国鉄貨車:エンドウ・ブリキ製の資料(2)
Sources of tin plate freight car models, manufactured by Endo, part 2 (written originally on 2011-10-27)
エンドウ貨車の情報がTMS誌にあるとは、驚きました。
1960年代の同社広告が貨車の新発売を逐一伝えているのです。これを整理してみようと思い立ちました。
最初に広告自体のスキャン画像を並べ、最後に一覧表をお見せします。
まず1961年10月号で、これが同社のTMS誌初登場です。ただし、中身はレイアウト用品だけです。
会社の名称は、有限会社遠藤商店模型製作部でしたが、本業が他にあったのでしょうか。"TER"は、Tokyo Endo Rail Co.の略ということになります。【画像はクリックで拡大します】
翌月の62年11月号から貨車が登場します。レ12000とチ1000でしょう。レには型式番号が入っています。
同年12月号ではタンク車、たぶんタム6000が追加です。チにステークstakeが無くなりました。
63年2月号では、大幅に増えます。トラ45000、カ3000、ヨ5000です。
63年4月号では、ワム60000、ワフ35000、ツム1000、ワム90000が追加です。
63年9月号の増加は、セム6000(製品は自由型ゆえ、後年セ6000と呼称)、セムフ1000、トムフ1、ウ300、レム400、ワム80000です。
64年1月号はオールラインナップで、セ3000は、既出のセ6000だと思います。
引用部分は1頁大の一部で、この下はレイアウト用品です。
64年10月号は、チラ1、のちのコラ1ですね。コンテナの表記が"JNR"ではなくて、"TER"になっています。
64年12月号は、初めてボギー車が登場します。タキ3000、トキ1500、チキ2500です。
65年6月号は、4台車式の大物車、シキ60です。
65年12月号は、オールラインナップの図柄です。新規は、タンク体の長い2軸車タム500です。
とりあえず、以上で代表的な型式が判ります。
ただしこれ以降しばらく同社広告は、新発売時期を特定するのに役立たなくなります。カツミの方に載るようになるからですが、それは単にコメントで「ワキ10000 生産中」という程度で、面白くも何ともありません。
新発売時期とは一致しませんが、エンドウ広告から高速貨車とラッセル車を引用しておきます。
まず67年8月号は、高速貨車の揃い踏みです。また中央下縁には、ミ10です。
68年6月号はキ100です。「?V19」が思わせ振りで、動力車に載せようと開発中だったモーターですね。
76年9月号はタキ9900です。【追加2012-05-20】
以上の情報を基に、一覧表を作ってみました。見落としがありましたら、ご御教示ください。
エンドウHO製品のTMS誌初出号(1962-68年)
型式 | 年月号 | 備考 | カタログ | Train誌 |
---|---|---|---|---|
ワム23000 | ワム90000と同型 | ※ | 01.02 | |
ワム60000 | 63.04 | ※ | 01.02 | |
ワム70000 | ※ | 01.02 | ||
ワム80000 | 63.09 | ※ | 01.02 | |
ワム90000 | 63.04 | ※ | 01.02 | |
ワキ8000 | ※ | 05.03 | ||
ワサフ8000 | ※ | 05.03 | ||
ワキ10000 | 66.12 | カツミ広告に「生産中」と | ※ | 05.04 |
ワフ35000 | 63.04 | ※ | 01.02 | |
ツム1000 | 63.04 | ※ | 01.02 | |
カ3000 | 63.02 | ※ | 01.02 | |
ウ300 | 63.09 | ※ | 01.02 | |
レ12000 | 62.11 | ※ | 01.02 | |
レム400 | 63.09 | ※ | 01.02 | |
レム5000 | 68.01 | カツミ広告 | ※ | 01.02 |
レサ10000 | 66.12 | カツミ広告に「生産中」と,注1 | ※ | 05.03 |
レムフ10000 | 67.05 | カツミ広告,注1 | ※ | 05.03 |
