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2012/01/21

台車探求:カブース用スイング・モーション台車

A pursuit of truck construction, Barber-Bettendorf swing motion caboose trucks 追記と訂正を繰り返して読みにくくなったため、全体を書き直した。 2019-11-19


C&S 10401は元ATSF車。モデルはInterMountainで、台車はTahoe Model Works製。

2008年の訪米でロサンゼルス郊外パサデナのオリジナル・ホイッスル・ストップという有名な模型店に立ち寄った。
 まあ、この時代だから、わざわざアメリカに来て買う品物なんて無いとばかりにタカを括っていたら、見知らぬHOゲージの台車を発見。メーカーはタホ・モデル・ワークスTahoe Model Worksだという。
 そのバランスの悪い側枠には見覚えがあった。BNのいくつかのカブースが履いていた。【画像はクリックで拡大】

ベッテンドルフといえば貨車用台車でお馴染みだけれど、実はカブース用のスイングモーション台車で絶大なシェアを持っていた。1942年にはスタンダード・カー・トラック社がライセンスを買い取って、同社のブランドである“バーバーBarber”を冠し「バーバー・ベッテンドルフ」となった。この流れを説明したい。ただし、解説がどこかにあったということではなくて、私がBNを調べていて見当をつけたストーリー。話半分に聞いてほしい。初期型とかの呼び名も私が勝手につけている。

(1)初期型(1907-1924?)

これが最初のもの。側枠はみるからにTセクション型である。Car Builders' Dictionary 1909年版に初登場。その一つ前の1906年版は普通のTセクション型のみなので、直後に製造されたのだろう。トランサム=横梁が、前期型以降の一体鋳造ではないⅠ型鋼(あるいはチャンネル)で、また板バネではなくて、コイルバネである。

Cbd1909p478

Cbd1909p479

続いて1912年版が全く同じ。1916年版は、これに加えてスイング・モーションではない板バネ付Tセクション型がカブース用として出ていた(次の図版)。1919年版はネット上で未だ公開されていないようだ。1922年版(CD-ROM本)にはスイングモーションは掲載されていない。

Cbd1916p558

ファン向け資料ではGNの木造トランスファーカブースに発見した。1911年製のX-419で、BN 10928となった。他にNYCの19000シリーズとか、Soo、C&NW、RF&Pにも見つけた。
 モデルではケーディー社が売っている(品番581)。

581

(2)前期型(1924-1930s)

冒頭で言及した台車がこれ。

Car Builders Cyclopedia 1940 p1200

BNの元CB&Q、1930年製NE-10や、ATSFのラジアル・ルーフ車が履いている(冒頭写真)。また、蒸機のテンダー用としてLocomotive Cyclopedia 1930年版p822に、側枠を外した上の図版が出ていた。
 モデルはタホ社が発売。品番がTMW104とTMW204。品番の見方は、100番台が車輪幅0.110"のスタンダード車輪付きで、200番台が0.088"のセミスケール車輪付き。
11tmw204

(3)中期型(1935-1960s)

これはタホ社が50年代までと書いている、当方が見付けた1960年代製は旧品流用かもしれない。30トン台車という触れ込みで、側枠が変更されている。カブースがスチール製となって重くなった時代なのだろう。まさにトランジション・エラ。このバージョンの組立図がCar Builders Cyclopedia 1940年版に公開されていて、スイング・モーション機構が判る。

22cbc1940p1200c

このうち、トランサムtransomと呼ぶ横梁は、単体では次のような形をしている。

14cbc1940p1200b

Barberbettendorf_truck1946これで、側枠がゴソッと外れる構造を飲み込んでいただけると思う。上揺れ枕と横梁の間で、レール方向に力を伝えるスリ板と、左右動を制限するストッパーも判る。
 右はオークションに出ていた1946年発行のリーフレット。“Brakeman Gets a Break”との文言で乗り心地の良さを謳っている。内容には、ここに示した図版以上のものは無い。BNでの装着は1964年以前の鋼製車で、元GN、NP、CB&Qの全てがこれ。一部に初期のW-Vカブースも含まれる。
 モデルはタホ社で、品番はTWM105とTWM205。

