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2012/01/12

イタリア旅行の個人的記録

2000年8月

8月26日(土)フィレンツェ到着

 パリのシャルル・ドゴール空港を20:02に離陸し、21:44、フィレンツェ空降着。21:52、タラップを降りると、すっかり夜。地方空港の風情。建物まで歩く距離は100mほど。22:30、ガイドは30歳ほどの女性。この混雑は、北欧やパリ、ロンドンからの便が10分間隔で着いて、地元の連中がバカンスから帰ってきたのだという。

 40人乗り程の大きなバスに乗車して、20分ほどでホテル着。途中で見た信号が皆、日本の歩行者用の様に道の脇に縦並びとなっている。信号待ちしたときに前に若い男がガラスワイパーを持って飛び出してくる。500リラか1,000リラで、車をきれいにするのだという。運転手もガイドもシランプリ。また、市内に入ってから鉄道と思しき高架をクグると、期待が膨らんでくる。中心街とおぼしき広場は人でごった返している。古風なビルの軒の並びに照明が付いているのは風流。

 23:00、ホテル着で打ち合わせ。渡された鍵はシリンダー錠、ホルダーが直径40mm、厚さ10mmほどのムクの真鍮でズッシリと重いのが印象的。なお、階表示はイギリス式で、2階は2nd Floor、日本の3階とのこと。チップは2,000リラを置け、持ち合わせが無ければ明後日に2日分でいいとのこと。

 エレベーターで上がるが、やはり階の表示に面食らう。部屋はツインの一人使用で、10畳程度、ブロンズ風の灯具が印象的。バスルームは3畳ほどもある。バスのカーテンが透明アクリル板で模様入り。窓は天地がある大きな木製サッシで二重ガラス、開けると無味乾燥な中庭。

 10分ほどでスーツケースが運ばれてくる。テレビを点けるが面白くない。リモコンは99チャンネルあっても12チャンネルまでしか映らない。ブランドは「CRYSTALL」。テレビの木製台の中に金庫と冷蔵庫。金庫は説明書きによれば4桁の暗証番号式だが、最初の開け方が分からない。ベッドの上にホテルチェーンの名前と「With Compliments」と記された茶色の小さな箱があって、中にケーキが入っている。

 枕元の電球が明るすぎるので、向かいのベッドのランプ3個のうち2個を緩めて点灯しないようにする。こちら側は、1個切れている。イタリア的か。

 

8月27日(日)フィレンツェ滞在(ピサ往復)

 5:30に目が覚める。エアコンが効いて少し寒い。
 7:00ちょうど、約束通りにモーニング・コールの電話が鳴る。7:10、朝食に2階へ行く。天井の高さは3階分くらいか。描かれた絵もすごい。部屋の装備について、同行者と話が合わずに、部屋を見に行く。木造年代物のクローゼット、木梁むき出しの低い天井に、シャワーだけ。テレビも小さいようだ。自分の部屋へは迷路をウロウロ。8:00、自室に戻る。

 8:20、フロントに降りる。バスに乗車して市内観光となり、ウフィッツィ美術館を見物する。

 11:00、ドゥオモ大聖堂前で皆と別れて、歩いてSMN駅に向かう。自動券売機でピサまでの切符を買う。日本の銀行で自動振り込み機を操作するように駅名を入力する手順を踏んで8,000リラ、約400円か。時刻表の12:35発に乗ろうとするが、ホームが判らない。係員に尋ねると、「13:00発でトラック2、ピサ・エアポート行き」との返事。12:35発は無いのだろうか?

