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2013/01/08

ディテールズ・ウエスト製ボックスカー(4)

An examination into the 50' insulated single plug-door boxcar models manufactured by Details West, now by Athearn.

品番700 スペーリア・プラグドア車
品番800 ヤングスタウン・プラグドア車

 ディテールズ・ウエスト社が発売したボックスカーについての4回目は、シングル・プラグドア車を取り上げます。2種類を一緒に扱う理由は、次の写真で一目瞭然。単にドアが異なるだけで、他はすべて完全に同一だからです。【画像はクリックで拡大します】

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Dw700 手前が品番700で、メーカーの呼び名は50' Insulated Single Plug-Door Box Car。奥が品番800の50' Insulated Smooth Single Plug-Door Box Carと、"Smooth"が付け足されています。
 キットの組立説明書も、後者には前者と同じものが添付されていました。

 アサーンでは現在、50' Superior Door Box Car、それに50' Youngstown Door Box Carと呼んでいますから、それに従うことにします。
 ただし、両者をドアのメーカー名で代表させる点は疑問‥‥、といっても、プラグドアについては不明な点が多く、探求途上です。

 例によってRMJ誌を探すと、古いヤングスタウン(品番800)が1990年3月号p25-27(TrainLifeサイト)に載っています。
 Fruit Growers Express社(FGE)によって、1960年代の初期から中期にかけて製造されたインシュレーテッド・ボックスカーで、プラグドアの垂直軸の間隔が異なり、19dsc04337車端のプレスパターンが正しくは3/4ドレッドノートである他は、実車に忠実。(写真の左が品番500、600、右が700、800のもの)
 問題は、この時期ならルーフウォーク付で製造され、1966年以降はそれが撤去されたスタイルであることと、アンダーフレームの"Hydra-Cushion"は一部の採用にとどまっていること。また、FGE社以外にも同様の車両をACFやPCFも製造しているとあります。
 MRG誌では1989年8月号p18(TrainLifeサイト)に実車写真が数多く掲載されています。

 次の内、奥のオレンジが現行のアサーンRTRブランドで、手前のイエローは1995年頃にアンデコから仕上げたものです。イエローはF1自動車用のキャメル・イエロー(タミヤ#TS-34)で、デカールはヘラルド・キング(#PR-80)です。

01dsc04361

 新しいスペーリア(品番700)の方は、RMJ誌1990年10月号p62-64(TrainLifeサイト)です。
 同じFGEが1968-74年に製造。リベットとか僅かな違いがあるが、大きな問題は、モデルのプレートBは初期車で、大部分を占める後期車は背の高いプレートC、かつ車内長も1フィート4インチ長い51フィート5インチである。"Hydra-Cushion"は一部の車で、大部分はディテールズ・ウエストが品番500、600に付属しているエバンス・タイプとのことです。

 次の写真では、手前がハイドラ・クッションで、奥がエバンスということになります。

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 ハイドラ・クッション!? そうです。ダブル・プラグドアのSP車で、側面に大きく書いている文字です。ならば、ということで、早速交換してみました。幸い、床板の填め込みには完全な互換性があります。

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Clc1974ps3206_sp_hydracushion

Hydra-cushion_underframe 実車の写真は、Car and Locomotive Cyclopedia 1974年版pS3-206からの引用で、メーカーはPC&Fです。
 ハイドラ・クッションの広告も同書pS9-31で、緩衝作用にハイドロリック(油圧)とフリクション(摩擦)を併用していることが判ります。

(追記)クッションの外形だけでなく、機能にご興味をお持ちの方のために、もう少し詳しい図を引用しておきます。Car Builders' Cyclopedia 1961年版p649です。
 そのモデル化などについては、別記事をご参照ください。2015-03-01

Cbc1961p649

 エバンス製ダブル・プラグ・ドア車の写真を拾うと、Boise Cascade、GTW(一部)、Astora Plywood、Evansデモ、Weyerhaeuserに、ハイドラ・クッションの垂直シリンダーと思しき突起が見えました。当方の保有車では、ボイジー・カスケードがそれということになります。

 ところでシングル・プラグドア車は、BNの冷蔵車運用会社であるウエスタン・フルーツ・エキスプレスが多数、保有していましたので、そのアンデコ、未塗装キットを幾ばくか、10数年前に買い込んでいるのです。

19dsc04298  ただし、種々、文献を読んで知識が増えてしまうと、駄目ですね。あれも違う、これも不適当とばかりに、仕上げたのは前述の1両で止まっています。デカールも用意してあるのですけれど、車体色にイエローとオレンジが併存する意味の解明が出来ていませんし‥‥。

 なお、これらのキットの別付パーツはハシゴを除き、ディテールズ・ウエスト得意のホワイトメタル製でした。

BC-700 Undecorated with Superior plug-door
21dsc04296

BC-701 Southern
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BC-702 Burlington Northern
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BC-703 Louisville & Nashville
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BC-704 Conrail
BC-706 Norfolk & Western
BC-707 Penn Central
BC-708 Southern Pacific
BC-709 Norfolk & Western
BC-710 Green Bay & Western
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BC-711 Fruit Growers Express
BC-712 Erie Lackawanna

 現行のアサーンRTRブランドはここです。

BC-800 undecorated with Youngstown plug-door
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BC-801 AT&SF
BC-802 Soo Line
BC-803 Boston & Maine
BC-804 Rock Island
BC-805 Norfolk Western
BC-806 Providence & Worcester

 次はアサーンRTRブランドです。

ATH74804 BN/WFE 2009
71dsc04072

 ディテールズ・ウエストの発売時期は明確には判りません。広告や雑誌記事から、スぺーリア・タイプが1983年で、ヤングスタウン・タイプが少し遅れて1990年だと推定しています。

【追記1】スペーリア・タイプのモデルは、ウォルサーズ社から正しくFGE製を謳って、1993年(1992年?)にキットが発売され(Tony Cook氏のサイト)、現在でも完成品が売られています。

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05dsc04369

06dsc04365屋根がシルバーとなっている方がウォルサーズ製です。車体の長さと高さ共に、目立った差は無いように見えます。
 車体に浮き出ているリベットはオーバーですね。また床下にはクッション・アンダーフレームの表現が無く、車端にカプラーポケットの突出がありません。
 台車はコイルバネ入りの可動式ですが、私が交換しているかも。2013-01-09

07dsc04367

【追記2】ハイドラ・クッションの開発者が判明しました。スタンフォード研究所(Stanford Research Institute)のWilliam K. MacCurdy(Wikipedia英語版)という人物で、やはりSPとの関係が深いようです。2013-05-02

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