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2011/07/19

大物車シュナーベルカーの構造学

Conversion and improvement to 2-rail of a Schnabel Car WECX 203, O gauge model by MTH Trains

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 先日、JORC関西の運転会があって、2線式へ改造中のMTH製貨車を持参しました。14軸で搭載重量375トンという大物車です。

 全体のプロポーションは良好だが、線路の凹凸に追随しない足回りを思案中と話していると、鎮目泰昌氏に御自身のレイアウトで走らせてみたらとお誘いを受けました。上の写真で、F9Aは旧アトラス製品を同氏が改造したもの、ブラス製カブースは同道されたdda40x氏がグレードアップ中のものです。【画像はクリックで拡大します】
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 そうしたら、ソコソコ、無事に走るんですね。架線高さもクリアしました。
 勾配の入口と出口は言うに及ばず、カントの出入りでもユックリと走らせれば脱線しません。ただし、スピードを上げると、ダメです。

 これから判断すれば、前後2組の2+2+3軸のユニットはそのままにして、積荷の前後に固定されているシュナーベル・ユニットに、上下方向の自由度を与えるだけで、何とかなりそうです。

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 上の写真をご覧ください。
 製品オリジナルの構造は、円弧状の長孔部分と、ボギーの中心ピンとで、上下の動きを規制していました。3線式ではハイ・フランジで逃げているのでしょう。

 これを、実物と同じように、垂直荷重は前者だけで受けて、後者にはボギー回転中心の機能と、牽引力を伝達するという役割だけを受け持たせる様に、改造します。

4dsc04221 言葉にすると面妖ですが、実際には中心ピンに上下1㎜ずつのストロークを持たせるだけです。
 写真で左がオリジナル、右が改造後です。段付きの段を削るのは糸ノコとヤスリを使いました。ボギー回転すればよいだけで、精度は必要ありません。
 軸の延長は、プラ板で作った1mm厚のワッシャを接着剤で貼り付けました。力が加わりませんから、これで十分です。なお前出のシュナーベル・ユニットをヒックリ返した写真は、中心ピンを改造した後です。

 その結果、次の写真の程度に上下に首を振れるようになりました。これ以上は別のところが当たって難しくなります。

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6dsc04264  それに、鎮目氏から「手で押さえるとレールに追随するので、ウエイトを積んだら良い」と助言されたのを受けて、積荷である変圧器の中に鉛の塊を仕込むこととしました。
 手許にあった550gで、これを2㎜厚のプラ板に貼り付けて、中に置く構造です。もちろん、プラ板で前後左右に動かないようにしています。
 これは、鉛を直接に接着すると、運搬などで変圧器のモールドを壊す恐れがあると考えたからです。ウエイトは別に保管していて、運転の都度、中に入れます。

 ちなみに、トランスのプラスチックは185gで、前後のユニットはそれぞれ570gです。運転整備重量は、1.875㎏ということになります。

8dsc04222 またこの製品は、トランスを外して回送する姿も再現できるようになっていて、そのための鉤ギ板が付属しています。

 これは、実際にやってみると扱い難かったので、別に持っていて差し込むこととしました。まあ、この姿で走らせることはあまりないとは思います。

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 プロトタイプのWECX 203を紹介しているサイトがあります。
 それによれば、1976年にウェスチングハウス・エレクトリック社が購入したとのことです。空車重量は150トン、最大積載重量375トンで、最大総重量525トンです。現在はWEを継承したABBの大形変圧器部門がインディアナ州マンシーMuncieで保管していて、車番はPTDX 203となり、コンレール、後にノーフォーク・サザン鉄道が運行を受け持っているようです。

 図面によれば、前後ユニットの長さは461インチ=11.7m、1/48では244㎜で、モデルと合致しています。積荷の長さはなぜか、スケールで22㎜ほどモデルの方が長い167㎜です。
 全長は遊間があって正確に測れないものの、650㎜を少し超えた辺りとなります。

 このモデルをご覧になったdda40x氏によれば、腰高で、台車を繋ぐスパン・ボルスターの厚みが強度的に足りない感じとのことでした。
 図面に実寸が入っていませんが、比例計算で車高を算出すれば、実物はOスケールで120㎜前後となり、モデルの126㎜の方が6㎜程度高いことになります。HOゲージのOMI製品をお持ちの方が「長さ方向にデフォルメされていないか」とおっしゃったのは、この辺りの印象だと思います。
 なお、車輪径は33インチで正解です。

