MR記念モデルのコレクション50年分
この集合写真の左上がそれです。
これらが発売されたすべて、というわけではないのですけれど、まあ、MR誌関連は私にとって完結です。
ノベルティ商品とか、プレミアム・アイテムとでもいうのでしょうか、こういうものが存在することを最初に教えてくれたのは、もちろん、とれいん誌でした。1995年12月号p11に、NMRAやメーカーとしてのアサーンのものが紹介されています。
アメリカ型を始めて間もない身は、何と面白い。こういう楽しみ方もあるのか、と、いたく感激したものです。
その前にも、とれいん誌が独自のステッカーをデザインしたことがあったのですけれど、如何にも野暮ったかったんですね。天賞堂とか、トミックスのものも、サマにならないというか、私にはどうしても違和感があります。
それに対してアメリカは、どれも巧みです。実物に例が溢れているからなんでしょう。わが国でも近年はコンテナが独自の意匠に塗られるようになってきて、変わっていくことだと思います。
とれいん誌の記事を見て以来、MRやRMCといった雑誌社のものをはじめ、アサーンなどのメーカーのもの、NMRAなどの団体のものと、折りにつけて集めてきた様子は、当方の「ファンタジーボックス」に披露してきました。
これらのモデルが日本でも手に入ることがあるんですね。ただ、圧倒的には彼の地からです。
昔は模型店のリストに頼るばかりでしたけれど、今はネット・オークションがあります。ただし、こんな小さくて安い貨車でも送料がバカになりません。で、これだけ送ってもらうということは、一部の珍品ならいざ知らず、普通はありえなくて、品数が揃う場合に限られていて、時間が掛かります。
ここに紹介するMRは、どれも販売数量が多かった様で常に出品されていますから、急ぐことは無いのです。今回の50年以上前のものでも、程度と送料を気にしなければ、直ぐに手に入ります。私の入手品は、あちこちが破損していて箱無しということで、数ドル程度でした。
なおMRの雑誌自体については、創刊から2009年までの75年分の中身がDVDで発売されていて、検索ができるようになっています。よって、これらのモデルを調べるのは簡単です。その結果は「ファンタジーボックス」で披露していますのでご覧いただくとして、ここでは、概略を述べさせていただきます。
順番は発売順で、真横写真をクリックしていただくとファンタジーボックスのページにジャンプします。
■25周年(1959年)
このモデルは、マンチュア/タイコ製品です。
たぶんオモチャだろうと、期待をしていなかったものの、入手してビックリしました。プラスチック車体のモールドはアサーンに勝るとも劣らぬシャープさで、レタリングだって、時代を考えたら驚異的なレベルです。また床板がダイキャストで、それを車体に4本のビスで固定というシッカリとした造りなんです。スライディングドアのレールが金属の曲げモノで、スベリは極めてスムーズです。
ただしカプラーが台車マウントで、独特の構造だったので、下まわりを丸ごとアサーン製に取り替えています。
なお、車体四隅のステップが3か所、折れていました。
他にも破損個所がありましたけれど、このステップが無くなった中古モデルは多いですね。これは1mm厚の黒いプラ板から切り出して接着しました。塗る色を適当に合わせている理由は、完全にマッチさせると、苦労して直したところが判ってもらえなくなる‥‥という屁理屈です。接着剤にはスーパーXを使っています。こういうところではMEKやリモネン系よりも効果的です。また、接着面積が少しでも増えるように車体側を削っています。(その後、こういう修理は、リモネン流し込みタイプに変更)
■40周年(1974年)
これはアサーン製品です。
25周年との間の、30年と35年は出ていないはずです。その頃は、こういうものがまだまだ商売にならない、と考えられていたのでしょう。詳しくはファンタジーボックスに書いておきましたが、別にNスケールがケーディーから販売されました。
ブルー地に白抜き文字の部分で、リベットの周囲にインクのノリが悪いのは、如何にもミスボラしいのですけれど、どの個体も一緒の様です。
■50周年(1984年)
この金色のモデルこそが、とれいん誌に掲載され、私が最初に入手したものです。
日本でもお持ちの方を見かけますから、天賞堂あたりが輸入したのかもしれません。
"50 YEARS"のロゴは、20世紀フォックス映画のそれを連想させます。
