間違えて、可笑しなところが多々あります。本来は、黄銅板の長手寸法が5mm短く、屋根固定ビス(M3×30)の位置も2.5mmだけ中心ピン寄です。
5.カプラー取付
連結器はデッドストックのカツミ/エンドウ固定式です。床板の取付孔が2mm強だったので、プラスチック3mm丸棒を削り、接着剤を塗って押し込んで埋め、M2タップ孔を明けてます。情けないのは、この穴明けが、だいぶ傾いてしまったことで、完成後に連結して気が付きました。
車輪などについては、既報の通りです。「国鉄ブルートレインのプラモデル(1)」をご覧ください。
ところでミラーシートの存在は、教えていただいたものです。小菅さんの運転会へ丁寧に仕上げたアリイを持参された方なのですが、情けないことにお名前をお尋ねすることと、作品の写真撮影を失念しています。
側面のカーブが修正され、窓ガラスはハメコミとなっていました。帯のモールドは削り取って、ゴールドの2条ラインでしたから、北斗星でしょうか。
それから、車体側面のレタリングを調べていて、スリット・カメラによる画像サイトを発見しました。「スリットカメラ写真館」と、「鉄道模型製作用参考写真集」です。
そう、特にモデラーだったら憧れますよね。ただし、機材改造の技術とフィルム代というハードルは高すぎました。ソニーα55を選んだのも、スイングパノラマという機能で同じことが出来ないかという期待からだったのですが‥‥。
ブルートレインは、各社からハイレベルの製品が出るようになったものの、未だ未だアリイ製も魅力的ですね。
有井製作所プラスチックモデル
【追記1】模型屋に寄ったら、マイクロエースの新品が積んでありました。1ヶ月ほど前に入荷とのことです。オハネフは1両だけ残っていて購入しました。定価1,500円のところ、税込1,260円でした。これを組み込めば、もう少し長くなります。2013-06-23
【追記2】思い立って、妻面表記のデカールを作ることとしました。ところが、何が書いてあるかが判らないのです。ネットでも、市販の解説本でも見付けられませんでした。実車の竣功図表というか、形式図は、登場時の鉄道ファン誌にあったと思うのですが、それを探すのも億劫です。
カトーのHOモデルにはキチンと表記が入っているのですけれど、模型店でそれを盗み見る(笑)ことができませんでした。
で、類推に次ぐ類推を重ねて右のものをでっち上げてみました。如何でしょうか。何かご存知の方がおられたら、是非ご助言を。2014-01-09
【追記3】RMモデルズ誌の2017年7月号にグレード・アップ記事が出ていました。作者は荻原友也という方、窓周りを切り抜いて0.5mmプラ板をはめ込むという大工事です。心配は突合せ部のヒケが経年でどうなるか、接着剤は何を使われたのでしょうか。それに断面図ぐらい載せてほしかった。
映画「皇帝のいない八月」の"さくら"号が3軸台車とは気が付きませんでした。会社の行事で鑑賞したときには、吉永小百合にハラハラドキドキ……。2017-05-23
【追記4】TMS誌1989年7月号にも加工生地が出ていました。高橋裕博さんです。2020-07-18
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コメント
一応、訂正。
> 稲葉清高さんに御教示いただいたもので
チューブ入りのものは、私も HOJC の M 氏か N 氏あたりに教えてもらったものです。
去年の合運で私が見せびらかしたのは、これとほぼ組成は一緒ですが、スティック糊タイプのものです。おそらく特許があるでしょうから、セメダインとコニシとでは細かいところで違うのかもしれません。
>>お名前を徒にお出しして失礼をいたしました。また種々ご教示をお願いいたします。スティック糊タイプについても、ある用途に試験中で、いずれ披露させていただく予定です。【ワークスK】
投稿: 稲葉 清高 | 2011/07/13 11:10
> お名前を徒にお出しして失礼をいたしました。
いえ、こと私に関しては名前は出されても別にかまいませんよ。ただ、逆に言えば名前が出てたから、「おそらく私が言ったんじゃないな」という事に関しては訂正はしておく必要があるな、と思っただけです。
> また種々ご教示をお願いいたします。
こちらこそ、いろいろご教授おねがいします。
>スティック糊タイプについても、ある用途に試験中で、いずれ披露させていただく予定です。
非常に楽しみです。
もとは、「プラスティックの貼り合わせで変形しない接着剤ないかな」あたりからはじまったのですが、いろいろ使い道がありそうですね。
>>接着剤は原理が難しいので、新製品が出れば状況がコロリと変わり、新しい展開が生まれます。またご教示ください。【ワークスK】
投稿: 稲葉清高 | 2011/07/14 12:56