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2013/05/08

電車はどうして曲がれるのだろうか?

How do trains turn in curves smoothly? 

99dsc05785 ちゃんと説明せよ!
 ということで、取り急ぎ
 万人向きでない点は乞う御容赦

 とりあえずアップして、少しずつ手直しするつもり。難しい理論なんてものは無くて、あるのは、誰にでも理解できる簡単な道理だけ。ただ、一般的な認識からは少し外れるので、信じてもらえるか否かが大問題。【図はクリックで拡大】電車はどうやって曲がるのか 電車が曲がる原理は 電車はカーブでなぜ脱線しないのか

[1] 車輪にはテーパーがある

 そう、踏面は円錐形になっていて、カーブの外側に輪軸が寄れば、内外輪差が生じて勝手に曲がれるはず。(円錐形=コニカルという)

 しかし、疑い深い人間は考える。

「車軸がカーブの中心に向けば、その通り。
 しかし、電車の台車は2軸。
 1軸は向けられるが、もう1軸はどうするんだ?」

【岸和田のダンジリや祇園の山車は4輪で、街角を滑らかに曲がれず、苦労して前輪を横滑りさせる。左右が独立回転でもダメ。これに対して日本古来の牛車や大八車は2輪で、自由に曲がれて実用的。西洋の4輪馬車は前輪に「第五輪fifth wheel」と呼ばれる操舵機構を備えていた】

[2] フランジがあるさ

Txit_slack これは、「ゲージ・スラックの鉄道工学」に書いた。
 フランジが擦れて、曲がっていく。先頭軸は外軌側へ寄るが、後軸は内軌側。
 ここで、テーパーは無力。意味をなさない。先頭軸だってカーブ中心には向かない。

 すなわち、無理して曲がる。

 これが結論。いくら説明しても理解してもらえない。

【コメントいただいたように、ミッキ~さんがこのあたりを如実に理解できる実験を考案されました。ぜひ同氏のブログ記事をご覧ください】

 自動車の様な、ゴムタイヤと道路面とは異なり、金属同士というか、スチール同士の接触、摩擦現象が、ソコソコの範囲に収まるので成り立っている。

【車両には遠心力が働くから、車輪は外軌側へ寄るはずだ、という意見があります。となると、ユックリ走ったらどうなるのでしょうか? 路面電車はどうする? カーブでは停車が御法度?】

 戦前の鉄道人でも一般常識だったのに、戦後の専門家が知らないで本まで書く。まったくの恥さらし。というか、この問題は、車両屋より、保線屋の方が詳しい。切実だから‥‥。

[3] 2軸を共にカーブ中心に向けたら

Img342a そう、それが操舵台車。舵取りできる台車ということ。これが究極。図は、南アフリカのシェッフェル台車。
 この操舵台車を知っているのだから、そうじゃない電車がどうやって曲がるのか、とか、どうして操舵台車が必要なんだろう、と、なんで考えないのだろうか。

 そう、ほとんどの電車は操舵台車ではない。

 「操舵台車の妄想が拡がって」という記事を書いたことがあった。

[4] 昔の電車は曲がれた

 戦前の台車はペデスタル式だった。軸箱の前後方向にガタ、遊びがあった。
 これが適当に大きければ、2本の車軸は共にカーブ中心を向くことができる。(まあ、ちょいと強引だけれど)
 必要な寸法は計算できる。ほんのわずか。誰かやってみて。

【国鉄2軸貨車のリンク式軸受もワザとガタを設けていたという話を、アメリカ型鉄道模型大辞典の「ラジアル台車」の項に書いた2013-09-04】

 ところが、これでは直線の高速走行で、蛇行動(惰行動)を起こす。
 ガタガタでいいのは、70km/h以下。

 でも新京阪は100km/hで走っていた。阪和電車もそうだ。

[5] イコライザーの威力

Img_1353a 幸か不幸か、アメリカ系の台車は弓形イコライザーが付いていた。
 バネ下重量となるから高速電車には不利、と思いきや、
 これが蛇行動防止には抜群の効果があった。
 軸箱に乗っているところの摩擦で1軸惰行動を抑え込むわけ。アムトラックが1980年代まで手放せなかった理由がこれ。