21tmw205

(4)後期型(1966-1980s)

掉尾(チョウビ、タクビは誤読)を飾るのはローラーベアリング付きで、側枠の形が変わった。BN関連では1966年以降、最終の1981年まで全てに採用。モデル製品は概ねこれ。

33dsc07501
1973年発売開始のアサーン製。

35dsc07500
1995年から発売のアトラス製。

 582
ケーディー製(品番582)。

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Oスケールのカスタム・フィニシュイング製。別にアトラスO。

31clc1974ps1311a左の広告で、サイド・ビューが示されたワイド・ビジョン・カブースはキューポラの位置が特異なので、判る方には分かるはず。略称をMoPacともいう‥‥。

で、これらの台車、メーカーは全て前述のベッテンドルフ社とスタンダード・カー・トラック社か、というとそう断言できないところが難しい。フレームの鋳出文字に、中期型でASF、後期型でGould、Scullin、UAFの名があるという。まあ、ライセンスを各社に供与したのだと思うが、よく判らない。

貨車のディテールにご興味がおありなら、CD-ROM本を発行する"freight cars illustrated"というサイトを覗いてほしい。台車は"Volume 9: Freight Car Appliances"。

さて、BNではバーバー・ベッテンドルフ以外にも、スイング・モーション台車があった。1980年に合併したフリスコSL-SFの1200クラス(1200-74 → BN11530-602)で、GSC(General Steel Castings Corporation)製。

873b実はこの台車、UPが愛用していて、セントラリア・カー・ショップ(現InterMoutain傘下)がHOゲージ製品を出していた。2008年に訪れたカリフォルニア州鉄道博物館でUPカブースの写真をたくさん撮影したのは故の無いことではない。>>記事「UPカブース用台車の記事補遺

UP 25256

タホTahoe Model Worksについては、アメリカ型鉄道模型大辞典を乞う御高覧。また本記事の引用画像は、その上にマウス・ポインターを移動していただくと出典を表示する。

【追記1】GNのカラー写真集で、車室長25フィートという短めの木造キューポラ・カブースが初期型を履いていた。車番はX330-X749辺りで、製造年は1907-11、1920-24、1929年というので、初期型の開始年を1907年としたい。ただし悩ましいことに、スイング・モーション・ユニットをアンドリュースが装着と見えるものもあった。X559とX714。これらの25'カブースは、1970年のBN発足時には28両が稼働していた。

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また、天賞堂製品として有名な30フィート・スチール・キューポラ付がアンドリュース付きだが、本来はスイング・モーションである。これらの実車は1920年代後半から1940年代前半まで製造し続けられていて、どれも次の写真の台車で、中期型とは異なる(タホはGNの中期型をX-200 – X-218 (some, 1941) だけとしている)。台車の項目には、"Sw Motion (GN & Bett)"とあるので、疑いなくスイング・モーション付き。余剰となった一般貨車用の側枠にベッテンドルフから購入した横梁ユニットを自社工場で組み込みという推察はどうだろう。2012-01-22 あるいは、前期型と中期型の間の形態かも知れない。2019-11-19

Bn_caboose_img464
Robert C. Del Grosso著"Burlington Northern Railroad Cabooses 1970-1995" 2006年刊 p58 Ed Chapman photo

【追記2】"とれいん"誌2012年7月号p106に、ケーディー製カブース用台車が1種類、紹介された(eTrain.jpサイト)。記述は無いものの、品番580のBettendorf-AARタイプ。

580

これはスイング・モーションではなく、カブース用としては珍品。まともな鉄道の、まともなカブースには使われない類のシロモノ。なのに、紹介記事では言及されていない。ということは、スイングモーションが我が国では未だ理解されていないことの証。別の品番583はArch Barタイプで、これもスイング・モーションではない。2012-06-30

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