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 仕方なく出発まで、構内を撮影して回る。女性の旅客向けアナウンスで「ユーロスター」という単語が自慢げに響いていると感じたのは、単なるこちらの思い込みだけではないだろう。頻繁に「サンマリノ」と聞こえるので不思議だったのだが、後から、ここの駅名の「サンタ・マリア・ノヴェッラ=SMN」と言っていたのだと思い当たる。  乗車する列車の発車5分前、指定通りに電気機関車が先頭に連結されたプッシュプル・トレインに乗車。帰国後に知り合いに尋ねると、乗車前に時刻を刻印する必要があったようだ。客車は、車体途中に2つの乗車口があってデッキとなり都合、客室は3つに別れている。座席の半分ほどが乗客で埋まっている。

 発車してすぐ右手に機関区がある。2駅目で複線を分岐する。列車は左側通行で進む。
 3駅目のSIGNA駅手前に保線基地がある。ここら辺りの線路は複々線。曇ってくる。車窓から広告看板類が見えないのが気持ちよい。民家の屋根が茶色で、これがタスカン・レッドかと一人、合点する。パラボラ形の衛星アンテナまで茶色なので驚く。中には白色もある。いつのまにか複線になっている。

 13:32、EMPOLI駅手前の進行方法右側に片側運転台の電気機関車があって、色の褪せ具合からすると保存機の様だ。蒸機時代の名残りと思われるコンクリート水槽に蔦が絡まっている。トウモロコシに続き、ヒマワリ畑が現れる。ただし、花は終わって茶色に変色している。10秒ほどのトンネルで車内灯を点けず、車内が本当に真っ暗になる。これは、帰りの列車での一緒だったので、通常の扱いなのだろう。

 14:05、ダイヤ通りピサ中央駅着。切符を見せる場面が無くて駅を出てしまう。本屋内の「BAR」と表示の売店でコカコーラを買う。3,000リラ。太陽の絵が添えられている。バスの案内所で乗車券を買う。「ピサ・タワー」で何とか通じる。「2ウェイ?」と尋ねられて「イエス」と応えると1,500リラの券を2枚寄越す。
 駅前に鳩にポップコーンを与える老婆がいる。運転手に問うて14:56発車。

 ピサの斜塔までは数分の乗車で到着する。土産物屋が沿道の片側にズラリと並んで凄い人。倒れ防止の工事の凄さに感心する。ワイヤーロープで引っ張ったり、土のうを積んだりと国家プロジェクト扱いだ。記念撮影の連中は皆、倒れる塔を支えるポーズをしているが、中に逆のポーズを取る2人組を見つけ、同じ格好をしてシャッターを頼む。
 フィルムを買おうと屋台でASA400の値段を尋ねると、コニカ11,000リラ、フジ12,000リラ、コダック13,000リラとのことで、当然コニカを買う。露天商なのにレシートをくれる。モザイク額縁を50,000リラで買う。

 駅に戻り、先ほどのBARで水を買う。1,800リラ。半ば凍っていて、うれしい。女性客が水を買ったときには、店員がキャップを回して開けてくれたのに怪訝に思うが、自分で回してみて、その堅さに納得する。
 乗車券は自動販売機もあったけれど、窓口に頼む。SMN駅と同じ様式だったのでガッカリ。
 16:17発。進行方向右側に機関庫が現われ、分岐する線路がある。車掌が切符を改めに来る。上半身裸の男が2人、ウロウロし始める。EMPOLI駅手前の右側から非電化の単線が合流してくる。垂れ下げ式のカーテンが皆、車外に出てたなびく。送電線の鉄塔が緑色に塗られている。17:22着。歩いて宿に戻る。

 

8月28日(月)フィレンツェ滞在(模型店探訪)

 7:00、起床。8:00、朝食。8:35、出発。線路の東側に沿って北へ歩く。バッソ要塞を過ぎ、渋滞道路の先の川土手を線路に近づくと、草の上に寝ている人間がいて、慌てて戻る。その先も高架となっていて、列車撮影は全く無理だ。

 9:45、何とか線路の眺められるポイントを見つける。

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 朝市をやっていて、細長いスイカと大きく赤いピーマンを見る。線路の向こうで4人の男が4人、作業していたと思うと、線路に立てていた筒から突然、炎と煙が吹き出す。テルミット溶接か。自分のいた位置の横に止めてあったトラックに「fs」というイタリア鉄道のマークが付いている。【この様子はトラパシ掲示板の発言番号402(2007-04-27)をご覧ください】