[6] 高速化には2軸平行が不可欠

 初期の高速台車では、軸箱の前後動をリジットに固定する。その例が標準ミンデンやSミンデン。ペデスタル式でも隙間を詰めた。
 その結果、カーブで曲がり難くなった。

 中には、そんなことを気にしない会社もあった。“カーブ式”会社の異名をとりながら、なにせ車輪にテーパーが無かったのだから。

 すなわち、フランジだけで十分に曲がれる。

[7] 高速性と曲線通過性の両立

 次に考え出されたのは、軸箱の前後方向を弾性支持すること。
 住友台車でいったら、SUミンデン。
 弾性支持ったって、その硬さ柔らかさが難しい。それこそが技術。
 この方式が現在の主流派。

 でもこれ、パッシブ。すなわち、受け身、中途半端ということ。
 車軸をカーブ中心へ正確に、適度に向けるには、アクティブな操舵しかない。

[8] 中途半端な結果がキシリ音

 フランジの案内で曲がるのだから、それが擦れて音がしている、と普通は考える。

Dscf5256a これが違う、と言っても誰も信じない。
 説明が面倒。「電車も水浴びしたい」という記事を読んでほしい。キシリ音防止のために、外軌側のみならず、内軌側にも水を撒く。すなわち、内軌側は、フランジとは無関係。
 全部の車輪が、枕木方向に擦られて、摩擦振動を起こしている。円板の刃を立てて、ものの表面を引っ掻くとビビる。そんな感じ。
 要は、横滑り。

 タイヤを焼嵌めした車輪が鳴かないのは、そこで減衰するため。そう、昔は鳴かなかった。一体車輪になって鳴くようになった。近年の防音車輪は、焼嵌め車輪を真似ている。

 この鉄道路線には、水色と緑色の2種類の電車が走っていて、水を撒くのは前者の線区だけ。その意味は、車輪径が異なり、固有振動数が違うから。繰り返すが、キシリ音はフランジの擦れる音ではない。

【防音車輪の構造は、メーカーである新日鉄住金のページにあります。弾性車輪でないところに注目してください。当然、水色や緑色の電車にも採用されているものの、水色はそれだけでは防ぎきれないのです。ちなみに車輪径は、水色660mm、緑色760mm、本線は860mmです】

[9] 走行抵抗はどうか

 フランジで曲がるんだから、フィレット(ノドR)を弄ったって一緒。それでいいなら、操舵台車は不要。実物は、コンタを削り出す超硬チップの径を基準に14mmRと決めた、っていったらオーバーか。
 擦れるフランジは1枚、横滑りする車輪は4枚(または3枚)。横滑りの抵抗の方が遥かに大きい。計算式があるのだが‥‥。

00dsc06605【フランジと踏面の2点で接触すると、前者が擦れて抵抗が発生する、という意見があります。確かに、最も顕著だと考えられるライオネルの3線式チューブラーレールでは、写真のようになります。
 ということなら、ソリッドレールのMTHリアルトラックスは冒頭の通りの接触ですから、走行抵抗が少ないはずです。ところが、同社はそんな謳い文句を掲げていません。また差異が存在するならば、3線式ファンが必ず気が付くはずなのに、指摘する声は聞こえてきません。
 本記事の主張は、両点は共に滑る、です。すなわち、これが転がりに影響を与えたとしても極僅かです】

 左右の車輪を自由に回転させるというアイデアも、それで解決するのなら、とっくに実用化されている。

【「森林鉄道貨車の走行抵抗ならびに制動についてpdfファイル3.8MB」のp105-106あたりに、その効果の無いことを示す実験の結論があります。森林総合研究所研究報告第122号(1960年/昭和35年)】

