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2012/06/28

アサーン55'ACFカバードホッパー(4)

A new addition to my rolling stock roster is an Athearn 55' ACF Coverved Hopper, CF5250. If you know what an Athearn blue box kit is like, you might imagine its assembly is simple and straightforward. From the viewpoint of smooth operation, however, this covered hopper requires a considerable amount of tuneups, including coupler height adjustment, weight addition, wheel replacement, etc. Even though I need to spend time and make those efforts, I enjoy the covered hopper kits very much. Now my roster has six of them!

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 またまた、アサーンの青箱、それもACFカバード・ホッパーに手を出してしまいました。「手が焼ける」と言いながら、これで6両目です。
 アサーン社の創業者アーヴィン・アサーン氏が1991年に亡くなったときに発売された特別スキームですから、当方のファンタジーボックスに納めるカテゴリーではあります。というわけで、実物を観察して‥‥などという対象ではなくて、単に補重してカプラーと車輪を今風に交換するだけの話ですが、このモデル特有のトラブルを経験して辿り着いた、当方の方法をご説明しましょう。【画像はクリックで拡大します】

 入手できたモデルは、説明書の通りに組み立ててあるとはいうものの、妻面の枠が割れ、車体の上下がエポキシ接着剤で固定されていて汚れもソコソコという、まあジャンクです。これを丁寧に分解して修理するところから始めました。

(1)ウエイトの取付

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 まず、プレス軟鋼板のウエイトです。20年を経過したにしては錆は僅かです。また、指示通りに焼き潰しによって床板に固定されています。

 軟鋼板上に出たプラスチックの溶けた部分をナイフの刃でコソゲると、ウエイトは簡単に外れます。このサビを落とし、脱脂、金属プライマー、上塗りと処理を施します。

 床板への新たな取付方法は、M2の小ネジ止めです。この4個の孔径が少し大きいので座金を噛まします。焼き潰し用のボスをそのままに、その芯にタップを切ります。ボスを切り取ってしまっても良いのですが、ガタがあって将来的には弛む可能性が出てしまいます。

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05dsc09579 問題は、この小ネジの先です。床板を貫いて少し出ていると、ちょうど車輪のフランジの位置になります。それで、小ネジをポリカーボネート製として、床下面から出た分をニッパーでツライチに切ります。

 もちろん、NMRA推奨重量RP20.1に足らない28g(7g×4個)の補重も行っています。軟鋼板の裏に市販のタックシール付き重りを貼るだけです。

(2)カプラーの取付

 このキットで一番の問題点といったら、ここです。
 元来が正しい高さを出し難い上に、カプラーの脱落事故を引き起こし易いのです。

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 で、取付の甘い軟鋼板製のカバープレートを捨てて、ケーディー純正のポケットを使います。
 とはいっても、面倒な加工ではなくて、製品のモールドのうち、左右の薄い“壁”と、中心ピンをニッパーなどで切り取り、下シャンクのケーディー#27(あるいは#37等)を純正ポケットを使って取り付けるだけです。

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 M2×4のナベ小ネジを使いますから、床板にはタップを切ります。
 肝心な点は、ネジ孔位置を少し車端寄にズラすことです。元の位置としてしまうと、小ネジの頭と車軸とが干渉します。私は、ボルスター中心から13.7mmとしました。
 このため、車端ではカプラーポケットが少し出っ張ります。

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【6年後に元のポケットを利用する方法が見つかりました】

(3)車輪交換

 次の悩みは、金属車輪化です。
 製品通りに33"(9.5㎜)径とするか、または実物の100トン車本来の36”(10.5㎜)径とするかのどちらかです。
 私はカプラー高さがそのままで出し易い方としていて、今回は後者としました。

 "さかつう"の長軸車輪は車軸が十分に長いのでピボット軸受の当たりが理想的となって、車体高さが高めとなる傾向にありますから、ケーティー標準の中央シャンクが使える場合もありますし、33"として台車中心ピンをワッシャ(M3用)で高さ調整する方法もあります。

(4)車体の組立

 車体の組立で意外と苦労するのが、妻板です。
 このモデルでは、上回りへの差し込みを無造作に行って隙間が開いたことが、床板を接着してしまった原因となっています。
 ここは丁寧に根気よく、バリを取ったり当たりを削るなどの調整が必要です。妻板下辺の床板との接触部をヤスリで削るのも有効です。これらを十分に施せば、床板を填め込むだけで抜け落ちることはありません。

 ところで、とれいん誌1999年8月号の松本謙一氏の記事(後述)では、妻板を接着剤で固定することを推奨しています。
 私は、組立は出来るだけ再び分解できるように、という方針にしています。まあ、時と場合によります。ただし、使う接着剤は流し込みタイプのMEK系(普通のタイプ)として、リモネン系は避けた方が無難です。理由はMEK系の接着力がリモネン系よりも弱く、いざとなったら外せるからです。

