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2013/04/04

13mmゲージJMを始める前に(1)

Basic study for the beginners by a beginner of 13mm gauge (1:80, JM gauge) modeling, part 1: the concept and the specifications JMゲージとは、13mmゲージとは

 アクラスのワラ1を購入して、長年の憧れだった13mmゲージに改軌した。
 機関車は20数年前に手に入れた上田丸子電鉄のEB4111。折に触れて、車輪とかレールとかを買い集めてきて、初めてレールに電気を流してみた。

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 うぅぅん! グッとくる。これだ! これやがな! これぞなもし!

 んっ? あれっ? なにか変だぞ。
 この2両は、車輪の厚さが違う。ワラ1が厚い。

 ありゃっ、13mmの車輪って、委員会が何年か前にちゃんとした規格を定めたのではなかったっけ? ワラ1は、売り出されたばかりだよなぁ?

 おかしい。というわけで、昨年の5月に思い立ってネットや雑誌で徹底的に調べ始めた。そして実際にやっている友人を質問攻めにもしてみた。
 すると、予想もしていなかったことが判ってきた。【画像はクリックで拡大】

 以下は、私が勝手に解釈した結果。
 間違いや見当外れがあったら御教示をお願いしたい。

[1] 13mmゲージの概要(アウトライン)

(1) 現在の基本は、シノハラ製の線路を通過できることが大前提となっている。

(2) 車輪は、専用の薄い車輪(仮に薄車輪と呼ぶ)と、普通の厚い車輪(同、厚車輪)が共に使える。

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左はスパイクモデル製の薄車輪、右はアクラス製の厚車輪

 ここのところが一番、確証を掴むのが大変だった。どこにも明記されていないのだ。ネットに披露されているファンは、どちらか一方に偏る傾向にあって、混用しているとハッキリわかる例はそれほど多くない。

(2-1) 薄車輪は、スパイクモデル等から発売され、厚さ2.0mmほどと実感的である。バックゲージは11.5mmとなっている。
 ただ、全ての種類が揃っているわけでは無く、値段も高い。フランジも低いから、いくぶん脱線し易い。

(2-2) 厚車輪は、普通の16.5mmゲージ用車輪のことで、改軌しようとする元のものを、そのまま左右間隔だけを詰めて使う。厚さ2.8mm基準で、バックゲージを11.2mmとする。
 費用も安価で、おまけに確実に走行する。

(2-3) 薄車輪と厚車輪の間の、中間的な寸法のものを珊瑚模型店が発売しているらしい。同店製車輪のバックゲージを11.0から11.2mmに変更したときに採用されたと思われるが、入手していず詳細不明なので、本ブログでは考えない(考えられない)。

(3) 車軸長さの考え方には2種類があって、長軸と短軸と呼ばれている。薄車輪、厚車輪共に存在する。

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左は短軸、右は長軸のイメージで、両者とも薄車輪。

(3-1) 長軸による方法を長軸改軌といい、台車をそのまま使って、車軸長さもそのままに、車輪だけ軌間を詰めるイメージである。
 もし、車軸が段無しのストレート軸だと、両側の車輪を1.6mmずつ、内方へ動かせばよい。コツは「コンコンと徐々に叩く」ということで、「コンコン改軌」と呼ばれている。トントン改軌(笑)
 実物の国鉄車両では昔、標準軌間への改軌準備などの理由で長い車軸が使われていたが、その手法である。

(3-2) 短軸というのは、車輪を内方へ寄せると、軸端の出っ張りが大きくなるが、これを短く切ってしまうイメージで、短軸改軌と呼ぶ。
 台車側枠が内方へ引っ込むので、実感的となるものの、あちこち改造しなければならない。
 左右の台車側枠を結ぶ台車枕梁(台車ボルスター)を、スパイクモデルではセンターベアラーと呼んでいて、交換のための各種台車用が市販されている。