 それと近年は、フランジ塗油の技術が大幅に進歩してきた。これは蛇足。

[10] 車輪テーパーの本当の意味

 仮に、踏面に勾配が無いとしてみよう。

 ここで重要な点は、実物の車輪が摩耗するということ。
 左右の車輪が同じように減ることは無くて、直径に差が出来る。
 と、直径の小さな方に偏り、レールに触れて走行することとなる。

 問題は直線区間。
 レールの通り狂いをそのまま拾ってしまう。
 高速で走ったら、左右に激しく揺れる。下手をすれば、脱線する。

 新幹線の1/40は、そのギリギリの数字。と、汽車会社の高田隆雄氏が書いていた。

 そう、車輪のテーパー、円錐形は、直線と見紛う大きなカーブなら十分に機能をする。
 普通の台車でも効果がある。2本の車軸が両方共、カーブの中心に向いていると見做せるわけだ。平行する2軸は無限遠点で交わる?
 イギリスの鉄道発祥期には既にテーパーがあったと読んだ記憶がある。速度は低かったけれど、当時のカーブは大きかったはずだ。

 直線に近い大曲線と、急曲線とでは、分けて考える必要がある。その境界は曖昧なのだけれど、目安は、スラックの必要性の有無だろう。国鉄の基準でいったら600m。
 モデルに換算すると、1/45で13m、1/80で7.5m、1/150で4mほど。その半分としても如何にも大きい。

 ところで、英語版のYahoo Answersにもこれと同じ質問があって、月並みな回答が並んでいる。ことによると、解ってくれ、と、求めるほうが無理なのかもしれない。

 挿絵がもう少し必要だろうか。疑問を持たれたら、どうかコメントを。

【フランジのほうは、前回の記事「13mmゲージJMを始める前に(4)」と、「車輪フランジ角度の決まり方」をご覧ください。前者はちょっと理屈っぽいのですけれど、後者に根本原理を書いています】

【追記】いただいたコメントから思い付いて、ネット上での理解度というか、認識度合を調べてみた。勝手に評価していて、信憑性は皆無。失礼の段は平にお許し願いたい。

ネット上のおける認識度の調査
HP名 専門ボギ踏面フラ2軸操舵遠心カン特記
Yahoo知恵袋:回答7件 2012 × 力作
Yahoo知恵袋:回答7件 2012 × 迷答集
Yahoo知恵袋:回答4件 2008 力作
Yahoo知恵袋:回答5件 2007

波状摩耗
Yahoo知恵袋:回答6件 2004

× ×
OKWave:回答2件 2002 × フランジ発明
教えてgoo:回答3件 2012 ×
Nifty素朴な疑問集:回答8件 2010 高速で輪重増
YouTube:模型実験 2008
テレビ朝日:奇跡の地球物語 2010
愛知県の一ファンpdfファイル 2005 超力作
千葉都市モノレール社長ブログ 2011 ×
大阪市交地下鉄教室の体験 2006

 驚くのは踏面勾配の人気で、いずれでも必ず言及されている。大事なフランジは一部。ボギー台車の存在は、鉄道ファンなら"言わずもがな"なんだろう。
 パッと見て、判った気になり、連想が膨らむという図式かな。むろん、他人のことは言えない。2013-05-09

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コメント

私を含め、素人は、円筒+円板フランジ+直方体レールのイメージが強いため、誤解が多いのではないでしょうか。実際は全て曲面の1点接触です。
R40とかの超急曲線では、2点以上になっている気もしますが。

テーパーで曲線通過を容易にするのは、ウソこけ!で、簡単に計算できます。R400m,1435mmゲージ、車輪径860mm、踏面勾配1/20で、31mm横移動しないと滑り=0になりません。
曲線ではあちこち滑ってつじつまを合わせているのが実態ですね。

