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2013/09/29

新日鉄住金尼崎の構内軌道

Industrial tracks in Amagasaki Works of Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp. 住友金属工業鋼管製造所

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999613_503324473085108_2000054787_n じゃりちゃん鉄道(HP)の名で模型活動を展開されている砂野義房氏に教えていただいて、兵庫県尼崎市が実施した見学会に参加してきた。
 あまらぶ探検隊(facebook)「幻の尼崎港線と現存するナローゲージを訪ねて」という9月27日(金)にあった催しである。

 29年前の1984年に営業を止めた尼崎港線の廃線跡も興味を惹くけれど、工場に入って構内軌道を撮影できる点が魅力。定員30名のところ20名しか集まらなかったのは、平日だからか。【画像はクリックで拡大】

 尼崎(あまがさき)は、大阪市とは神崎川を挟んで西隣り。阪神電車の梅田から特急で7分。今をときめく"なんば"線の分岐駅。そこから南へ500mも歩けば工場の入り口。

Zentai
Google Map 航空写真では軌道はもっと多い

 チラシに「動画不可」とあったので、少し不安を覚えていたのだけれど、案の定、撮影は新造されたばかりの8号機と、付近の軌道に限るという条件が付いた。しかし、この目で眺められて、担当者の話を直に伺えたのは貴重。工場の生産品はシームレス鋼管だという。高度な技術ということなのだろう。
 そんなわけで、まず線路の写真。762mm軌間である。上の地図では"A"地点。手前の分岐の右手に撮影用の機関車が置かれていた。フログは直線。航空写真から割り出すと、3.5~5番程度。使い分けられているかもしれない。

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 ついでにダイヤモンド・クロッシング。ガードレールの先端が削ってある。レール自体は太い。

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 運用は濱本ジェネラルコーポレーションというところが担当していて、軌道車と呼んでいるという。そのサイトには2号機の形式写真とペーパークラフトの型紙が用意されている。好きな方がおられるのだろう。ちなみに、じゃりちゃん鉄道の砂野氏が早速、これを9mm軌間で動力化して持参されていた。

 機関車の置かれた場所は、どういうわけか日陰。ディテールを知りたい分には都合が良いか。

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 ボンネットの上には銀色の円板。何かは聞き漏らした。キャブ屋根は2重だという。排気口は、向かって左だけれど、2号機は右。赤色回転灯の左はサイレン。キャブ腰部のメッシュはクーラーか。

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26dsc08182 機関車は現在、8両を保有し、6両を運用。緑色だったけれど、2年前から黄色。製造は松山重工業。重量10トンで、トルコン前進1段、後進1段、全長5,050mm、幅1,850mm、高2,950mm、車輪径610mm、固定軸間距離1,300mm。運搬車は128両。軌道の総延長は10km、最小半径10m。
 聞き間違いがあるかもしれない。グーグルマップでは北と南で軌道が切れているけれど、全部繋がっているとのこと。

 正面のレールとの食い違いをご覧いただきたい。このホイルベースだから、動力伝達経路と、ピッチング対策が大変で、メーカーが苦心したという。
 確かに、走っているところを見ていると、揺れている。

 予定より10分早い40分間で終わる。
 退散してB地点に差し掛かると、上手い具合に西行き推進運転の4号機が公道(県道57号線)を横断し始めた。長い連結棒はシナっていることがある。

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 それを見ていたら、反対側から東行きの1号機が牽引でやってきた。これはC地点。

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 貨車は、アーチバー台車にローラーベアリング。

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 順光の県道を渡っていくところが冒頭。

 ここで皆さん、バス停か、阪神尼崎駅に向かわれてしまった。
 当方は、事前に調べてきたとおり、一人D地点に行ってみる。樹木が邪魔をするが、その合間から何とか機関車の姿を捉える。

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 次は、この写真の左下に見える貨車。台車が内側軸受だ。ホイルベースが異様に短い。

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 次も目の前の景色で、運搬車の積み荷はよく判らない。アルミ扉の右は工場の配置図だが、軌道の描き込みは切れ切れ。

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 さらに軌道は次のよう。機関車が動くときには、サイレンを「ウゥゥーン」と響かせるので分かる。1時間粘った後、この場を離れた途端に鳴っていてガッカリ。

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 で、D地点の南寄の橋が東高洲橋(ウィキペディア)という跳ね橋。左の橋脚の文字が消えかかっている。透かして読めば「注意 上空電線 海面上約20M 関西電力尼崎営業所 06-481-3961」。そうだ、尼崎は兵庫県なのに市外局番は大阪と同じ"06"。

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 次はE地点で、ここも公道。鉄の門扉越しに北方向を覗き込むとタイミング良く、7号機がゴンドラを連結していた。

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 それが北進して行ったところが次で、横切ってサイドが見えているのは新車の8号機。この線路のヘロヘロ感にはシビれる。

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 なかなか立派な魚腹台枠のフラットカー。ここでは望遠レンズが必須。当方の一眼α55はグズってしまい、予備のコンパクトカメラ。

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 さらに、運河沿いを北東へ進む。防潮壁の上縁に上がれるものの、工場内を上手く覗けるところはF地点のみ。ここより北は、ときどき機関車のキャブ屋根が見える程度。

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 さすがに疲れて、このまま帰った。

【追記】こういう軌道の参考資料としてベスレヘム・スチール社のカタログ復刻版がある。アメリカ型資料室

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コメント

今日は:

これは貴重な写真ですね。
通常は外から垣間見る事しか出来ない代物ですから。

>>工場内には、もっと面白いものがたくさんあるはずなのです。機関庫とか修理工場、特殊貨車などがゴロゴロ‥‥。まあGoogleの航空写真がさらに高精細になるのを待ちましょうか(笑)【ワークスK】

投稿: eltonjohn | 2013/09/29 11:28

じゃりちゃんです。
先日はお疲れ様でした。
働くナローいいですね。
それにしても、詳細に調査し記事作成されましたね。感心いたしました。
私のブログは手抜きしております。
また、機会があればご一緒しましょう。

>>お誘いいただいた御蔭で良いものを見ることができました。ありがとうございました。いつでも行けると思っていると、気が付いたときには無かったという事例が尼崎港線ですね。【ワークスK】

投稿: じゃりちゃん | 2013/09/29 11:38

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