国鉄貨車:カツミ製ワム90000の加工
値段も360円と手頃で数を揃えるには好適でしたので、もう少し欲しいと思ったものの模型店では品切れ続きだった記憶があります。
同時にトム50000も出ていますが、こちらは妻板の背丈が低い上に板厚が厚くて、食指が動きませんでした。
そうこうしていると中村精密から新製品が売り出され、さらにエーダイの超安価なプラモデルが出て、興味はそちらに移ってしまいました。
ただし、同シリーズのワム23000では、このワム90000の雰囲気を出すことが不可能だった点が不思議でした。
ワム23000はワム90000へ改造されたと、新版なった誠文堂新光社「国鉄客車・貨車ガイドブック」1971年刊に記載されていましたから、何度も首をひねったものです。
改めて寸法を測ってみると、中村精密/エーダイ(写真左)はカツミ(同右)と比較して、ドアの幅が2.5mm狭く、車体は4㎜長い。車体幅は1㎜狭い。レール面上の屋根高さは2㎜も低いといった調子です。
このときは、同じワム23000でも種々あったのだろうと、妙に納得していました。
さて、カツミのワム90000での不満は下回りです。
広告写真では、モールドがシッカリしているように写っていますが、私の購入品はいくぶん崩れていました。軸バネを支える側梁がノッペリしていて、もちろんブレーキシリンダーとシューがありません。【ここに示した箱付の製品写真は、中古を新たに入手したものです2012-05-03】
直ぐに、軸受まわりのモールドをエーダイ製のそれに取り換えました。これで、ブレーキシューが付けられます。つぼみ堂製のブレーキシリンダーも、このときに取り付けました。
鉄板を「コ」の字形に曲げた内側軸受の構造は中村精密製と全く一緒で、軸間距離が2㎜短い51㎜でしたから、側梁の部分を切り詰めまています。
中村は、この鉄板構造を踏襲したのだと思います。
屋根にはエコーモデルのルーフィングサンドで、レタリングはポスターカラーです。当時はツヤ消しのオーバーコートなどという洒落たものが無く、文字の部分を透明ラッカーでナゾッています。
そして今回、分解してみると、中のウエイト鉄板が錆びだらけだったので、塗装し直しました。例のBNグリーン仕上げです。このネジがカプラー取付も兼ねていますので、ケーディーは#6とせざるをえません。
床板の車体への装着は単なる填め込みなのですけれど、渋さがホドホドで、この寸法管理には感心します。
さらに側ブレーキまわりを取り付ければ、約40年ぶりに完成です。
今回は忘れずに、車輪の裏も塗って、手すりにもパクトラ・エナメルで白色を入れました。
ところで、この製品の紹介は、鉄道模型趣味誌の1969年9月号です。
プラスチック製の軸受まわりを指して、「外側はプラ成形のほりの深さで断然実感味があり、ドロップフォージング製やダイカスト製パーツ4個を床に固定したものより合理的」と評価しています。
また「トムの方は以前に発売されたことがあり、今回は下まわりを改めての再登場である。‥‥型が古いためもあっていささか粗く、めくれも見られる‥‥」と記しています。
探してみると、その6年前、63年1月号の広告に登場していました。
アオリ戸と妻板の厚さを正直に写しているところが好感の持てる広告ですね。
なお、昔に仕上げた手書きのレタリングは、当然イマイチですけれど、そのままとしています。足らない検査標記なども付け加えないこととしました。
カトー製品と連結しても、走れば一緒です。
【追記】他のワム90000のモデルと較べてみました。真ん中がカツミで、左がエンドウ、右がカトーです。(拡大画像は横方向にスクロールします)2011-10-20
【追記2】とれいん誌2005年4月号の、なんこう・やすひろ氏によるエンドウ・ブリキ貨車の記事の中に、このワムとトムの紹介を、(再)発見しました。ワムはキットも発売されたとのことです。2012-01-10
【追記3】中古で新同品を入手しましたので、製品のままの写真を入れ換えました。
ブログ「ちゃみおか発」によれば、これを2001年に新品で入手したら、パッケージと連結器だけ変更されていたとのことです。2012-05-09
| 固定リンク
「日本型貨車製品資料」カテゴリの記事
- 国鉄貨車:エンドウ以外のブリキ製のこと(2011.10.27)
- 国鉄貨車:エンドウ・ブリキ製の資料(2)(2011.10.27)
- 国鉄貨車:天賞堂ベークライト製発売とTMS誌(2011.11.02)
- 国鉄貨車:エンドウ・ブリキ製の資料(1)(2011.10.27)
- 国鉄貨車:カツミ製ワム90000の加工(2011.10.18)
コメント
こんにちは。
私がカツミのワムを見たのはだいぶ後年になってからのことでした。
すでに持っていたエンドウのブリキ製とエーダイのワム23000を見慣れてしまったのでカツミのワム90000は背が高すぎて調和が取れず気に入りませんでした。
でも仰るとおり実物のワム90000の姿をカツミやKATOは良く表現していると思います。
今回これを読んで、手元に残っているエーダイ・ワム50000の成れの果てとナカセイ・ダイカスト製下回りをあれこれ測ってみました。
まず軸距離ですが永大、ナカセイとも52.5ミリ(4200ミリ)でしたので、客車貨車ガイドブックをパラパラみていたらカ3000にピッタリでした。
そこでエーダイ・ワム50000の車体を測ってみたら、なんと寸法はほぼカ3000そのものだったのでした。
だから車体が長くて背が低くドアも狭かったのですね。
以前の記事によれば最初に発売されたのがカ3000ということでしたので、その寸法でワムを作って売ってしまった、さらに同じ軸距離でトムとトラも出してしまったということなのでしょう。
あくまで推測の域を出ませんがそういう使い回しをされてしまうのも脇役である貨車の悲しいところなのかもしれません。
おかげさまで長年の疑問がまた一つ氷解しました、ありがとうございました。
余談ですが、有蓋車等の形式図に記載のドア寸法は開口部です。
ドア本体はやや車体に被りますから、それより若干幅広になっているのが普通です。
長文失礼しました。
>>そうですか。カ3000ですか。私はワム90000とワム50000を較べた段階で思考が停止していました。マスプロ製品の場合に、こういうことがあると、皆んな不幸になりますね。【ワークスK】
投稿: Brass_solder | 2011/10/22 16:05