>>若い頃、車庫で入換する電車のトラップドアを開けて、車輪の動きを見ていました。書いてあることが信じられなかったんですね。後から考えると、危ない。いろんな意味で(笑)【ワークスK】

投稿: 通行人 | 2013/05/08 16:58

おひさしぶりです。私も実物が「曲がる」理由は机上の理論や説明だけで納得出来ず、個人的に色々と、、、(以下略)
直線で「真っ直ぐ走らない」癖に、曲線だけ「真っ直ぐ走ろうとする」車両には泣かされました。(実務者目線で笑)
台車構造や台車(車輪間)と車体(の台車間)のホイルベースも関係があるのですよね。

>>昔、雨の日に先頭に乗って、線路を見ながら音や振動を体感すると、勾配や曲線の抵抗の様子が手に取るように判る‥‥という気がしたものです。
 なお、お尋ねのファクターのうち、台車中心ピン間距離だけ、今回話題とした曲線走行性には無関係です。連結器の軸力を考慮した脱線係数には関わってきますが。【ワークスK】

投稿: あっしー | 2013/05/08 21:52

今日は:

或る分野の人達(それもプロフェッショナル)が全員「迷信」に憑依される、ということは案外多いものですね。書かれている事項自体は、大学初年級の剛体の力学で理解できる当たり前の事なのですが…
恐らくは、「事実として受入れたくない」という心理でも働くのでしょうね。

>>なるほど。滑らかに曲がることにしておきたい、という深層心理ですか。これ、技術や工学の課題では無くて、社会心理学とか民俗学の範疇かもしれませんね。で、ちょっとネット上での様子を整理してみました。追記をご覧ください。【ワークスK】

投稿: eltonjohn | 2013/05/09 10:22

計算間違えてました。私の例で、要求横動量は半分の15mmでした。テーパーで内外軌長差を吸収するのは、このへんが限度ではないでしょか。

急曲線の横滑りは、車のドリフトに例えれば分りやすいと思います。車とは滑る方向が逆ですが。

>>もし16.5mmとか32mmゲージの模型をやっておられたら、2軸車を作ってみてください。で、2軸の平行を少しだけ狂わします。机の上で転がすと、あら不思議。スムースに曲がります。内外輪差はどうなっているんでしょうか【ワークスK】

投稿: 通行人 | 2013/05/09 21:03

たびたび恐縮です。

模型は手持ちがありません。1000#耐水ペーパーとか、すりガラスの上でも、うまく曲がるのでしょうか。

>>ここに書いてあることを、そのまま信じてはいけません。ただ、こういう主張を立てているブログがあったとだけ覚えておいてください。そして、皆さんの目と頭もアテにはなりません。多くのものを見過ごし、また考慮できていないはずなのです。
 ではどうしたらよいのか、といえば、先人たちの経験や考え方に耳を傾けることです。なにしろ鉄道には200年の歴史があります。疑問になったら、資料を探してください。ネットも有益ですし、専門書も溢れています。このとき注意すべきは、筆者の経歴です。事実に接する本人ではなくて、周辺で眺めている人物が意外と多いものです【ワークスK】

投稿: 通行人 | 2013/05/10 20:20

鉄道分野において、下回りの工学にはとくに迷信が多いような気がします。
フラットのできる原理も間違って解説している例を多く見かけますし、モーターの定格、加速度や均衡速度なんかでもおかしなことを言う人がいます。
インバータ制御も難しい分野ですね。

科学全般においてわかりやすさと正しさは相反することが多いので、バランスよく嘘を交えて素人にも理解できるよう解説できる人がもっと増えればと思います。

台車の挙動にはとても興味があるので、続きも楽しみにしています。

>>ところで私は、ウィキペディアの伸張に大いに関心があります。世の中に知識、常識が形成される過程というか、求めるものに辿り着くまでのドラマが面白いのです。特に以前話題とした連結器や、分岐器ですね。実は、当方のアメリカ型鉄道模型大辞典も同じ頃に始まったのですけれど、こちらは一部の方々にしか書き込んでいただけず、残念でなりません。何が異なるのだろうかと‥‥【ワークスK】

