ペーパーサイド・ボックスカーをプラ板で
How to build old style paper-side cars in today's fashion, part 1: The first example is a boxcar and uses a supplement to the December issue, 1979 of NMRA Bulletin. One of the key points is to construct the body core with styrene sheets, and the other is to use a glue stick which claims to be strong enough to bond even metals.
大量の半端な1.2mm厚さプラ板が出て、一つ閃きました。
これで箱を組んで、その上から紙に印刷されたボックスカーのサイドを貼り付けるというアイデアはどうでしょう。格好の接着剤があるのです。
2年前にWGさんから頂戴したカラーコピーが少々あって、このうちNMRA会報1979年12月号付録のHOゲージ用を組んでみました。(WG@模型倉庫参照)【画像はクリックで拡大します】
紙を貼り付ける土台、すなわちコアとなるプラスチック車体の寸法は、この型紙から採ります。側板の大きさで130×32mm、車体幅は33mmです。
屋根板は、側板および妻板の面よりも0.5mmだけ競り出させます。コピーしてあるケント紙の厚さが0.3mm程度ですから、結果として0.2mm出る計算です。
車体裾のラインをカプラー取付面と一致させます。
床板下面は、裾ラインよりも1.2mmだけ上に取り付けて、車体上回りへの取付ビスの頭を隠します。
カプラー取付座も1.2mm厚で、タップを切るメネジ孔の深さを2.4mm、確保できた勘定です。
車体側板補強は5mm角棒で、これに床板取付用のタップを切ります。ビスは2個で十分です。
ボルスター面とカプラー取付面との段差は、使う台車に合わせて3.6mmとして、1.2mm厚を3枚重ねました。組立後に確認すると、この3.6mmでは0.2~0.3mm程度高過ぎるようです。
中心ピン位置は、後述の既製品を参考に、妻板外面から20mmとしました。
プラ板から切り出して組み立てます。接着剤はリモネン系を使い、側板、妻板、屋根板の接合部は添え木無しのイモ付ですけれど、強度は十分です。
ここまでは、あっという間で、パーツの段階の写真を撮り忘れたほどです。
次の画の真ん中が戴いたカラーコピーのケント紙です。
上の真黒なのが出来たばかりの車体で、屋根と床下を塗るときにマスキングをする必要は無くて、側面と妻面まで塗ってしまいました。接着剤の効きが少しは向上するだろうという思惑です。
なお、屋根の色を側面と一緒にする必要はサラサラなくて、このように黒か、濃い茶色に塗っていることがほとんどです。さらに多くの場合、妻面も屋根色と一緒です。
手前のスティク糊が、肝心の「ボンド・ニューハイスティック」で、紙を硬質プラスチックや金属に貼り付けられると謳っています。元々は稲葉清高さんに教えていただいた商品です。
これを車体と紙裏の両面に塗って、貼り付けていきます。ケント紙が僅かにカールしたので、成分の水か溶剤で伸びるのでしょうが支障はありません。切り口は白く目立ちますから、赤の油性ペンで色を付けます。
側面と妻面、それぞれ2枚を貼り終わった状態が次です。
床上面にはウエイトを貼り付けています。
次が、使用したパーツのすべてです。
台車は、普通ならアーチバーとするところを、一捻りしてフォックスFox としました。古いストックのラウンドハウス製品(品番2924)で、エクスプレス・ステーションの1.50ドルという値札が貼ってありました。この模型店の所在地はシアトル郊外で、注文したものが軒並み在庫していた記憶があります。
フォックス台車は1900年前後に普及して、この車の妻面下部には"AIR BRAKE"との表示がありますから、その導入期ということで、時代的にピッタリです。もちろん、金属車輪(9.5mm径)に取り換えています。
車体長130mmのNMRA推奨重量は100gとなります。ただし、アメリカからわざわざ取り寄せたウエイトが勿体無いので、7g=1/4オンスを6個として、全体でマイナス20%の80gとしました。まあ、軽くて脱線し易かったとしても補重は簡単です。
それ以外は、カプラー2個と、小ネジが6本だけです。
車体コアの組立に半日かかった後、一晩置いて、塗装と貼付で半日ほどでした。
ただ、完成写真を撮ろうとファインダーを覗くと、何か変です。
台車のせいもあるのでしょうが、これでは英国風ですよね。
古いアメリカ型に屋根歩み板だけは必要不可欠ということで、プラ板を切り出して追加しました。1mm厚の6.4mm幅で、1.2mmでは厚過ぎます。
両妻部に屋根板より1mmだけオーバーハングさせています。
寸法を参考にしたラウンドハウスのリーファーと並べてみました。
さすがに立体感の差は如何ともし難いのですけれど、合言葉は“走れば判らない”ですね。
心配は、接着剤とケント紙表面の耐久性で、クリア・ラッカーでの上塗りが必要かなとも思います。目途がついたら、残りに着手しなければなりません。
【追記】このペーパー・モデルをネット上に探したら、1件をヒットしました。どうもオークション・サイトで、一緒にゴンドラとリーファーが売りに出ています。屋根の出来映えから考えると、既製品の外面に貼り付けているようです。2012-07-10
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コメント
完成しましたね。
私の方は仕掛け品ばかりでお恥ずかしい限りです。
同じものを複数お送りすれば良かった思っています。
ドア部分などを切り出して貼り重ねれば多少の立体感を出せます。
今からでは色調合わせが難しいですが。
>>遅れていた宿題をやっと提出できた心境です(笑) ペーパー車体の技法では面倒で、またディテールの簡素化も難しいところがあります。お譲りいただいて、モデルの新しい楽しみ方を知りました。ありがとうございました【ワークスK】
投稿: WG | 2012/07/10 11:49
スッキリとした仕上げでいい感じです。中村汪介氏のテキ1を思い出させるところです。
>>言われてみれば瓜二つですね。尖がり屋根=ピークド・ルーフはプラ板工作にピッタリです【ワークスK】
投稿: ヤマ | 2012/07/11 11:23