 あとは上下を組んだら出来上がりです。当方のファンタジーボックス・コレクションでは3両が揃いました。 

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 センターフローを創業者の追悼記念として発売するとは、メーカーというか、創業者本人によほどの愛着があったのでしょうね。
 2009年以降にはReady-To-Rollで出ているので、どういうふうに改良されているかという興味はあります。ただワザワザ注文しようとは思いませんが、いつかは巡り合えはずです。

 なお、このカバードホッパーについての記事は次のとおりです。

(1)4-bayを3-bayへ お手軽改造

(2)アサーンの発売年探求と各社製品

(3)BNスキームへのキットバッシュ

(4)ファンタジーモデルのお手軽改造(この記事)

(5)ファンタジーモデルのお手軽改造Ⅱ

 前述の松本謙一氏による記事は、「本誌読者だけに教えるアサーン貨車キット攻略法」という全6回のシリーズです。詳細に解説されていますので、必ずやお役に立つと存じます。1999年と少し古いものの、古書店や模型店などで入手は比較的簡単です。

5月号:40フィート・ボックス・カー,キューポラ・カブース,40フィート・アイス・バンカー・リーファー

6月号:50フィート・ゴンドラ・カー,34フィート・ホッパー,42フィート・タンク・カー,40/50フィート・フラット・カー,パルプ・ウッド・カー,40フィート・ストック・カー,ベイ・ウィンドー・カブース

7月号:200トン・クレーン

8月号:ワーク・カブース,レール・ボックス50フィート・ボックス・カー,54フィート・カバード・ホッパー,55フィート・センター・フロウ・ホッパー

10月号:ヘヴィー・デューティー・フラット・カー,62フィート・タンク・カー

11月号:50フィート・プラグ・ドアー・メカニカル・リーファー&インシュレーテッド・ボックス・カー

【追記】最新のRTR製品をあっしーさんが購入されて、ブログで報告されています。2012-10-03

【追記2】冒頭の英文をnortherns484さんに書き直していただきました。「論理の展開に飛躍が大き過ぎる」とのことです。言われてみれば本文の方も、ヤマさんにコメントをいただいた"さかつう"車輪の件とか、言葉が足らないところが目立ちます。
 書き手である私は数年分の内容が頭に入っていますから当然の話なのですけれど、読まれる皆さん、特に初めて来訪された方にはチンプンカンプンな部分があって、文字を追っていて御負担というか、苦痛に感じられるところがあるようです。始末の悪いことに、それを当方が判断し難いという理屈です。
 これからはもちろんですが、過去の記事も含めて、この辺りに十分留意して編集および再編集していくつもりですので、よろしくお付き合いいただければと存じます。2012-07-01

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コメント

さかつうの車輪は軸長26.2mmの方を使われていますか?
さかつうのサイトを見ると25.7mmのがまだ在庫あるようですが、これだと具合はどうでしょうか。

>>"さかつう"は短軸もあったんですね。もちろん、長軸の話で、本文を直しておきました。ご指摘ありがとうございました。【ワークスK】

投稿: ヤマ | 2012/06/30 00:24

お久しぶりです。またレアな車両を入手されたのですね。

このシリーズの車両は素性が良いので良く走りますね。
勿論、それ相応の加工と調整も必要ですが(笑

>>コメントありがとうございます。カラーリングが美しく、レタリングが楽しいので、BNモノよりもこっちが増えて困っています。弄るのは頭の体操で、隠居老人のボケ防止です。【ワークスK】

投稿: あっしー | 2012/07/02 20:58

英語圏からのアクセスも増えているとのことで、せっかくの中身の濃い内容がポイントだけでもわかりやすく伝わればと思って、お手伝いさせていただきました。いまいちすっきりしないところが多々あって、英語ネイティブからするとまだ怪しさ満点だと思うんですが。。。

> 「論理の展開に飛躍が大き過ぎる」とのことです。
こう書かれると、私がワークスKさんをご指導しているように読めるようでもあり、とまどっています(笑)。

実際、私も論理の飛躍は頻繁にやっているので、偉そうに言える立場にはありません。自分の伝えたい事が読み手にストレスなく正確にわかりやすく伝わる文章を書くのは難しいものだということを改めて感じています。

>>温かく見守っていただいて、本当にありがとうございます。表現は当方の反省の意味を込めて少しキツメに弄りました。すいません。
 書いた内容を忘れた頃に読み直すことが自覚する唯一の方法とは思うものの、自己嫌悪に陥ることも多々あって‥‥【ワークスK】

投稿: northerns484 | 2012/07/02 22:43

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