車体表面にツヤがあって、透明ラッカーでオーバーコートされています。印刷が格段に向上しています。
■60周年(1994年)
こちらはラウンドハウス=MDCです。実物のウィスコンシン・セントラル鉄道の貨車に塗ったものをそのままモデルに、というのですから、感激しました。NMRAの60周年(ファンタジーボックスのページ)でも同じく、実車とモデルが登場しています。
しかし、実物の車体長は60フィートと、これよりも長いのですね。加えて、記念ロゴが別貼りのプレートに描いてありました。
そんなことを知ったときには、ガッカリしたものです。一方、専用のデカールが販売されています。まあ、自分で仕上げようとは思いませんけれど‥‥。
ロゴのデザインは、色をたくさん使ったにしてはお粗末です。また、インクの薄さというか、隠蔽力も気になります。
コンテナは完全なファンタジー、すなわちフェイク・モデルです。ありあわせのフラットカーに載せてみました。
こちらのロゴで、上部の空色とすべきところを、ブルー版の網目で処理しているところは、コストダウン手法として秀逸でしょう。
実は昨年、発売元のコンコーのサイトで特価セールをやった中に、このコンテナが入っていました。2個入りがたった1ドル75セントでした。まだ売れ残っているかもしれません。
私は日本の模型店で買っていて、1個に1,250円も払っています。
■65周年(1999年)
この年、1999年は、次の年が切りの良い2000年ということで、前後にはMR誌以外にもたくさん出ました。まあ、良い時代だったんでしょう。
この3種はアサーン製です。ただ、MRに広告も告知も見付かりません。
私の情報源はたぶん、向こうの模型店からの案内で、現物も判らずに注文しています。当時の通信手段は、メールではなくて、ファクスだったと思います。ニフティに海外へも送信可能なサービスがありました。まあ、中学で習い出した英語がやっと実用になって、浮かれていたんですね。
展望車は、雑誌創業者の名前を冠しています。しかしなんと、片側のレタリングが欠けているミス・プリント品です。デカールを自作して貼り付けるのはオチャノコサイサイではあるものの、いざとなったら高値で売れると期待しています(笑)
当方のヘビーウエイト客車編成は、RMC誌のそれらと組むこととしていますが、これ、6両のうち3両が展望車という豪華列車です。(ファンタジーボックス)
89フィート・ボックスカーは、アサーン製品ですから、難儀なモデルです。スイング式のカプラーポケットを一応、ウォルサーズ製(品番933-997)に取り替えて、走る様にはなっています。ただし、補重とか、床板が外れ易いなど、このモデル特有の問題が懸案のままです。
40フィート木造ボックスカーです。今なら、買うのはこれだけですね。
■70周年(2004年)
これは実車のモデル化の体裁で、アサーン製です。ただし、60周年とは異なり、スケール・モデルと言えます。車種はダブル・プラグドア・ボックスカーで、例のディテールズ・ウエスト製品を引き継いだ金型によるものです。(別記事を参照)
リポーティング・マークは、ウィスコンシン&サザン鉄道W&SのWSORです。MR誌を発行するカームバックKalmbach社があるウィスコンシン州ミルウォーキー付近を走っているという理由なんでしょう。
ロゴのデザインは、他のレタリングにも使う白を除けば、ブルー一色と、モデルでの生産性を考えた配色となっています。
私のコレクション・カテゴリーとして、これをファンタジーボックスに入れるか、またはBNのカスケードグリーン・フォーエバーとするかは悩みました。一応、買い求めた主旨から前者としています。
■75周年(2009年)
これも70周年と全く一緒でW&Sの実車と共同歩調のアサーン製です。印刷技術の進歩で、ボカシ部分が見事です。
おっと、今年が2013年ですから、来年は2014年、MRは80周年ですね。そろそろ新しい企画が持ち上がっていることでしょう。
ところで私は、この1月号で同誌の購読を止めました。
紙版の3年予約が切れて、デジタル版にしようと考えていたのですけれど、それもやらないこととしました。
理由は、幾度も届いた出版社からの更新案内には紙版しか記載されていず、デジタル版については一切、触れていなかったからです。その申し込みの期限が切れて初めて、デジタル版の案内が来ました。まあ、「ヘソを曲げた」ということもあります(笑)
紙版の部数を減らすと、印刷屋や郵送会社からのディスカウントが無くなって、コストが大幅にアップしてしまう、というあたりだろうと勘ぐっています。
