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2011/07/04

珠玉のミニ・ハイキューブ・ボックスカー(1)

Modifying Athearn's Mini High-Cube boxcars in HO gauge

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 このところ手持ちモデルのチェックに余念のないワークスKでは、40フィート・ハイキューブ・ボックスカーを持ち出してきました。
 40フィートと極端に短いながら背が高く、コケティッシュな魅力を持つ貨車です。「ハイキューブ」といえば、とてつもなく長い86フィート(26m級)が知られていますが、同じく5mを超える車高で、半分以下の40'(12m級)もあるのです。【画像はクリックで拡大します】
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 今回の思惑は、カプラーの純正ケーディー化と、車輪の金属化です。
 モデルは、1995年にブルーボックス・キットで発売となったBN色2種類各1両と、2008年発売のRTR完成品1両の、合計3両です。2種類というのは、リブサイド+スライドドアと、フラットサイド+プラグドアです。

 旧キットはBNラージロゴだったのに対して、新RTRはBNスモールロゴという点が購入理由で、全体の製品構成に進歩があるわけではありません。
 車輪が既に金属製、屋根はシルバーのボカシ塗装となっていて、ブレーキハンドルがグリーンに塗装されているところは、嬉しくなります。
 ただ屋根車端部の塗り分けは、如何にも眉唾です。

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 とっ、レールに載せてみると、これはダメです。
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 車体高さが異様に高くなっています。
 「ハイキューブ」は、なにも車体高さを高くするという欲求ではなくて、車内に天井の高い空間を確保したいという需要から設計されていますから、当然、床面高さも極限まで下がっているはずです。ここは重要なポイントです。

 カプラーも高めで、下回りの構成がキット時代のままです。3両一緒に改良することとしました。

 次の写真は、奥が旧キット(構造がまったく同じAARボックスカーを示す)で、手前が新RTRです。
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 台車が完全な新設計で、中心ピンがプラス・ネジ頭、鉄板の幅が2㎜広がって27㎜となっています。鉄板幅は重量のRP20.1適合化でしょう。

 さて、車体高さが上がってしまった原因です。
 まず、台車中心ピンのボスですね。これの高さが0.7mm、高くなっています。台枠の厚さで測ると、以前が4.2mmで、今度が4.9mmです。
 それと、鉄板が床板下面に両面テープで接着してあります。このテープの厚さが0.3mmほどでしょうか。これで全体が1mmほど上がってしまったのだと思います。

 そこで、鉄板代替用プラ板の1.5mm厚を、新RTRだけ0.7mmとしました。カプラーはノーマル・シャンクの#5で、1.5㎜のシムを噛まします。【このときはプラ板に白色を使っていますが、その後、黒色が発売になっています】

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 結果は、もう0.2~0.3㎜ほど下げられたら完璧でしょうか。そのためにはプラ板を0.5mmとせねばならず、接着による変形が怖いですね。
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7dsc04144 なお、プラグドア車には、床板外れ止めのポッチがあるのに、スライドドア車にはありません。こちらは完成したら軽く接着剤を流しておいた方が安心です。

 床板の改造方法の詳細は、「アサーン・カプラー高さの続報」をご覧ください。これを機会に少し校正しておきました。

 ところで、実車の知識、情報は、断片的です。BN貨車の解説書に、モデルの車番前後が抜けているのです。

 プルマン・スタンダード社が"Hy-Cube"と名付けて1960年代後半に製造したボックスカーは、BNの前身のCB&QとNPが保有していました。図面が、MR誌の1989年7月号に掲載されています。
 ネットのレールロード・ピクチャー・アーカイブに出ているBN 281441と、BN 281460がこれらの引継車でしょう。しかし、アサーン製品が、車体スソの形状やリブの有無などから、これでないことは明らかです。

 写真のUPモデルはアトラスO製品です。
 HOゲージではHi-Tech Detailsが発売しています。塗装済みの“するめ”キットですから、空恐ろしくて私には組む勇気が湧いてきません。(“のしいか”キットでしたっけ?)
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 PS社以外ではTransco社製造のAT&SF、Bx-108という型式の図面とモデルが、RMC誌2004年10月号に出ています。フラット・サイドにスライド・ドアで、アサーンの2種類を購入して組み合わせなければならないという、お金の掛かるスタイルです。

 アサーン製品ズバリの"Athearn U.P. 40' Hi-Cube Box Car"という記事が、Prototype Modeler誌の1980年12月号にあるらしいのですけれど、同号のTrainLifeでの公開は未だです。

 アサーン・スタンダード・ガイドに拠れば、発売開始が1969年2月だというので、その辺りのMR誌を探しても製品紹介や広告は無いし、実物技術者向け資料のカー・ビルダーズ・サイクロペディアにも出てきません。
 まあ、こうやって模型が発売されているのですから、全くの絵空事ということはないはずなのですが‥‥。

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 幾ばくかの写真をCascade Green forever!にアップしておきました。
 また、ハイテク・ディテールズ社のキットを組む話を続けます。2011-08-12

【追記1】Tony Cook氏のサイトに「みにくいアヒルの子Ugly Duckling」と題して、これらのモデルの探求を発見しました。
 それに拠れば、プラグドア車は、UPが1967年にオマハの自社工場で製造したBF-50-4という形式で、アサーンの製品化は1970年。バックマンやライオネルHO、タイコ、AHMも発売している。スライドドア車は、PC&F社が1970年代にSPとSSWへ供給したB-70-36とのことです。
 やはり、ヤヤコシかったんですね。2011-07-29

【追記2】クッション・カプラーに改造しました。ここです。2015-03-11

 

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珠玉のミニ・ハイキューブ・ボックスカー

(1)アサーン製RTRブランドの車高を下げる(BN)

(2)ハイテク・ディテールズ製キット組立(BN,CB&Q)

(3)アサーン製のクッション・カプラー化(BN)

(4)バックマン製のクッション・カプラー化(UP)

(5)アサーン製のハイドラ・クッション化(SSW,VCY)

(6)バックマン製ジャンクの再生(CB&Q)

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