木造客車に明かりが点灯り
Converting to 2-rail, 6 MTH Trains woodsided passenger cars, NYC's Empire State Express
以前にスリーナイン、NYCの999号機4-4-0をお見せしましたが、これに牽引させる客車を入手しました。
MTHトレインズの64フィート(19.5m)級オープンデッキ木造客車で、幕板にエンパイヤー・ステート・エクスプレスのレタリングがあります。もちろん、正確なESE編成を再現したものでは無くて、同じモールドでUP、PRR、B&O、C&O、CPなどが発売されています。
この3線式モデルを早々2線式に改造しました。【画像はクリックで拡大します】
アメリカの3線式Oゲージといえばライオネルなど、大部分が玩具というか、デフォルメされていて、スケール志向の者の食指が動かないものが多いのですけれど、近年は車輪と連結器を取り替えると見違えるほどにプロポーションの良くなる製品が増えてきました。
ただし、カタログや販売店のサイト、ネット・オークションの写真からだけでは、この辺りが判り難く、当たり外れがあります。
この点この客車は、メーカー自体が2線式化用の専用台車(品番20-89012)を別売していますから、ハナから期待できました。
そして、3線式台車の車輪のみを交換して、2線式化できればラッキーです。分解してみると、台車は集電ローラー部分を取り除けば、そのまま“イケる”ことが判りました。ダイキャストですので、糸ノコでスコスコ切れます。
車輪の軸長が46mmで、軸孔がすり鉢状ですから、昔のアサーン製やウィーバー製の貨車用の、普通の33"(17.5mm径)ピボット車輪が使えます。
また車体高さは、生粋の2線式製品と連結しても違和感が無いし、カタログ写真で見る別売の2線式台車が同じ構成ですから、このままでスケールでしょう。
これらの点は、同じMTHでも、貨車製品とは違います。
車内灯の配線は、一般的な2線式の2輪+2輪集電として、一応台車毎に結線しておきました。片方の台車は3線式の部品を流用したピン・ソケット式にして、抜けばオフとできます。
軸受がピボットで、集電ブラシを設けていないのでチラつくはずですが、面倒なのでそのままとしました。別売の2線式用台車はこの辺りが万全になっていると思います。
連結器は、取付部のモールドが既にケーディー対応となっていて、スペーサー(シム)まで添付されています。ただし、これ、厚さが3mmで、実測すると少し厚過ぎるので、2mm厚のものを新製しました。取付ビスの位置を、横(枕木方向)2本から縦(レール方向)2本に変えたのは、連結器力に対して有利と判断したためです。
なお一部の車端デッキが下がり気味で、連結器の解放ピンを曲げざるをえなかったものがありました。将来的には、デッキを修正したいと思っています。
以上で、安直に6両編成、二+ハニ+ハ+ハ+ハ+イテが完成しました。贅沢をいえば、さらに食堂車や寝台車が欲しいですね。
車体2隅にストーブが設置されています。コーチの座席は前向きです。疎らに配されている人形はプラ製の安物ですね。
屋根上の配管は電灯化された様子を模しているのでしょうか。床下機器は、なかなかよいモールドの空気ブレーキ仕様です。
車端部の手すりは、展望台だけが軟質プラスチックで、他は金属です。
通電してみると、電球による暖色系の照明と緑色の明かり窓が良い雰囲気です。展望車のマーカーライトも点灯します。
ところで、このモデルのプロトタイプを探すと、MR誌が戦争前後に出版していた図面集に1870年製だというラッカワナ鉄道のもの(次の図)、そしてRMC誌の図面集には1886年製のウィスコンシン・セントラル鉄道のものが見つかりました。いずれもモデルより少し短めです。
NYCの999号機の登場は、そのしばらく後の1893年、シカゴ万博のときですから、多少は大型化していて良いのだと、勝手に納得しています。「NYC鉄道スリーナイン"999"」の記事で紹介した、万博展示中の写真にチラリと見える合造車と見比べると、屋根回りなどがよく似ています。
最後に、日本型へ転用できるかと寸法を測ると、車体台枠長は404mm、車体外板幅63mm、レール面上屋根高91mmでした。それぞれを45倍すると、18.2m、2.8m、3.9mですから、高さが0.1mほど、模型にして2mm程度オーバーなものの、国鉄の20m客車を小ぶりとした寸法に何とか収まっていると思います。
例によって「Oゲージの玉手箱」に写真を追加しておきました。JORC関西の次回運転会が楽しみです。
【追記】検索していたら2線式走行の動画を発見しました。New York Society of Model Engineers'という組織のUnion Connecting Railroadというレイアウトで、2011春に高速走行の記録に挑む--てなことだと読み取ったんですけれど‥‥。2011-06-28
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コメント
スケールはちがうけど何だか同じような客車で遊んでますね。
この縁取りは金色ですか? 京阪の1型にもこんなのがついていたような気が・・・
>>もちろん、ブラックストーンに触発されて早々に弄ったものです。この七面倒臭い唐草模様を一両一両、昔の人は手作業で描いたわけで、その技術には驚嘆するものがあります。【ワークスK】
投稿: ヤマ | 2011/06/30 00:05
細かな模様は印刷の可能性はないでしょうか?
日本の話ですが、古い国鉄の記録映画で、縦横1メートルほどある大きな印刷原版を人力で車体に押しつけて、ナンバーや車体表記を手作業で印刷しているのを見たことがあります。
>>おおっ、イモ版ですか! 世界中、至る所でレタリングやライニングが施工されていたのですから、種々工夫されていたはずですね。
投稿: YUUNO | 2011/07/03 08:16