いやいや、本当の理由は、他にRMC誌と、無料ダウンロード誌のMRH誌を購読していますから、MR誌購読には必要性が薄くなったことが一つです。
それ以外では、面白い記事が滅多に無いことが挙げられます。その証拠に、他の2誌からは、頻繁に掲示板や大辞典へ引用しているのに、MR誌からは近年、ほとんどありません。
さらに決定的な点は、編集が広告主寄りに過ぎることです。先日のアサーン製DDA40Xの例(掲示板へ)でも判る通り、メーカーのアナウンスに異論をコメントすることは皆無なんですね。製品案内は全くアテにならないと断言して過言ではありません。
私は、モデル・レールローダーの過去号を、78年分のうち、ほぼ70%を入手しています。それがアメリカ型鉄道模型の年代指標でもあったからです。
しかし、これからの分は不要です。それに代わるものが存在するし、役に立たないからです。
まあ、私ごときがこう考えているのですから、向こうの連中にも同じ奴がおるはずです。ことによると、80周年記念モデルは、出ないのではないかと‥‥。
3年前にシタタめた「モデル・レールローダーの10年」なる記事も御一読ください。
【追記】85周年(2019年)
案の定、2014年の80周年は発売されなかったのですけれど、なんと、2019年の85周年が出て、雑誌社から直販で求めました。事情があって公開を躊躇していました。掲示板では2018年10月14日にアナウンスをニュースとしてお伝えしています。2020-05-02
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コメント
シルバーアニバーサリー、入手おめでとうございます。
実は、私もあまりまじめにではありませんが、「どっかで出てたら買おう」リストには入れていたりします。ゴールデンアニバーサリーはちょうど就職した直後だったので、アメリカへ出張した時にどっかの模型屋で買いました。
そういえば、40 周年は相当昔にどっかの模型屋で見たのですが、リベットのところの塗装が悪くて買わなかったのですが、どうも個体差ではないみたいですね。それと、これだけが BLT が、創刊年なんですねぇ。メクジラ立てる話じゃないんだろうけど、AAR 1937 標準が世に出るより MR は古いという事に別の感慨もあります。(今なら ARA 1932 標準が Atlas から出てるから、それでフェイク作る手もあるなあ)
>>ううむ。アメリカ型は、細部まで楽しめるんですね。奥が深い! 現在の技術力をもってすれば、アマチュアでも当時の製品を凌駕出来るということで、当方にもこんなイチモツが!【ワークスK】
投稿: 稲葉 清高 | 2013/02/16 20:11
マンチュアは兎も角も、タイコ製品はロクなものが無かったと言う印象があります。何分にもピボット車輪の車軸が妙に太いプラスチック製なので転がりが悪いのなんのって、、、。マンチュアは十分に鉄道模型の範疇に入ると思うのですが、タイコは下手すりゃおもちゃにも負けると言うのが率直な印象です。
>>そうですね。私もRTRのタイコには苦労させられた記憶しかありません。
同じ40フィート・ボックスカーでも、後年のものとは全く別物です。これ、カプラーの復元が線バネとか、他にも多々手が掛かっています。【ワークスK】
投稿: 松本哲堂@風雅松本亭 | 2013/02/16 21:09
私も最近になって一連のMR記念貨車がワークスKさんとお揃いになりました。
ちょうど9年前の今頃、初めてアメリカ出張をして、MR70周年貨車の実車が存在することを知りました。数年後、幸か不幸か駐在になり、モデルショップの棚で埃をかぶっていた箱や、スワップミートで箱なしジャンク寸前のものを目にしました。限られた時間でそれらに気づくためには、場数をこなして直感のようなものが必要でした・・・もちろんそれが高価でないことも条件でした。
帰国してからチェックし直すと、きっかけになった70周年貨車だけが未入手だったのですが、それが最後に手に入った次第です。
始めは単なる記念品だったはずが、逆に実車ができてしまうようになったのはアメリカならではです。
今回、車両毎の詳しい解説をしていただけたのはありがたいことと思います。
>>おおっ、とやまさんもお揃えですか。この70周年車には惚れ惚れしますね。企画力もデザインも、他社のものを含めて抜きん出ていると私は思っています【ワークスK】
投稿: とやま | 2013/02/17 13:18