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 10:20、すぐ横の歩行者専用トンネルで線路の西へ渡り、線路沿いを駅に戻るが、写真は撮れない。

 11:45、ドゥオモを基準にHobbitaria2という模型店を探す。近い方から順に建物に番号が振ってあって、判りやすい。右が偶数、左が奇数のようだ。ボルゴピンチ通りとデラ・コロンナ通りの交差点、南東角で見つかるが、閉まっている。反対側のBARの女の子に「営業しているのか」と尋ねるが要領を得ない。

 Dreoni模型店に向かう。この通りの建物番号は2種類が打ってあって悩んだが、何とか辿り着く。Hobbitaria2から500mほどか。言うなれば大きな玩具屋で、ウロウロしていると、閉店だと追い出される。再開店は15:30とのこと。13:10。

 13:30、ホテルに戻って昼寝。15:30、再び出陣。本屋によってイタリア全土とフィレンツェの地図を買う。この地図でローマ行きと思われる線路が北西に伸びているのが判り、跨線橋を目指す。線路との境界は、高い塀で遮られて何も見えない。住宅地に近いところは、塀の上に透明なアクリル板が立っている。跨線橋の上も厳重に金網が張ってあり、撮影しにくい。何とか数枚を撮る。しかし、フィルムの巻き上げに失敗し、午後の分がパアとなる。
 カンポ・デ・マルテ駅は、駅舎は小さいものの、ホームが長く何本もある大きな駅で、客車区が横にある。この客車区への通勤に使われていると思われる跨線橋があって、通路は金網で厳重に囲われているが、ここから縦横無尽に撮影できる。車内から出火したと思しき客車が止まっている。ホームへ降りてETR500の通過などを撮影する。

 陽が落ちたこともあり、また歩いて17:50、Hobbitaria2到着。開店している。Lima、Roco、Markrinがケース二つ。ミリタリーのジオラマがある。ドイツ型蒸機のラベル社製プラモデル、イタリア鉄道の両運ディーゼルカーだけを紹介するソフトカバー本、「iTreni」という実物と模型の両方を扱う雑誌を買う。雑誌は最新号ではないようだ。柱に小さな表示で「DALLE ORE 9.00 ALLE ORE 13.00、DALLE ORE 15.30 ALLE ORE 19.30」とあるのが開店時刻なんだろうけれど、昼間は12:30頃に訪れたはずなので、どうしたことだろう。

 続いて訪れたDreoni模型店にも同じ開店時刻の表示がある。リバロッシBigBoyの品番5412が632,000リラ等とあるのは31,000円ほどで日本より安いだろう。

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 19:15、サン・ロレンツォ教会前の広場でサッカーの中田のTシャツを4枚買う。1枚15,000リラを4枚買うからと値切って、54,000リラとなる。
 19:30、さらに歩いてホテルへ戻る。

 

8月29日(火)フィレンツェからベニスへ移動

 5:50、起床。6:00,モーニングコール。6:30、スーツケース出し。7:00,集合。歩いて行ける距離だが、スーツケース運搬だけのためにバスに乗って駅。8:20の集合まで、一番長い8/9番線で駅の全景などを撮影する。フィルムが終わって巻き戻そうとするが、空回りしてしまう。カメラの故障と判り、裏ブタを開けずにこのまま持って帰る覚悟をする。せっかくの特急乗車なのに写真が撮れないことになったのは誠に残念だ。
8:42発のユーロスターはETR500型。2等車の座席は向かい合わせ固定で、間に肘掛けがある。可動式のテーブルが引き出せて、それが重量感たっぷりで驚く。スナックで同行者と興じる。席に戻ると、同行者が座席番号が次の通りとなっているのが不思議と、騒いでいる。

