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2012/01/21

台車探求:カブース用スイング・モーション台車

A pursuit of truck construction, Barber-Bettendorf swing motion caboose car trucks

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 4年前の2008年にdda40x氏のお誘いで訪米の折、ロサンゼルス郊外パサデナのオリジナル・ホイッスル・ストップという有名な模型店に立ち寄りました。
 まあ、この時代ですから、わざわざアメリカに来て買わなければならない品物なんて無いとばかりに、タカを括っていたら、見知らぬHOゲージの台車製品を発見しました。タホー・モデル・ワークスTahoe Model Worksというメーカーです。

 このバランスの悪い側枠に見覚えがありました。【画像はクリックで拡大します】

Car Builders Cyclopedia 1940 p1200

 ベッテンドルフといえば鉄道ファンにお馴染みですが、この台車は1924年に同社が開発したカブース用なのです。
 モデルはその当初のタイプで、1935年に側枠の強化(中期型-と勝手に呼びます)と、1960年代にコロガリ軸受化(後期型)が行われました。
 その間、 1942年にはスタンダード・カー・トラック社がライセンスを買い取って、同社のブランドである“バーバーBarber”を頭に冠し「バーバー・ベッテンドルフ」の名称となっています。

 このシリーズは、今では中期型もタホー社から発売になっていますし、後期型は以前よりアサーンやアトラスから出ていますので、この全3種類を、特徴的なスイング・モーション機構と合わせてご紹介しましょう。ただし、この3種を通じての解説がどこかにあったということではないので、話半分に聞いてください。

 まず前期型(初期型という呼び方から改めました)、30年代まで製造されました。タホー社の品番はTMW104とTMW204です。品番の見方は、100番台が車輪幅0.110"のスタンダード車輪付きで、200番台が0.088"のセミスケール車輪付きです。
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 BNでは元CB&Qの1930年製NE-10というカブースが履いています。また、蒸機のテンダー用としても売り込んでいて、Locomotive Cyclopedia 1930年版p822に、2枚目の側枠を外した写真が出ています。

 次の中期型は1935年から60年代(タホー社に拠れば50年代)まで製造されました。30トン台車という触れ込みで、側枠が大幅に変更されています。タホー社の品番はTWM105とTWM205です。

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 このバージョンの組立図が公開されていて、スイング・モーション機構が判ります。

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 このうち、トランサムtransomと呼ぶ横梁は、単体では次のような形をしています。

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Barberbettendorf_truck1946 これで、側枠がゴソッと外れる構造を飲み込んでいただけると思います。
 上揺れ枕と横梁の間で、レール方向に力を伝えるスリ板と、左右動を制限するストッパーも判ります。

 右はオークションに出ていた1946年発行のリーフレットです。“Brakeman Gets a Break”との文言で乗り心地の良さを謳っています。内容には、ここに示した図版以上のものはありません。

 BNでの装着は1964年以前の鋼製車で、元GN、NP、CB&Qの全てがこれです。中には初期のW-Vカブースも含まれます。

 最後の後期型は、タホー社からは未だ出ていません。
 前述のとおり、アサーンとアトラスがあって、そちらをお見せします。

 まず、73年に発売開始のアサーンです。

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 次は95年から発売のアトラスです。

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 次はOゲージで、カスタム・フィニシュイング製品です。アトラスOにもあります。

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 コロガリ軸受になって、側枠の形が変わりました。
 BNでは66年以降、最終の1981年までが全てこれです。

31clc1974ps1311a 左の広告で、サイド・ビューが示されたワイド・ビジョン・カブースに鉄道名が入っていないのですけれど、キューポラの位置が特異なので、判る方には直ぐに分かりますよね。略称をMoPacともいう‥‥。

 で、この台車、メーカーは全て前述のスタンダード・カー・トラック社か、というとそう断言できないところが難しい点です。
 フレームの鋳出文字を読むと、中期型でASF、後期型でGould、Scullin、UAFの名があるというのです。
 まあ、鋳鋼パーツだけ各社から購入して、加工と組立は自社で行ったという解釈はできるものの、単純な品物ですから、そんな面倒なことをするかなあ、と訝らざるを得ません。

 貨車のディテールにご興味がおありなら、CD-ROM本を発行する"freight cars illustrated"というサイトを覗いてみてください。台車は"Volume 9: Freight Car Appliances"です。