トラ45000 | 63.02 | ※ | 01.02 | |
トキ1500 | 64.12 | ※ | 05.03 | |
トムフ1 | 63.09 | ※ | 01.02 | |
チ1000 | 62.11 | ※ | 01.02 | |
チラ1 | 64.10 | 後のコラ1 | ||
チキ2500 | 64.12 | ※ | 05.03 | |
コラ1 | チラ1と同型 | ※ | 01.02 | |
コキ5000 | 67.08 | 注1 | ||
コキ5500 | ※ | 05.04 | ||
コキ10000 | 67.08 | 注1 | ※ | 05.04 |
コキ19000 | ※ | 05.04 | ||
コキフ5500 | ※ | 05.04 | ||
コキフ10000 | 67.08 | 注1 | ※ | 05.04 |
ク5000 | 66.12 | カツミ広告に「生産中」と | ||
シキ60 | 65.06 | ※ | 05.03 | |
セ3000 | 64.01 | セ6000の錯誤の模様 | ||
セ6000 | 63.09 | セム6000の自由型 | ※ | 01.02 |
セムフ1000 | 63.09 | ※ | 01.02 | |
ホキ2200 | 66.12 | カツミ広告に「生産中」と | ||
ミ10 | 67.08 | ※ | 01.02 | |
タム500 | 65.12 | ※ | 01.02 | |
タム6000 | 62.12 | 型式名はタム5000 | ※ | 01.02 |
タキ3000 | 64.12 | ※ | 05.03 | |
タム2300 | 68.01 | カツミ広告 | ※ | 05.03 |
タキ9900 | 76.09 | ※ | 05.03 | |
ヨ5000 | 63.02 | ※ | 01.02 | |
キ100 | 67.12 | 注2 | ※ | 05.03 |
DD13 | 67.02 | 製品紹介は67年11月号p724 | ※ | |
キハ02 | 66.01 | 製品紹介は66年5月号p311 | ※ | |
キハ17 | 66.08 | カツミ広告 | ※ | |
キハ18 | 66.10 | ※ | ||
キハユニ18 | 67.09 | カツミ広告 | ※ |
注1:67年8月号エンドウ広告に「DD13に引き続き高速貨車が各種揃いました」とある。
注2:カツミ広告に「近日発売」。製品紹介は68年1月号。エンドウ広告での初出は68年6月号
「カタログ」欄は、前回にお見せした同社'80-'81年版のそれに登場する型式です。
やはりTMSは、情報の宝庫ですね。
ついでに、DD13と気動車を加えておきました。
なお、エンドウの貨車特集を"とれいん"誌に(再)発見しました。
2001年2月号が化粧箱と2軸車で、2005年3、4月号がボギー車です。いずれも南口康弘氏の手になる記事です。ここに出てくる型式を前述の表に掲載号を記載しておきました。
全型式を網羅しているとのことですが、それぞれの発売初年についての言及がないので、当方の記事がお役に立てるものと存じます。
ところで、この2005年4月号に、エンドウでは無いカツミの貨車が載っています。ワキ1000とワムフ100、それに例のプラスチック製ワム90000とトム50000です。
実は、これ以外にセキ3000とホキ400が、TMS誌の1967年8月号カツミ広告に「真鍮製貨車のバラバラキット、台車別 各400円、好評発売中」と出ています。こちらはアダチの製造でしょうか。
ク5000やホキ2200も曰く因縁がありそうです。
-この記事は、「国鉄貨車・エンドウ・ブリキ製の資料」から一部の記述を切り離して、全面的に書き換えたものです。また、「エンドウ以外のブリキ製のこと」もご覧ください。
また3線式OゲージのコレクションはOゲージの玉手箱にあります。2012-03-31
【追記】とれいん誌の2012年6月号p88に、レム400、チラ1→コラ1、それにチ1000のバリエーションが解説されています。林信之氏の「“林”発掘再生工場」です。2012-07-08
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