貨車用台車の変遷 CBD 1906年版
Transition of freight car trucks appeared in the Car Builders' Dictionary 1906 by the Master Car Builders' Association
カー・ビルダーズ・ディクショナリーの1906年版(American Libraries)は、ダウンロードが不可能ですが、検索機能が便利で、家庭用の通信環境でも閲覧には不自由がなさそうです。
また、この版は欧州型ファンにも喜んでもらえる内容を含んでいてビックリでした。
で、一番の注目は、ベッテンドルフ台車の登場です。
今日ではよく知られている様に、最初のものはTセクション=T形断面をしていました。もちろん、鋳型の作り易さからですね。【画像はクリックで拡大します】
辞書の部分でベッテンドルフが頭に付く項目は次のとおりです。
いずれも同じベッテンドルフ・アクスル社Bettendorf Axle Companyに関する記述とみて間違い無いはずです。まず、枕梁です。
アンダーフレーム=台枠は、次のタンク車のそれです。ただし、台車はアーチバーです。
巻末の広告です。ここにアンダーフレームの文言は無しです。
社名にはアクスル=車軸を謳っているものの、見当たりません。台車がメインになるなどとは、創業当時は考えていなかったのでしょうか。
なお会社の発足が1903年ですから、一つ前の03年版に登場しないことは道理です。
アーチバー側枠のイラストは比較広告ですね。訴える一番の利点が部品点数というのは、主目的がボルト・ナットの緩み対応だと考えておられた方々には心外のはずです。
さて、ベッテンドルフの他に台車関係で特筆すべきは、次のP&LE向けフラットカー用で、75トン積みというヘビー・デューティ台車です。アーチバーでも、この時代に75トン・クラスが存在したのです。
これら以外には目新しい変化がありませんので、巻末の台車メーカーの広告を拾っておきます。
まずASF社(左)と、プレスト・スチール・カー社Pressed Steel Car Co.です。後者はフォックス台車のメーカーですけれど、写真のゴンドラはアーチバー付で、テキストにも"Fox"の文字がありません。
次はキンドル・カー・トラック社Kindl Car Truck Co.で、軸バネを1つの軸箱でコイルスプリング4個や、重ね板バネ2組にできると謳っています。クラウド台車Cloud Trucksはブランド名の様で、この版が初出です。
最後はコモンウェルス・スチール社Commonwealth Steel Co.です。
ところでこの版には、初めての試みとして、イギリスの車両が44頁にわたって紹介されています。
貨車のほとんどが2軸単車で、ボギー台車はわずかですけれど、図面の掲載が何とアーチバーでした。
構造はアメリカのものとソックリで、枕梁は木製です。
次のゴンドラは、蒸機の石炭とか、枕木の運搬用でしょう。
他のボギー貨車は全てペデスタル式を履いています。
台車以外の図版も適当に見繕って、イギリス型ファンにサービスしておきます。
次は真空ブレーキの説明です。
客車は写真を含めて多数が掲載されています。
まあ、「アメリカの技術者よ! これを見て勉強しなさい」ということですね。
このイギリス型の内容は、次の1909年版でも全く同一なので、鮮明さやダウンロードのことを考えたら、そちらを参照される方が良いと思います。
【追記】アーチバー台車の側枠を鋳鋼製に置き換えたアンドリュース台車の類は、次の1909年版で大量に登場してくるのですが、この06年版でも、それに見えないことも無いものが1両、掲載されています。
次の"DEEPWOTER 10267"という木造ゴンドラがそれです。
メーカーはWestern Steel Car and Foundry Companyで、同じ写真が広告頁にもあります。ただし、注釈は全く見つかりません。2012-03-07
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