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2012/08/15

五新線のコンクリート連続アーチ橋

Remains of a concrete arch viaduct on Gojo-Shingu line

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 和歌山へ出掛ける用事があって、少し遠回りにはなるものの、表題の遺構を見てきました。京都から奈良を経由して京奈和(けいなわ)自動車道を行けば3時間ほどです。【画像はクリックで拡大します】

Gojyo 3年前にスコットランドのグレンフィナン高架橋が話題となったときに、日本にもあると教えていただいたアーチ橋です。
 鉄道路線は奈良県五條市から和歌山県新宮市へ抜けるもので、戦前に着工したものの未成線で終わっています。
 右のGoogleマップでは、左上がJR和歌山線で、右下が吉野川(紀の川)です。

 京奈和道から国道24号線に降りて西へ進むと早速、特徴的なアーチが目に入ってきました。
 ただし、オーバークロスしているはずの橋桁が無くなっています。

Gojyo1 ストリートビューには写っているというのに、ビックリです。見るからに道路の拡幅工事のためですね。
 比べると、コンクリート・ビームの部分と北側のアーチが1つ、撤去されています。

 次の写真で構造が判りますが、上に載るアーチ桁と、それを支える橋脚が別体になっていて、ちょうどその左部分を取り去った形です。

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 よく見ると、橋脚2つに鋼材が巻きつけてあります。
 たぶん、アーチ桁が橋脚を突っ張るというか、押し広げる作用をしていることへの対策なのでしょう。これから何らかの補強工事がなされるのだと思います。

32dsc09823 アーチ桁の断面には、新しいコンクリートが打ち込まれていますから、元来はこの部分に土石が詰まっているのでしょう。
 ということは、アーチ桁のコンクリートは、側面とアーチ曲面部分、それに橋脚との設置部分にしか施工されていないことになります。

 さて、ここを訪れた最大の興味は、橋全体がカーブを描いている中で、それぞれのアーチ桁自体が曲がっているのか否かという点でした。

 航空写真から曲線半径を算出すると400mになりました。グレンフィナンの2倍です。
 そのせいでしょうか、手の届く橋脚部分をナデナデしても、曲がっているのか、いないのか、全く判りません。
 またカメラを望遠レンズに換えても、判然としません。

 で、この橋の北端に行ってみました。

32dsc09910

 残念ながら立入禁止です。
 めげることなく、金網の網目から覗きこみます。

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 望遠レンズを使ったらどうでしょう。

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 カーブしているとしか見えませんね。

 アーチ桁は1スパンが8.8mということですから、半径400mでは真ん中で48mmほどの曲がりとなって、コンクリート打ち工事としては、十分に可能なレベルでしょうか。

36dsc09929 この背後は、和歌山線の五条駅に続きます。ただ、絵的には面白くもなんともありません。辛うじて架線柱が写っています。

 24号線より南側へ行ってみます。

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 こちらの方がアーチ桁の数は沢山です。

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 高架橋に沿って歩けるようになっています。

 住宅から出てきた方にお尋ねすると、カメラを持った連中が頻繁に来るそうです。また、24号線の橋脚撤去は、つい最近とのことでした。

61dsc09832  左は2枚ほど貼り付けられていたプレートです。
 「工」のマークは国鉄の印のはずで、いまだにJRが所有しているのでしょうか。「のり尻」はハテナ?です。「法尻」だとしても?

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63dsc09866 橋の南端は吉野川、和歌山県に入ると紀の川と名前の変わる河川の堤防です。

 この手前がアイ・ビームとなっていて、その下に古い街並みが続いています。
 隣接する新しい道路橋は、その風情を壊さない配慮がなされていますね。

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 次は、由来案内です。

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 吉野川の堤防上から眺めたアングルです。

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 吉野川を越えて南の方向は、何も見えません。

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 ところで国道上の橋桁撤去については、2011年5月30日の読売新聞に拠れば、構造物は危険防止のためいったん撤去したものの再整備。そのほかの敷設部分も強度などを調査し、危険箇所は補強‥‥新たな観光の目玉にする計画とのことです。
 まあ、この「いったん撤去」が問題で、橋桁がどこかに保管してあるのならいいのですがね。

 線路跡の詳しい探訪記は、shinさんという方の「幻の鉄道 五新鉄道を行く!」をご覧ください。
 当方の写真撮影は2012年8月9日です。

【追記】タイミング良く、アメリカのコンクリート・アーチ橋の写真を、帰国したばかりのdda40xさんに送っていただきました。それもミルウォーキー・ロードの廃線跡です。(同氏のブログでの紹介は2012-12-20

812_6474a

 場所は、ワシントン州のスポケーンSpokaneから南へ40㎞、ロザリアRosaliaという地名です。

Rosalia_bridge
Google Map

 この航空写真を見ると、廃線跡は東西方向で、西の橋の下に道路が、東の橋の下にBNSF線が走っています。で、いただいた写真は前者ですね。

 特筆すべきは、線形が大きなカーブを描いているのに、アーチの一つ一つは直線である点で、グレンフィナンや五新線とは異なります。
 ざっとした計算では、曲線半径が700mで、スパンは26mでした。

 画像検索を掛けると、コンクリートの壁面にミルウォーキー鉄道のヘラルドが残っていたりと、結構有名な様です。2012-09-05

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コメント

早速写真を紹介くださりありがとうございます。いずれ私のブログで詳しく報告します。
友人からこのアーチ橋のことを聞き、車を走らせました。多くの費用と労力を掛けながら、この素晴らしい鉄道は廃線となり、遊歩道になっています。
線路跡は太平洋までつながっていて、多くの橋とトンネル、そして変電所が残っています。
このアーチ橋に到着したときは日没後50分で、すでに暗くなっていて、もうだめかと思いましたがASA感度を12000にして写しました。意外と良く写っていて驚きました。

>>社会資産として考えたら勿体無いのですけれど、これが資本主義ということですね。この写真は橋の北面ですから、こういう時間帯か曇天にしか撮影できないアングルでしょうか【ワークスK】

投稿: dda40x | 2012/09/06 05:35

ギリシャの恐ろしい急カーヴの上を通る鉄道の動画があります。アーチは直線です。
トラス橋はもちろん直線で、その上に線路が載っていますが、はみ出しそうです。

>>直リンクとしました。撮影者がパニクっている風ですね【ワークスK】

投稿: dda40x | 2013/03/05 22:20

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