投稿: YUUNO | 2013/05/12 04:14

何が違うかと言えば、タイトルと辞典そのものの知名度ではないでしょうか。
とくに「鉄道模型大辞典」というタイトルからは、実物の鉄道の話題も含まれるとはなかなか想像が及ばないと思います。

話を本題に戻します。
加速時や減速時はモーターやブレーキの力によって、輪軸には前後方向の強い力が働きますよね。
軸箱の前後に余裕がある台車でも、台車枠の中で前後どちらか一方に押し付けられ、2本の軸は平行に戻ってしまうと思うのですが、実際の挙動はどうなのでしょう?
やはりカーブ上でマスコンやブレーキを操作すると乗り心地が悪くなるのでしょうか。

>>現代の電車に採用されている踏面ブレーキは、ほとんどが片押式といって、両車輪の内側についている。ここに働く最大の力は輪重相当で、加速力や減速力より遥かに大きい。すなわち、軸間距離が拡げられてしまう‥‥と考えると夜も眠れない(笑)【ワークスK】

投稿: YUUNO | 2013/05/12 13:42

電車がカーブを曲がるのは車輪踏面の勾配だとばかり思っていましたが、目から鱗が落ちる思いです。
急曲線はやはり無理して曲がっているというのがよく分りました。それと、踏面勾配の真の目的は蛇行動を防止するものだということも納得です。
ちょっと簡単な実験をしてみましたが、通常の台車は真っ直ぐに行きたがるものですね。

>>面白い実験をされましたね。これは私の下手な文章なんぞよりも遥かに説得力があります。
 漢字は「惰行動」より「蛇行動」のほうが確かにシックリします。勘違いをさせてしまったようですけれど、あくまで踏面勾配が蛇行動の元凶です。それを避けるために近鉄特急や宮廷用客車も、勾配の無い円筒踏面を採用しました。
 踏面勾配がイギリスでの鉄道創成期に採用された理由は、牽引力の確保だったのだろうと、私は勝手に考えています。最初の蒸機であるトレビシック機が歯車式を採用したように、車輪とレールの摩擦力、粘着力に期待することは、試行錯誤だったわけです。曲線で車輪が滑るなら、機関車の牽引力は減って、トレーラーの走行抵抗は増えるという2重の悪影響があります。そこで、踏面勾配を考案して、それに見合った大きな曲線半径とした‥‥という想像です。高速走行のためという点は、ボギー台車が一般的となった後年の考え方ではないでしょうか【ワークスK】

投稿: ミッキ~ | 2013/05/14 12:13

踏面勾配と蛇行動の件、どうも早とちりだったようで、解説ありがとうございます。
踏面勾配によって復元力を持たせて直線での直進性を確保させるが、その復元力が蛇行動の発生原因ということでよろしいでしょうか?
蛇行動といえども復元力による振動の一種なので減衰要素をかませれば、ある程度は防止できるとは思っています。
国鉄の台車のDT21~24系統のように、側受けでも荷重を担ったのは、蛇行動防止かと思ってます。ただし、国鉄末期の保守が悪くて軸箱と軸箱守りにガタがありすぎると、113系のように脱線するかと真っ青になるくらい一軸蛇行動を起こしていたのも懐かしい思い出です。

>>仰る通りです。蛇行動を抑止する目的で台車のボギー回転に摩擦力を付与する方法の一つが側受式、またの名を3点支持式といい、心皿と左右2つの側受から構成されます。荷重負担率は8:1:1が推奨されました。ただしこれは、ゴムパッドの上に乗った側受の前後が摩耗するという欠陥があって、大径心皿式とか全側受式へ移行しました。私が推進したのは後者です【ワークスK】