 こんな単純なことを理解できるまでに数か月を要した。単にボケが始まっているという意見もあるが‥‥。
 どうも、13mmゲージJMの先輩たちは、初心者が知りたい基本的なところ、肝心な部分を手抜きされる傾向にあるようだ。

 そして、具体的な数字を整理できるまでに、パーツを買ったり、雑誌を読み込むなどで、さらに半年が経過した。

 

[2] 改軌の基本(詳細寸法の確認)

(1) 薄車輪は現在、2003年に13mmゲージ規格検討委員会が提唱した輪軸が基本となっている。
 それまでのスパイクモデル製の寸法で、タイヤ厚2.0mmには変更が無く、バックゲージ11.5mmに公差(+0.0 -0.2)が設けられ、フランジ形状が改良された。

(1-1) 薄車輪は、分岐器のフログで落ち込むことがある。そのため、(現在発売中の)分岐器のフランジウエイはいくぶん底上げされている。
 バックゲージが広めの方が落ち込み量が少ないが、11.5mm超ではフランジがフログに衝突する。11.3mm未満では、軌間が限度(13.8mm)一杯まで広いときに、タイヤが軌間内に落ちる。
 よってバックゲージの目標値(基準値)は、上限の11.5mmとなっている。

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左が薄車輪で、欠線部に落ち込んでいる。右は厚車輪で、落ち込むことがないのだが‥‥。後述、[3]の(2)を参照

(1-2) 薄車輪の仕様は、エンドウ、ムサシノ、イモン等も採用していて、NMRA規格的に換算すれば、タイヤ厚#80程度に相当する。ムサシノはフランジ形状等(コンタ)が若干異なるかもしれない。(同店サイトを参照)

(2) 13mmではない1/80、16.5mm軌間で一般的な車輪は、NMRA規格で「スタンダード」と呼ばれる#110(タイヤ厚0.110インチ=2.8mm基準)である。日本のカトーやトミックス、天賞堂、カツミ、日光モデルなどが、これに倣い、アメリカのアサーンやアトラスなどは当然、全面的に採用している。

 これが厚車輪で、13mmゲージJMでも使える。また、HOスケールの36インチ(=914.4mm)車輪は10.5mm径で、80倍すると上手い具合に、日本で一般的な直径860mmとなる。

(2-1)厚車輪の改軌は、バックゲージを11.2mmに改造すればよい。これは、ネットに書かれている標準的な数値である。正確にいうと、チェック・ゲージを、委員会仕様の12.0mm(+0.0 -0.2)に収める。また、フランジ先端の底付きについては後述する。(バックゲージについては現在、鋭意研究中です。その途中経過をお知りになりたい方はプロフィール・ページからメールをお願いします)

(2-2) 白取剛氏が始めたバックゲージ11.0mmは、委員会仕様から外れる。
 かつて珊瑚模型店やニワモケイが販売していた厚車輪がこのバックゲージ11.0mmだった。現在の珊瑚製は11.2mmで、薄車輪と厚車輪の中間的な形状寸法という(廣瀬渉氏のサイトで「13mmゲージの規格・呼称」のページを参照)。ニワモケイも途中で薄車輪に変更し、バックゲージ11.5mmを採用していた。

(2-3) 厚車輪を流用するこの方法が、安価で簡単、しかも確実な走行を実現できるとして、ファンの間で広く行われている。
 製品としてもアクラスが採用している。

 

[3]  フログでのフランジ落ち込み問題

(1) 薄車輪に対して一部のファンが抱いている認識で、「薄車輪は、フログと衝突する」という件は、実際には「タイヤ幅が薄い薄車輪は、フログで落ち込む。これにより、高速走行では飛び跳ねる」という現象を指す。ただし、かつて薄車輪の一部に存在した、バックゲージが11.5mmを超える製品は、事実フログに衝突する。廣瀬渉氏のサイトで「13mmゲージの規格・呼称」のページを参照
 ユックリ走れば、落ち込むだけで脱線はしない。もちろん、フログは摩滅する。

