紀州鉄道は本当に短かった
JR御坊の駅前自体はごく普通の様子。何の変哲もない。タクシーの数が多めだったり、駅弁の看板が掛かっているあたりが、この地方の中心であることを物語っているようだ。
さて紀州鉄道はどこ? と駅舎に入ると、掲げられている案内は手作りで如何にも無愛想だ。日本語も何だか変である。よそ者というか、観光客は想定していないのだろう。
JRの改札内へ勝手に入れるのは有難い。早速、通してもらう。
ホームでしばらく待っていると車両がやってきた。初期のレールバスとの解説がよく納得できるスタイルだ。
JR線に見比べると、線路に雑草が伸び放題で、如何にも経営の苦しさを訴えている。
首尾よくJRの列車と並んでくれたが、大事なショットがピンボケとなってしまった。
車で、車庫のある紀伊御坊駅に行ってみる。
異様なホームの広さからは、かつては相対式だったことがうかがえる。
車庫の方に何やら人影が見える。
駅舎はモダン建築ではあるものの、窓枠の錆が寂しい。
その中は、さも安普請といった風情。
展示してあるモデルは1/10だという。足回りは如何にも現場の手作りだが、ボディとペインティングは中々の出来栄え。説明には大分交通耶馬渓線から来たという経緯が綴られている。
ホームの南端から車庫内を覗き込むと、そのキハ603が入っていた。
早速、ぐるっと回って、車庫の南側に回ってみる。
もう1両が燃料を給油中だった。
駅の北に、廃墟となったガソリンスタンドを見つけた。小さいので、レイアウトにうってつけだろう。
さて、走行風景を納めようと思ったのだが、沿線は全くの市街地で、線路の両側に開けた場所を見つけられない。と、あっという間に終点の西御坊駅に着いてしまった。次は、その手前の様子。
終端駅にもかかわらず、線路は1本で、あとは何も無い。
東隣りは鮮魚店で、活況の様だ。このあたりから国道42号線にかけてが繁華街なのだろうか。
以上、2012年の9月12日、朝8時半にJR御坊駅に着いてから1時間半ほどの、単なる興味本位、冷やかし半分の訪問ではあった。
いたずらに観光グッズなどは販売せず、ひたすら鉄道輸送に励んでいる辺りは、鉄道趣味としては嬉しいものの、やはり先行きを心配せずにはいられない。
詳しく鉄道の様子を伝えているサイトや、往時の雰囲気をふんだんに盛り込んだサイト、あるいは御坊市役所のサイトなどがあって、地域に密着していた鉄道だったんだと思う。Google Map
【追記1】何とか、この鉄道を盛り上げる手立ては無いものか、と布団の中で考え出したら、眠れなくなってしまった。
思い付いたのは、目玉。
この車は正面2枚窓だから、顔を連想させる。紙を丸く切り出して目玉を描き、ガラスに貼ったらどうだ。
お金は全く掛からない。で、ときどき絵柄を取り換える。見る方は楽しくて、車両が来るのが待ち遠しくなる‥‥という計算だ。
評判になってきたら、沿線の小学生に募集するという手もある。
さらに、2両に名前を付けるというのはどうだろう。「キーぼー」と「テっちゃん」、あるいは「ゴーたん」と「ボーやん」とか。まあ、地元の方がアイデアはあるはずだ。
しかし、肝心な点は車体に大きく表示しないこと。隅の方に小さくだ。知っている者だけが知っている風を装う。
そしてそして、極めつけはカラーの塗り替え。
どこにも無いもの、ということで、パステル調でスカイ・ブルーとピンクは如何か。一色塗装だから塗るのは簡単で費用も安い。小型車で可愛いということで、いっぺんに覚えてもらえる。
キーワードは「カワイイ」だ。
一旦始めれば、あとは、プラレールとかBトレインとタイアップするなど、夢はいくらでも広がる。2012-11-16
【追記2】新聞の切り抜きが出てきたのでお見せする。朝日新聞が「関西の私鉄」と題して1980年に連載したものの176回。日付はたぶん10月17日。翌年に同名のハードカバーとして出版されたので、それほど貴重なものでは無い。
で、何と、同書の表紙カバーがキハ603である。邪推すると、大手5社のどれかを載せたのでは、それ以外の会社に顔が立たないから、あえてシガラミのないローカル線を選んだ……というあたりか。朝日新聞大阪本社社会部編、清文堂1981年刊「関西の私鉄」定価1,400円。2013-06-30
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