  66 64 通 68 62
窓          窓
  65 67 路 63 61

 11:33、ベニスに定刻着。水上タクシーに乗車。12:15、ホテル着。部屋は2nd Floor。13:45、昼食は近所のレストランで、イカスミ・リゾットを頼む。50,000リラ。14:30、ホテルのフロントに集合し、観光。ベネチアン・グラスの実演が16:00まで。ホテルに教わって近所の貴金属店にカメラを買いに行く。ニコンF60のボディのみを750,000リラで買える。37,000円は高いか?
 17:30、門柱のところに集まり、ゴンドラ3隻に分乗。先頭に乗る。2隻目にアコーディオンと歌手。よくわからない。インドからと思われるテレビ取材とすれ違う。被写体の女優に「何というチャンネルだ」と尋ねるた答えは、「ヒダチテレビ」と聞こえる。

 

8月30日(水)ベニス(サンタルチア駅)散策の後、出発

 6:30起床。7:00モーニングコール。7:20朝食。8:30、ホテルを出る。細い路地で大勢の通勤者とすれ違う。名所のリアルト橋の船着き場で水上バスの往復券10,000リラを自動販売機で買う。82番の快速に乗船する。こちらへ来る船はどれも満員。

 ローマ広場で降りる。地図にあるヤードの方に行くと、客車が並んでいる。都合良く跨線橋があって上ると、何とオリエント・エキスプレスが停まっている。スイスのパノラマ客車もある。さらに奥へ進むと、ピットと照明ポールの林立する客車区に辿り着く。面白そうではないので、客車ヤード北側の貨物ヤードへ向かおうとするが、途中にトラック用のゲートがあって、係員に断られる。オリエント急行の編成をロッド式入換機が引き出し始める。  続いて本土とを結ぶリベルタ橋方向へ歩くと、高台からの絶好のロケーションとなるが、光線状態は午後の方が良い様なので最後に訪れることとし、サンタルチア駅に大回りで向かう。直線距離では近いのに、残念ながら橋が無い。

 駅構内では、スイス、オーストリア、フランスからの客車が並んでいて、さすがに国際的な駅と感心させられる。
 10:10、オリエント・エキスプレスがホームに入っていて、上流階級の衣装を着た客が乗車受付に集まっているのに出くわす。ボーディング・タイム10:20とある。自走式の洗車機2台で洗っている。   ホームの先に進むと、北から入駅してくる列車を撮るには絶好のポイントとなる。男の子が両親と共にやってきてオリエント・エキスプレスを使い捨てカメラで撮影している。列車が出発していくのをバックに男の子を撮ってやり、「後で送る」と手帳に住所を書いてもらうとイギリスのポーツマス。母親が熱心に話し掛けてくるのは、どの国でも一緒か。個人の名刺を渡しておく。
  線路を渡って機関区を撮る。駅舎に戻り、西半分に行ってみる。こちらは区間列車用や荷物列車用のホームか。
 11:30、リベルタ橋に向かう。橋は西側が道路で線路は東側。真ん中で撮ろうと。道路の東側の歩道を行くが、下り坂で歩道が無くなってしまい、西に移動する。所々に歩道の出っ張りがある。途中まで行くと東側、すなわち道路と線路の間に歩道が現れて、また道を渡る。数カットを写してから戻る。戻り際、ETR500の発車に出くわす。

 ローマ広場の乗船場に行くと、水上バスは各停の1番が泊まっていて、10分待って発車。13時の集合時刻が近づき、やきもきする。リアルトの船着き場から走るが、2分遅刻。皆からブーイングを受ける。後刻判ったことだが、小生の時計が3分ほど遅れていて、都合5分の遅刻だった模様。ユトレトから水上タクシー、ローマ広場で下船し、空港まで送ってくれるバスを20分ほど待つ。バスの先頭に陣取り、デラ・リベルタ橋上で列車を撮る。
ガイドによれば、ベネチェア音楽祭が始まるとのことで、空港で映画俳優に会えるかもということだったが、それは叶わず。飛行機の出発時刻は15:15の予定が15:25に延期と出る。売店で「コカコーラ」と頼むが通じない。「コーク」と言えと同行者に助言される。3,800リラ。

 15:15連絡バス乗車。Airbus A320。15:54に動きだし、14:07にパリへ向け離陸。

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