 ただし、変圧器のレール面上のクリアランスが約5㎜ですから、修正はちょっと大変そうですね。3線式の改造工作ですから、こんなものでしょう。

 シュナーベルカーについてはアメリカ型鉄道模型大辞典にも記しましたが、Car & Locomotive Cyclopedia 1997年版のp167によれば、許容軸重の小さなヨーロッパ、特にドイツとイタリアで最初に開発されたとのことです。"schnabel"はドイツ語で"beak"、すなわち鳥のクチバシの意味で、その先を台車に載せている形です。

 アメリカでは1960年代後期から1980年代初頭に掛けて、原子力発電などの巨大な機器を運搬するために幾ばくかが建造され、多くは現在もそのまま使われている。
 運行に当たっては予定区間の建築限界とクーパー荷重をRailway Industrial Clearance Association (RICA)に確認する必要がある。運転速度は、積載時が24-48km/h、空車時が40 -80km/h。カーブやトンネルでのクリアランスを確保するために上下左右を微調整できる油圧駆動装置を備えているものがある‥‥とのことです。
 Oゲージの玉手箱もご覧ください。

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【追記】とやまさんからコメントを頂いて、Googleマップにペンシルベニア州ニューカッスルと入力して探せば、すぐに引込線のたくさんある大きな工場が見つかりました。これでしょうか?
MrToyama1

 どうも違いますね。ラウンドハウスというならこっちでしょうか?
MrToyama2
2011-08-16

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コメント

 拝見して急に欲しくなり、片っぱしからオークション、販売店を見ています。意外と高値安定で、仰るような価格では手に入りそうもありません。
 入手したらすぐスパン・ボルスタあたりを作り直そうと、図面を描いています。やはり、スパンボルスタの高さが不足しています。折れないように、かなり深く下まで下がっています。
 車輪径は仰せのごとく33インチであるのは意外です。車軸間隔が均等でないとおもちゃっぽく見えるように感じます。
 良いものを見せて戴きました。

>>たぶん、しばらくしたら再発売されるとは思うのですが‥‥。そういえば新構想車導入のとき、軸配置変更による連行荷重をFortranで計算プログラムを組み、検討したことを思い出します【ワークスK】

投稿: dda40x | 2011/07/20 09:26

こういう大物車は模型では1両でも様になって人目を引くし、最近は日本でも滅多に見られなくなりましたので、実際に見ることができるとちょっとラッキーです。
ところでPTDX203は、ペンシルベニア州ニューカッスルNewcastleにある貨車の修理会社の敷地内に、少なくとも数年前から居ます。
この近所でCaboose Rideのイベントが毎年あり、今年は8月14日がそのイベントデーだったのですが、あいにく天気が悪いと予報されたせいか急に中止(延期?)になってしまいました。実際の雨は朝方だけで、昼間は薄日が差していましたが。
そこでその車両修理会社へ回ってみたら、やはりPTDX203は灰色塗装のABBのロゴ付きで鎮座していました。
他にも大物車が大小合わせて数両、さらに特定の用途用?に改造されたCabooseも見えました。ただし敷地は金網で囲まれており、車両の周辺に積まれた雑物の間に押し込まれた状態、この季節は草も延びていて、ファン的な目で見ると条件が悪いです。
ターンテーブルは撤去されて地面は埋められていますが、メインのレンガの建物は扇形庫が利用されていて、そこはかつてのP&LEのエンジンハウスだったところのようです。

>>うぅぅむ、写真が見たい‥‥というわけで、グーグル・マップで探した結果を本文に追記しましたが‥‥【ワークスK】

投稿: とやま | 2011/08/16 07:07

地図のリンクを貼ろうか迷ったのですが、僅かなヒントでも捜されたのは脱帽です。
ご要望にお答えして、掲示板に実車の写真を載せさていただきました。
正解は後者の場所で、正確に言えば下のラインの切れた僅か下(南)の右寄り(東)です。
ただし見物にしても適切な場所では無いことをお断りします。

>>早速にも写真をご披露いただき、ありがとうございました。こちらのグレーの方が日本ではウケそうですね。それにしてもこの線路配置は模型的‥‥【ワークスK】

投稿: とやま | 2011/08/16 22:36

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