 さて、BNではバーバー・ベッテンドルフ以外にも、スイング・モーション台車付のカブースを保有していました。
 1980年に合併したフリスコSL-SFの1200クラス(1200-74 → BN11530-602)で、GSC(General Steel Castings Corporation)製です。

873b 実はこの台車、UPが愛用していましたから、セントラリア・カー・ショップ(現InterMoutain傘下)がHOゲージ製品を出ていました。6年前に訪れたカリフォルニア州鉄道博物館でUPカブースの写真をたくさん撮影したのは故の無いことではありません(笑)

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 タホーについては、アメリカ型鉄道模型大辞典をご覧ください。
 また本記事の引用画像は、その上にマウス・ポインターを移動していただくと出典を表示するようになっています。

【追記】念のためとウォルサーズ社のサイトで検索してみたら、たくさんヒットして驚きました。一番ビックリしたのはケーディー社にベッテンドルフTセクション(品番581)があったことです。

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 これは、間違いなくスイング・モーション・ユニットが組み込まれていますね。前期型の前ですから、初期型(呼び方を変えました)ということにしませう(笑) 改めて手持ちのCD-ROM本、Car Builders Cyclopedia 1922年版を探したのですけれど、出ていません。
 しかし、BNにも元GNの木造トランスファーカブースが履いているカラー写真がありました。1911年製のX-419で、BN 10928となってグリーンにBNロゴを付けています。
 他にはNYCの19000シリーズとか、Soo、C&NW、RF&Pに見つけました。

 また、後期型品番582)も同じケーディーから発売されています。う~む、これで全てでしょうか。2012-01-21

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【追記2】GNのカラー写真集をめくっていくと、車室長25フィートという短めの木造キューポラ・カブースが初期型を履いています。車番はX330-X749辺りで、製造年は1907-11、20-24、29年というのですから、辻褄が合わないことも無い感じです。ただし悩ましいことに、スイング・モーション・ユニットをアンドリュースが装着と見える写真もあります。X559とX714です。

 GNカブースといえば、松本謙一氏のコレクションで、とれいん誌1994年3月号です。この中の25フィート長に付いている台車が正にアンドリュースです。Beaver Creek製品で、同誌2011年10月号p71も、この番号違いと思われます。

 これらの25'カブースは、1970年のBN発足時には28両が稼働していました。

 また、天賞堂製品として有名な30フィート・スチール・キューポラ付ですが、これも本来はスイング・モーションの様です。

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 実物は1920年代後半から1940年代前半まで製造し続けられていて、どれも次の写真(Robert C. Del Grosso著"Burlington Northern Railroad Cabooses 1970-1995" 2006年刊 p58 Ed Chapman photo)で見る形をしています。
 今回の記事で紹介した、4種類の市販製品とは異なる形です。

 台車の項目には、"Sw Motion (GN & Bett)"とありますから、疑いなくスイング・モーション台車で、GN自社工場とベッテンドルフ社との合作のはずです。
 側枠は一般の貨車用と共通でベッテンドルフから購入し、独特の横梁ユニットだけ自社工場で製造という推察はどうでしょうか。2012-01-22

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【追記3】ベッテンドルフの初期型を発見しました。Car Builders' Dictionary 1909年版です。1906年版には普通のTセクション型のみでした。
 トランサム=横梁が、前期型以降の一体鋳造ではないⅠ型鋼(あるいはチャンネル)で、また板バネではなくて、コイルバネです。

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 続いて1912年版が全く同じです。1916年版は、これに加えてスイング・モーションではない、板バネ付Tセクション型がカブース用として出ていました。

Cbd1916p558

 1919年版はネット上で未だ公開されていないようです。1922年版には前述のとおり、ベッテンドルフ社のスイング・モーション台車が掲載されていません。2012-01-28

【追記4】"とれいん"誌2012年7月号p106に、ケーディー社製カブース用台車が1種類、紹介されていました(eTrain.jpサイト)。記述は無いものの、品番580のBettendorf-AARタイプです。

580

 これはスイング・モーションではないので、カブース用としては珍品です。まともな鉄道の、まともなカブースには使われない類のシロモノなのですけれど、紹介記事で言及されていない点は、この台車の構造が我が国では未だ理解されていないことの証ですね。
 なお、品番583はArch Barタイプで、これもスイング・モーションではありません。2012-06-30

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