国鉄貨車:エンドウのブリキ製ツム1000
もちろん、この型式はブラス・キットを安達製作所が発売していますから、細密化は全く無意味です。
要は、足回りにはエーダイのパーツを流用して、車体にレタリングを施せば、ソコソコ見られる姿になるだろうという思惑です。
前回のレ12000と同様に下回りが一体で外れると思っていたのですが、こちらはハンダ付けでした。ハンダを削ってみたものの、十分に流れてしまっていて無理です。
そこで、表面の飾り軸受を剥がして、ここにエーダイの軸受モールドを貼り付けることとしました。
飾り軸受は3つのツメで取り付いていました。
蛇足ですがこれ、内側が途轍もなくシャープです。外側の甘さからは想像ができず驚きました。
エーダイの軸受モールドは、軸孔部分をサラって、スーパーXで貼り付けました。長さは、ブリキ製オリジナルの内側軸受に合わせて切り詰めています。
また、内側軸受は、ブレーキシュー受の突き出た部分を糸ノコで切り取る必要がありました。ウエイトに入った傷はこの時のものです。
ブレーキシリンダーは、一旦プラ板にネジ止めして、それを床板に貼り付けました。
側ブレーキ・テコの軸受は、片方をこのプラ板の縁に接着しています。
側梁側面の6個のプラスチック小片は、引戸の支えを模しています。原理的には変ですが、感じは出るはずです。1㎜の角線を2㎜長に切っただけです。
上回りでは、屋根端部の厚さ表現がポイントです。国鉄貨車特有の屋根布キャンバス処理方法ですから、プラ材と接着剤を駆使して、何とか形にはなりました。
妻面が平らではなく、凸型に膨らんでいて、細工は大変でした。
少し大きめの材料を接着して、後刻に削るのですが、都合よく一発で出来るものではありません。瞬間接着剤だけではダメで、スーパーXやエポキシを総動員しています。
ちょっと、泣き言になってしまいましたね。私には、それほどの難事でした。
塗装に関しては、こちらのツム1000は、あちこちが錆びて汚れも目立つことから、全体に黒色を吹き付けることとしました。
ところが、ここで大失敗をしました。
ブリキだからと金属用のラッカーを吹き付けたのは良いのですけれど、下回りのマスキングをコロッと忘れていました。で、プラスチックの表面がモロモロです。
まあ、ツヤ消しを吹いて目立たなくなった‥‥ということにしておきます。
あとは例によってアルプス・プリンターによる自作デカールを貼り付け、オーバーコートを吹いて完成です。
引戸は接着剤で固定しています。手すりは、一切追加していません。
寸法では、長さ89㎜はブリキ・シリーズ共通で、幅30.5mm、屋根高さ44.5㎜ですから、スケールと比べて全体に僅かに小振りです。
ところで、このツム1000は、ブリキ貨車の中では魅力的な存在だったと思います。特有のルーバーがプレス製法とマッチしていて、貴重な存在でした。“プレスのエンドウ”を代表する製品といったら言い過ぎでしょうか。
なお、ラッセル車のキ100は別格でした。
でもルーバーは、ちょっと窪みの浅いところがイマイチです。もう少し薄い板を使うとか、黄銅板にするといった方法は無かったのでしょうか。あるいは、金型が新しいうちはシャープだったのかも知れません。
ウエザリングで、凹部に色を差すという方法はあります。
このルーバーの形状は、鉄道史資料保存会編「1950年代 国鉄貨車明細図集」、ツム1(ツム1000のオリジナル設計)の引戸の図で詳細が判ります。黄色の丸の部分に寸法があって、窪みの天地が50mmで、深さが25㎜、さらに窪みと窪みの間が25㎜と記されています。もちろん、この三角形の上辺が開口です。
さて、真横から遠望すると、ガーランド型ベンチレーターがスケスケなのは御愛嬌です。
これでブリキ貨車が2両、我が編成に加わりました。運転会で走らせたら、ネタは直ぐにバレてしまうでしょうか。
エンドウのブリキ貨車については、レ12000のディテールアップ例と、「エンドウ・ブリキ貨車の資料」もご覧ください。
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