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2012/03/02

貨車用台車の変遷 CBD 1903年版

Transition of freight car trucks appeared in the Car Builders' Dictionary 1903 by the Master Car Builders' Association

Fig0005

 今回は、1903年(明治36年)版(Open Libraries所蔵)を見ていきます。
 一つ前の1895年版から8年の間に大きな変化が幾つかありました。【画像はクリックで拡大します】

Fig3729

 まず、アーチバー台車がMCBAの標準として認定されたことです。
 辞書部分に次の記述があります。

Arch Bars and column bolt for 80,000 pound capacity cars (M. C. B. Standard). 1897年に委員会の答申が投票により推奨仕様Recommended Practiceとして採用された。1901年には同じく投票で標準規格Standardとなった。

Mcb_standard

 8万ポンドというのは40トン積車用ですね。

 側枠の部材のみが規定されたということは、枕梁やブレーキ周りについては自由裁量で、スイング・モーションを許容するということなのでしょう。

 ホイルベースは62インチ=5フィート2インチ(1,575mm)ですから、1894年に否決された案が通ったことになります。

00jounal_box

 なお、車軸Axleや軸箱Jounal boxについては早くから規格化が進んでいた様です。

 また、ダイヤモンド台車Diamond truckとの呼び方が、この版では“ダイヤモンド・アーチバー台車”となっています。

Fig3735

 次は巻末の広告で、バーバー台車がこの03年版で登場です。社名は最初から"Standard Car Truck Co."の様ですね。

10barber

 車体構造では、ボックスカーの台枠にスチール製が初めて現れます。
 次のペンシルベニア鉄道PRRの内寸36フィート、50トン積み車は、プレスト・スチール・アンダーフレームpressed steel underframeとあります。冒頭のノーザン・パシフィック鉄道NP向けは、ストラクチャルstructual・スチール・アンダーフレームで、40フィート、45トン積みです。共にメーカーは、American Car & Foundry Co.という1899年に合併で発足した会社です。

Fig0001

Fig0164

 次は、バンダービルト・チャンネル・アーチバー台車Vanderbuilt Channel Arch Bar truckを謳っています。上弓棒がチャンネル状です。下弓棒を45度に捻っているところは、1888年版のNYC&HRのものに共通していますから、バンダービルトは、コモドアの曾孫で、円筒形テンダーに名を残す人物であるCornelius Vanderbilt III(1871-1942)の可能性が大です。

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 次の40トン36フィート・ボックスカー(Central of Georgia)の台車では、上弓棒が太く描かれています。また車体台枠補強のトラスロッドが6本も付いています。

Fig0167

11commonwealth

 スイング・モーション付の台車も引き続き存在しています。

 左右の側枠を、X形に組んだ平鋼で保持しているとしか見えず、これで枕梁が本当にスイングできるのかと、疑問になる台車は、コモンウエルス・スチール社Commonwealth Steel Company製です。

 巻末の広告にイラストがあるのですけれど、理解不能です。
 読み解いてみたいという方のために、照号表を追加しておきます。

Fig3745

Name

 次もアーチバーを名乗っています。太目なものの、各部材が曲がっていますから、強度的には疑問があります。Haskell Pressed Steel Arch Bar truckの名称よりも、American Car & Foundry Co.という会社名に注目です。

Fig3768

Fig3730

 フォックス台車Fox Pressed Pedestal truckは、1895年版と較べると、全体の構造は同一ながら、各部は大幅に変わっています。

Fig3757

 写真の方は枕バネ付が示されていて。これは19年後の1922年版に掲載のものと全く一緒です。

Fig3732

 次はフォックス台車を装備した、LV向けAC&F社製の34フィート30トン積プロデュース・カー(通風車兼用の冷蔵車)です。 高速台車という位置づけなのでしょうか。

Fig0006

 フォックスに類似した台車も出現しています。まずSterlingworth Ry Supply社製です。

Fig3774

 次は巻末広告で、Kindl Car Truck社です。まあ、大量に製造していることを示そうとしているのでしょうが、労働安全上は問題ですね。

13kindl

 こちらはAmerican Steel Foundries社(ASF)製のAjax Cast Steel Pedestal台車です。鋳鋼なら生産性が理解できます。

Fig3738

 全体を通して見てくると、貨車用台車は木製の部材が皆無となったことが判ります。錬鉄から炭素鋼へ完全に移行したのでしょう。平鋼を組み合わせるアーチバー台車が普及した根源的理由は、まさにここです。
 ブレーキシューの外吊式が無くなったのも、スチール化によって枕梁やブレーキ梁がコンパクトになり、内吊用のスペースが捻出できたためと考えられます。
 またコイルバネが全て側枠面内に納まって外部に露出するようになったのも、同じ理由でしょう。

 ただし、客車用は旧態依然で、未だ木材がフンダンに使われています。

 それと、書名がちょっとだけ変わりました。「Builder's」が「Builders'」と、アポストロフィの位置が移動しています。

【追記】コイル・スプリングも推奨仕様化されていたことを見落としていました。
 アーチバー台車用には4種類があり、A種25トン、B種35トン、C種40トン、D種50トンで、いずれも4列を枡形に並べたキャップ付きです。ただ、側枠の方が40トン用のみ制定というミスマッチは一体、どういうことなのでしょうか。
 そしてE種、F種、G種はペデスタル台車用です。
 辞書における"Spring and Spring Caps"の項に拠れば、これらは1898年の制定で、1901年に改訂と記されています。2012-03-03

Cbd1903spring

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