(1-1) フログ(6番左 本年入手)の寸法を確認すると、フランジウエイの深さは0.6mm程度であり、薄車輪のフランジ高は0.45-0.50mmであるから、レールの存在する誘導部ではフランジ先端が底に触れることはないものの、欠線部で落ち込んで底に当たる。
 ただし、かつての製品に較べると、フランジウエイの底が浅くされていて、落ち込み量は減っているようだ。

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薄車輪は、左の誘導部ではレールに乗っているが、右の欠線部では落ち込んでいる。

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正面から見たところ。誘導部で、フランジ先端が底から浮いている。

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欠線部では、フランジ先端が底を転がっている。

 2軸のみの動力車においては、欠線部でレールとの接触が片側1輪となり、集電不良が危惧されるが、その長さは6番分岐で5mm程度である。(8番では7mm程度か?)

(1-2) 2003年の検討委員会の文章には、分岐器の問題を「継続して検討」とあったものの、進展は無いようだ。

(1-3) 薄車輪を使いたいという欲求は、蒸気機関車愛好者に根強い。
 特に、近代型を前から見た時に、メタリックに光り輝く薄い先輪は、モデルの印象を著しく左右すると主張する方が多い。またシリンダーやバルブギア回りの寸法取りに極めて有利である。

(2) 厚車輪は、シノハラ製(本年購入 6番左)のフログの全長にわたり、フランジ先端が底付きをする。
 そのフランジウエイの深さは前述のように0.6mmで、フランジ高さ規格値の最大0.71mmよりも小さい。

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厚車輪は、フランジ先端がフランジウエイの底を転がる。

00dsc05706  底はプラスチックの一体射出成型なので、6番分岐のフログは22mm長の無電区間ということになる。8番分岐ならば、もっと長くなり(比例計算すると29mm)、多くの台車の固定軸間距離を超える。

 これは大問題で、2軸車は制約が極めて大きく、ボギー車でも8輪全部で集電する必要がある。
 また、高速通過では衝突による飛び上がりの危険性もある。

 ネットでは、タンクヒロ氏が彰丸鉄道の車輌製作記で指摘されていた。2009年の時点で「4番Yポイント7本のうち5本」と書かれているので、これは途中からの設計変更なのだろう。
 薄車輪の落ち込みを軽減したいという気持ちは判るが、2線式の鉄道模型として禁じ手だと思う。プラスチックだから、削って深くすることは可能か。逆に集電車輪だけ、フランジ先端を削る手もある。

 

[4] 他のゲージでの車輪と軌間の問題

(1) 車輪・線路関係の基本的な考え方をアメリカ型流に整理すれば、1つのゲージに規格が3種類あるの内で、13mmゲージJMでは「スタンダード」と「セミ・スケール(ファイン)」という2種類の車輪を同一の線路上で走らせる、と解釈できる。3つ目の厳密な縮尺である「プロト」は考えられていない。
 この見方では、カツミやカトーなどの車輪=厚車輪が、「スタンダード」である。それに対して、スパイクモデルなどの薄車輪は、「セミ・スケール」に相当する。

 なお、NMRAのいう「プロト」は、「プロト・サーティーン」の「プロト」とは、定義が異なっていて、薄車輪を「プロト車輪」と呼ぶと、混乱が生ずる。

 すなわち、2種類の車輪と、1種類の線路から、分岐器のフログで薄車輪の方が落ち込む現象が起こりえる。

 実をいうと、これは現状のNMRA規格でも、HOゲージとOゲージとが、こうなっている。

 HOゲージの問題は、トラパシ鉄道模型掲示板を参照願いたい。

 Oゲージについては、アメリカ型鉄道模型大辞典の「145番」や「172番」の項に書いた。

91dsc09210 (2) 12mmゲージでも、車輪がシノハラ製のフログに落ち込む。(写真を参照、小菅一己氏のレイアウトにて)