投稿: ミッキ~ | 2013/05/15 21:48

鉄道の旋回問題について、幾何学的な説明を試みている例はいくらでも見つかるのですが、力学的にはどういう説明になるのでしょうか?
車軸が旋回中心を向けば云々という議論は遠心力が発生しない(速度が0とみなせる)場合の理想論であって、実際には何らかの横力が発生しない限り運動する物体はその方向を変えません。

>>そう、その「幾何学的な説明」が問題です。遠心力(向心力)は、輪軸自体の質量、さらに台車枠、そして心皿から伝わる車体の質量に起因するもののはずですけれど、若い頃に読んだ解説書には、その影響が考慮されていませんでした。是非その幾何学的説明をご紹介ください。私は表紙が赤か、ウグイス色の本を探しています。
 なお原理的なものでは無いのですけれど、運転関係で用いられる曲線抵抗の計算式があります。ここに遠心力、すなわち速度の因子が入っているか否かも目安になるはずです。各国、各鉄道で様々なものが考案されていて、ほとんどは実測に基づく近似式です。ネット上にもたくさん見つかります。【ワークスK】

投稿: george | 2013/05/18 18:26

博物館などに置いてある、円錐を背中合わせにした輪軸モデルが諸悪の根源ではないでしょうか。

最近では、JR東海のリニア博物館に展示してあるのを目撃しました。来場者は自由に模型の線路の上を転がして、踏面勾配の限定的な作用を体験することができます。
正しく理解させるためには、半径の異なる2種類の曲線レールと2種類の輪軸を用意して比較させるべきなのでしょうね。

私の世代ですと、学研の子供向け図鑑による刷り込みもかなりのウェイトを占めると思われます。同世代で図鑑の愛読者は多数おりました。

>>踏面勾配の効果は大曲線では発揮されるので、世間一般がそういう認識にあるのも肯かざるをえませんね。
 小曲線での挙動は、手当たり次第に文献を読み漁って初めて知り得た経験からすると、鉄道の技術屋でもその気にならないと不可能でしょうか。
 で、数年前から小出しにしているのですが、理解していただくのは難しいものです。【ワークスK】

投稿: YUUNO | 2013/05/19 14:51

鉄道は門外漢故、紹介できるほどのネタは持ち合わせておりません。ただ、幾何学的な整合性というのは単にスムースな走行のための条件であって、「曲がる」という運動に対する説明とは違うものだと思うわけです。
極端な話、所謂ドリフト走行といわれる幾何学的には無茶苦茶な状態でも自動車は旋回運動をします。それは力学的に旋回する条件が整っているからです。乗り心地とか摩耗といった面では、幾何学的条件の成立が必要かもしれませんが、事運動に関してはあくまでも力学的に考察する必要があるのです。
図3・37にしても、これが定常状態であるならば、ヨーモーメントが0となる力の釣り合いがあるわけで、願わくばそういった部分を解説いただきたいと欲するのであります。

>>確かに、中学、高校で習う慣性力(ニュートン力学)の知識からすれば、遠心力(向心力)や回転モーメントの要素が考慮されていない点は疑問ですよね。
 専門家が考えた理屈(世間一般の認識ではなくて)は、静的な力の釣り合いだけの式になっています。おまけに、(確認されたことだと存じますが)、実験の結果から導き出されたはずの各種(純粋な)曲線抵抗式には、慣性力等の基となる速度の成分を入れたものは皆無です。そして私は、105km/hで走る郊外電車と、R35を通過する登山電車とを観察した結果がそれらと合致していたことから、受け容れているわけです。
 この乖離についての私の解釈は、自動車の回転に比較して半径が桁違いに大きいためだろうというものです。よって、車輪に加わる遠心力は、他の摩擦に起因する力と比べて遥かに小さく、角速度は途轍もなく緩くなります。このあたりの計算は簡単ですから、一度確認されることをお勧めします。
 ところで、私の能書きは1980年代までの、現役時代の知識と経験に基づいています。現在では、動的シミュレーションが可能となり、測定技術が大幅に進んでいますからどうなのでしょうか。ボルスタレス台車の登場で、70度のフランジ角と円弧踏面が一般的となり、ヨーダンパーによるボギー回転の抑制が始まったあたりまでは理解できているのですが‥‥【ワークスK】

