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2011/08/19

ボックスカーのルーフウォーク撤去作戦(1)

How to remove roof walks of boxcar models assumed the 1970s

intermountain

intermountain インターマウンテンの40'ボックスカーにBN色がラインナップされていたので、嬉しくなってクリックしてしまいました。

 届いた包装を解くと、意外にも、屋根上の歩み板がありません。
 そして、側面のハシゴの根元には、ちゃんとその旨の表記まで印刷されています。

 メーカーがここまでやってくるとは、少なからずショックです。当方もフンドシを締め直す必要があります。【画像はクリックで拡大します】

 ご存知のように私が拘っているBNは、1970年にGNやNP、CB&Q、それにSP&Sの4鉄道が合併して発足した鉄道網ですから、このスキームに塗られたボックスカーには基本的にルーフ・ウォーク、またの名をランニング・ボードが無いのですが、今まで私は、グリーンに塗られていれば満足というか、全く無頓着でした。

 正確に言うと、1966年から新造車や改造車が無くなり、既存車も以後、適宜撤去されています。
 Car & Locomotive Cyclopediaの1974年版に掲載されている、貨車に備えるべき安全装置の図のうち、歩み板を撤去する場合の指針を次に引用します。

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 つまり、手ブレーキハンドルが上部にあるモデルは、次の5つの要件を満たす必要があるということです。保有車両を引っ張り出すと塗装済は8両で、うち7両が40フィート車でした。

(1)歩み板を取り除く。

(2)Bエンド(手ブレーキ寄)の側面ハシゴの根元に注意書きを表示する。

(3)Bエンドのハシゴの直上、屋根上にL形の手掛けを付ける。

(4)Aエンド(反手ブレーキ寄)のハシゴは、下半分とする。

(5)両エンド中ほどに横1本で、手すりを通す。

インターマウンテン製は、このうち(1)、(2)と(5)がクリアです。
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32dsc04834 (3)のL形手掛けは、細部に拘らず0.3mmの線材を曲げて取り付けます。

 (4)のハシゴ半分化は、別付け部品ですから、切り取るのはニッパーでパチンパチンと簡単です。
 ただし、塗料が回りきっていない陰の部分とか、切り口に、タッチアップが必要です。

 なお歩み板の脚は、中間部は残っている場合が多いようですが、車端部は必ずキレいに取り払われています。

 次の写真が完成状態です。Aエンドの注意書きを消して、撤去後の塗り残しをレタッチしましたが、デイトナグリーンは失敗でしたね(笑)
 インターマウンテンのBNグリーンは総じて濃すぎます。
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ブランチライン製は、屋根歩み板が後付けで、穴も小さいので、撤去と孔埋めは楽です。
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42dsc04838 また、ハシゴも後付けで、取り去っても吹き残りはありません。ただし、パーツの塗りが不完全なので、タッチアップは必須です。

 横一文字の手すりには、中間の支えとしてアイボルト(ディテール・アソシエーツ品番2206)を使いました。この辺り、実物は様々な処理となっていますが、モデルは一律にこの方法としました。

 次が完成写真です。色の明るいのが気になった屋根全体を塗り直しています。ハシゴや手ブレーキのレタッチは成功ですが、引戸上のタック・ボードのように少し大きい面積となると難しいようです。

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アキュレール製は4両が在籍していました。うち1両が50フィート車です。
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25dsc04844 いずれも歩み板を取り去ると、取り付け孔が空いていますから、プラ棒で埋めます。

 吹き残りに関しては、屋根全面にBNグリーンを吹き付ければ、色調が少しぐらい異なっても目立ちません。

 難しいのは、Aエンドのハシゴ半分化です。
 車体のモールドと一体となっていて、削り取る労力を考えると気が遠くなります。
 そこで、Bエンドと同じスタイルとすることにしました。
 すなわち、注意書きとL形手掛けを追加しています。
 これで辻褄は合いますね(笑) 妻面が見えないアングルなら、Bエンドと一緒です。

 なお、アキュレールのBNグリーンは少々明るめで、ツヤ消しが強めです。オーバーコートでツヤを揃えたら、全面塗り替えの屋根も違和感が無くなった感じです。
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MDCラウンドハウス製(品番1103)は、「モダン」を謳っているだけに、歩み板が無く、Aエンドのハシゴがちゃんと半分となっています。
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52dsc04840 残念なのは、さらにBエンドの側面も半分なことで、これは屋根まで延長しなければなりません。プラスチックの細い線材で適当にデッチ上げました。接着剤がはみ出しますが、タッチアップ後にツヤケシのオーバーコートを掛ければ、目立たなくなります。

 なお、手ブレーキハンドルと、床下四隅のステップが黒モールドのままですから、BNグリーンを差しました。これで結構、イメージが変わります。
 40フィート車のドア幅が普通6フィートのところを、このモデルは珍しくも8フィートで、売り出された頃は結構貴重だったようです。
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ステップを手直しして写真を再撮影 2016-01-09

C&BTショップ製も、歩み板がありません。
 Aエンドのハシゴが車体と一体のモールドですから、アキュレール製と同じ考え方で、屋根上のL形手掛けと、ハシゴ根元の注意書きを追加しました。

 また、色が全体に薄めで、ドアはプラスチックの材質のままです。これもオーバーコートで、なんとか見られるようになりました。
C&BT Shops

no_running_board_stencil ところで、肝心カナメのハシゴ下部の注意書き"Keep Off Roof - No Running Boards"は、インクジェット・プリンターでデカールを自作しました。例のK-Trading社の製品です。作成、貼付の詳細は過去の記事をご覧ください。

 ただし、解像度がイマイチでした。左の一番下はオーバーコート後です。
 モデルとして眺める分には雰囲気が出ているのですが、拡大するとインターマウンテンとは月とスッポンです。
 デカール製品が発売されたら、それを求めた方がいいですね。

09dsc04741 また、屋根上のL形の手掛けは、穴あけ位置を、端から2.5mm、間隔は5mmとしました。L形の線材が0.3mmで、角のところの垂直部材が0.5mmです。屋根上面との隙間は0.7mmとしました。もちろん、位置決めにはテンプレートを用いています。
 また、接合部には例の粘着弾性接着剤、スーパーXです。

 この丸線の材質は、リン青銅です。
 手すりの曲げは、コ形なら簡単なのですが、これを真ん中で90度曲げると、途端に難しくなります。角度を出せば、位置が狂い、間隔に注意を払えば、片側が浮いてしまうといったアンバイです。

 リン青銅線の経験が無い方は、硬くて曲げ難い、と思われているかもしれません。ところが、これが凄いのです。間違えて曲げても、真っ直ぐに戻して、0.2mmだけ位置をずらし、また曲げられます。2度、3度と繰り返しても大丈夫です。
 この特性が日本で最初に紹介されたのは、TMS誌1994年10月号でした。SPのSD40を2両、キットバッシュする星野信夫さんの記事で、「曲げ直しがきいて、弾性と粘り」があると記されています。

 まあ、騙されたと思って、ぜひ一度お試しください。黄銅線をボキボキ折っている苦労が昔日のものとなります。

【追記】arx_ph.Dさんの"Boxcar Red Collection"に、手ブレーキハンドルが上部で、サイドのラダーが下半分だけという車が登場しました。クリンチフィールド鉄道のCRR 7011という50フィート車ですけれど、リンクされた実物の写真には、上半分を撤去したような形跡も見えます。ううぅぅむ、ミステリアスです。2011-08-27

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