 タイヤ厚が2.0mmは「セミスケール」。当たり前か。
 と思ったが、よく考えると、12mmには「スタンダード」が存在しない。「セミスケール=ファイン」だけだ。この1種類の車輪寸法のみを考慮して、分岐器の寸法を決めればよいのだから、落ち込まない規格が可能だ。

 よって、HOJC暫定規格(サイト参照)は当然の帰結だろう。これに則っているモデルズイモンの分岐器は、タイヤが落ち込まないという。

 この問題は微妙だ。
 落ち込みが常にあるのか、といえば、そうでもない。慣性もあるのだろうが、3点支持にしても落ちないことが多い。たぶん、連結器で引っ張られているからで、軸バネ式だったら沈むかもしれない。
 気にしなくてもよいことともいえる。

 一方、気にしだすと止まらない。かつて16.5mmのPECO製ポイントが悩みの種となり、フランジウエイの底を嵩上げするパーツまで売り出された。しかしこれ、当然、車輪がレールに接触しないこととなるので、絶縁物なら集電不良は改善されないし、高速通過で底に衝突して飛び跳ねが起きてしまう。

 正攻法は、フログ側のフランジウエイを狭めることだけれど、分岐器の自作は気が重い。12mmゲージでは改造を試みた方がおられた。(にゃんこのおひげ氏のサイト

 次回に続く‥‥

 

 実際のモデルを手にしたり、走らせた経験が少ない中での個人的な検討ですので、見当違いや間違いがあると存じます。皆様のご助言をお待ちしています。

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コメント

たぶん推敲の段階で入れ替わったのだと思いますが、説明の「左」と「右」があちこち逆になっていますよ。

>>早速の御拝読多謝。未だ校正中ということで‥‥(笑)【ワークスK】

投稿: YUUNO | 2013/04/04 02:42

フランジウェイじゃないですが、JMの深みにはまっておられるようですね。
校正されるなら、写真のキャプションの文字を少し大きくしてください。

12mmシノハラポイントですが、私も改造しました
乗工社D51で分岐側へ入れるようにしたら、こんなことになりました。
フログの加工はしないで、ガードレールの加工で対処しています。
正攻法ではありませんね。(笑)

>>いやいや、フランジウエイが浅いので困っているのですよ。もう少し深くしてもらわないと‥‥(苦笑)【ワークスK】

投稿: ヤマ | 2013/04/04 21:22

初めまして。JMゲージャーのC62 3と申します。(タンクヒロ氏とは、以前からお付き合い頂いて居りますです。)

当方、C62 2/C62 3の牽く、
重連急行「ニセコ」(103/104/105/106レ)
を、JM改軌せしめんと計画を進めて居りまして、1/80の車体は問題が少ないのですが、

やはり、タイヤコンターと、フログでの、
落ち込み対策で悩み、結果、BG11.5mmの、
スパイク/ニワ/エンドウグループと、
BG11.2mmの珊瑚/自作グループの両方が通過可能な6番相当の分枝器を自作しましたです。

しかし、珊瑚から続々登場の蒸機用動輪は、
BG11.2mmであり、扶桑模型のC58等は、
11.5mmグループで、常悦線で、もし走行会を催すチャンスがあれば、珊瑚グループでないと、落ち込む可能性がありますです。

篠原や、エンドウや、IMONの分枝器の改良や、フログの部分のみのパーツ化を期待したいですね。

>>大きな目標をお持ちとのことで、大変に羨ましく存じます。情熱を持続させて是非到達されることをお祈りしています【ワークスK】

投稿: C62 3 | 2013/05/24 19:09

おひさしぶりです(で良いのかな)
こんな所にうちへのリンクが・・・

プロバイダーの都合によりこちらのアドレスに変更されました、すみませんがリンクを変更していただくと助かります。
http://nyankonoohige.g.dgdg.jp/train/railroad_model.html

>>お知らせいただき、有難うございました。訂正しておきました【ワークスK】

投稿: にゃんこのおひげ | 2018/01/23 20:31

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