投稿: george | 2013/05/19 15:14

はじめまして。以前から拝見させていただいていたのですが今回の記事は特に興味をそそられました。
私も踏面の勾配はカーブで見かけ上の直径を変えるためだけのものだと思っておりました。
しかし実際は私の思っているより遥かにその役目は果たさないというのが非常に衝撃的でした。
そして軋り音もフランジから発生しているのではないということも同じく衝撃を受けました。

投稿: 一式陸攻 | 2013/06/30 22:10

連続ですみません。
前輪の外軌側のフランジが外軌に当たるのは理解できるのですが後輪のフランジが内軌に影響を及ぼさないということ、また内軌側の車輪の方から出る音の方が外軌側の車輪から出る音より大きいということがいまひとつ理解できません。
よろしければ理屈をお教えいただきたく存じます。

>>ご愛読、ありがとうございます。
 疑問に持たれた件です。まず後輪のフランジも、内軌を押します。すなわち、軌間を拡大しようとします。それを逃がすことがスラックの第一の目的です。これについては、「ゲージとスラックの鉄道工学」をご覧ください。
 キシリ音に関しては昔、どちらか一方に水を撒く実験をしました。そこで外軌に撒いた方が良く鳴った、すなわち、内軌の方が発生し易いという結論を得ました。音の大きさは一緒です。輪重とか表面の粗さとかがあるのでしょう。実のところ、鳴くか鳴かないかも微妙な差です。自動車のワイパーのビビりもそうですが、摩擦振動は制御不能ですね。【ワークスK】

投稿: 一式陸攻 | 2013/06/30 23:00

はじめまして。非常に興味深いブログで以前より愛読させいて頂いております。
私もこの記事に大変興味を持ったのですが、曲線で後軸が内軌を押すという理屈が未だに自分の中で理解できておりません。
最近やYoutubeなど動画サイトで、走行中の列車の床下に設置したカメラで、車輪・台車の挙動を撮影したものもいくつか公開されていますが、緩・急曲線いずれにおいても内軌側の車輪は前後ともに外側に変位しており、ボギー後軸が内軌を押すという挙動が確認できた映像は渉猟し得た限りありませんでした。
どのような理由で後軸が内軌を押し出すのか、また視覚的に説得力のある資料映像等がありましたらご紹介頂ければ幸いです。

>>コメントありがとうございます。当方の根拠は、記事「ゲージ・スラックの鉄道工学」に示している書籍です。ネット上では1958年国鉄編纂「鉄道辞典」p892にあります。他に線路関係の書物でも皆、同じ内容となっているはずですからご確認ください。理屈はこれらを読めば自明で、後輪が外軌に寄る方が不思議だと当方は考えます。
 またある本で、軌間の間に粘土を平らに敷き詰めて、車輪の軌跡を確かめたという記述を読んだ記憶があります【ワークスK】

投稿: 磯野 | 2014/08/11 00:57

http://www.youtube.com/watch?v=a3xeTVhi7LU

大型模型におけるカーブと車輪の挙動がよく分かる映像ですが、ボギー後軸が内外軌のどちらによるかは、一定ではないように見受けられました。 かなりタイトなカーブでは内軌側に寄る挙動が見られますが、それ以外では遠心力による作用が大きいのかどうかわかりませんが外軌側に寄るように見えます。非常に興味深いです。

>>おおっ! これは素晴らしい。後軸が内軌へ寄ることが御理解いただけたようで何よりです【ワークスK】

投稿: 磯野 | 2014/08/13 00:44

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