100トン・ハイキューブ・ボックスカーの掟
Do you know what is 100-ton with 100-ton cars?
古いモデルの車輪をプラスチック製から金属製に取り換えていて、思い出しました。
100トン貨車は、直径を33インチではなくて、36インチにしなければならなかったことです。
ただ、情けないことにボックスカーは、どれが100トン車なのかが判らないのです。カバード・ホッパーならソランジていて迷うことはないのですけれど‥‥。
もちろん、アメリカの1トンは2,000ポンドですから、単純に、100トンは20万ポンドです。
ところが、これらの数字を貨車の重量標記と照らし合わせても、一致するものがありません。足しても引いても駄目です。【画像はクリックで拡大します】
上の写真は、ウォルサーズ製のガンダーソン50フィート・ハイキューブ・ペーパー・ボックスカーです。
ここに「LD LMT 189200」、「LT WT 73800」とあります。これはロード・リミット=制限荷重が189,200ポンドで、ライト・ウエイト=空車重量が73,800ポンドだということです。足せば263,000ポンドで、200,000ポンド=100トンを遥かに超してしまいます。250,000=125トンさえオーバーします。
以前からこの辺りが疑問だったので、今回、徹底的に調べてみました。
で、カー&ロコモーティブ・サイクロペディア1984年版のp87に右の表を発見しました。
100トンが263,000ポンドということで、モデルの合計値にピッタリと一致します。
問題は"Capacity Nominal"です。この"nominal"を、辞書で引くと「 〈価格など〉額面(上)の,名目の」、あるいは「名称上の; 名から成る」と出ていました。
また同じ書籍p100の70トン・ボックスカーでは「LD LMT 157700」、「LT WT 62300」ですから、合計が220,000になります。もちろん70トン=140,000ポンドです。
これでハッキリしました。70トン車とか100トン車の呼び名は、積載荷重の、それも名称的な数字のことだったのですね。そういえば、40フィート車の寸法も、車体長ではなくて、車内の長手寸法を表していて、実際の利用者の便に対応しているのでした。
手持ちのモデルを片っ端からチェックすると、「LD LMT」と「LT WT」の合計値は、ほとんどが220,000で、一部が263,000となります。
左写真のBN 287091は286,000で、これは125トン車ですね。50トン車は、古い写真を調べると169,000です。
以上のことから、次のようになると考えました。
"Capacity Nominal"は「呼び積載重量」としています。【追記2を参照】
最大重量は、この間の数字を採るものもあります。中には286,000+77,100=363,100、すなわち164トン!などという誤記も見つけました。ウォルサーズの60フィート車(品番932-6044)です。
手持ちのボックスカーで100トン車は、50フィート・ハイキューブが6両と、60フィート級が6両で、うち10両の車輪がプラスチックの33"径だったので、金属の36"径に取り換えました。
これでの心配は、車体高さが上がって、カプラー高さがどうなるかですけれど、見た目には調整不要だと判断しました。トリップ・ピンだけ僅かに下げたものがあります。
HOスケールは、1フィートを3.5mmに縮小するので、36インチは36÷12×3.5=10.5㎜で、33インチは33÷12×3.5=9.625mmとなります。後者は厳密には9.5mmではありません。すなわち車輪交換によって名目的には(10.5-9.625)÷2=0.4375㎜だけ車体が上がります。
まあ、ピボットの軸長とかの要素もあると思います。
ところで、背が高いハイキューブ車であることの表示は3つです。
妻面では、最上部を帯状に白く塗って"EXCESS HEIGHT CAR"の文字が書かれています。
側面は、両端下部に小さな黄色の長方形プレートがあって、中に"THIS CAR EXCESS HEIGHT"の黒文字、それに車番の右あたりに四角で囲って"PLATE F"と入っています。
しかし、その中で1両、MDW 1779には、妻面の白帯が無いのです。文字はあります。
また"PLATE F"が四角ではなくて丸で囲われています。
実物の写真を探すと、同じように白帯の無い車が見つかりました。規則に時期的な変更があるのかもしれません。
丸囲いについては、トレインズ誌のサイトに"Freight car markings"という解説を見つけました。
それによれば、たとえばプレートCで外形寸法が超過するときに、囲いを丸として、"EXCEEDS PLATE C"と表示するとのことです。
普通に考えれば、車両定規"C"をオーバーすれば、その上の"E"となるはずですけれど、そこまでいかない、ほんの僅かだけ、ということなのでしょうか。
よって、モデルに"EXCEEDS"の語句が無いのは、間違えているのだと思います。
訂正するのに、ちょうどよいデカールがあります。Highball Graphics社の品番AD-11、"Excess Height markings for Plate F Freight Equipment"です。
前出のBN 376399で黄色長方形も、同じシートに含まれるデカールを貼っています。
このHighball Graphics社は、NやOもあって、加えて他社のパーツ類を真面目に扱っていますから、キットバッシャーには便利なところです。
また幾ばくかの写真をCascade Green Forever!に展示しておきます。車両定規のプレートについては、アメリカ型鉄道模型大辞典の項をご参照ください。アメリカの貨車は何トンか?
【追記1】重量基準の表で、125トン車の車輪径が38インチと判明しましたので、訂正しました。また、ホイルベースを追加しました。Mainline Modeler誌1993年10月号p22-26を参考としています。2013-07-22
【追記2】100トン車は1995年1月以降、263,000ポンドから286,000ポンドへ引き上げられたという情報がありました。すなわち、125トン車の車輪径が36インチとなったようです。(MRHフォーラムを参照)。2020-08-10
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コメント
> モデルに"EXCEEDS"の語句が無いのは、
出先だから、もとねたの MR (だったか Mainline だったか) を探せないのですが、ちょっと解釈が違うと思います。
Plate F = Excess Height
で、
Exceeds Plate F はそれをも超えているもの、じゃないでしょうか?
# どっちにしろ Hight じゃなくて Height ね。
>>綴りの間違い、ご指摘ありがとうございました。さっそく訂正しておきました。MR誌については、ぜひまたご教示をお願いいたします。【ワークスK】
投稿: 稲葉 清高 | 2011/07/13 11:37