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2015/03/01

ハイドラ・クッションはシルエット(2)

Coupler-cushionizing projects, part 2: Hydra-Cushion for Athearn's 50' boxcar

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 ハイドラ・クッションは他に2両を持っていたけれど、ともにキズモノ、というか、長い間、修理の目途が立たなかった。切っ掛けは、ほんの出来心。【画像はクリックで拡大】

 ふと、ディテールズ・ウエスト社製の床板をアサーンの車体にアテガッてみた。

 おっ、入る。というか、ピッタリ!
 モデルは50'プラグドア・ボックスカーで、エバンス社のデモンストレーション・スキーム。

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 こりゃあ、イける。
 あとは、折れたステップ1か所の修理。

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 この形が複雑で、いつものようにプラ板を切り刻んでデっち上げる自信が無かった。手持ちのAライン製パーツはリン青銅製だから、細過ぎる。パーツ箱を引っかき回していて、ティッチー・トレイン・グループ製のハシゴが出てきた。この下だけを使ったらどうか。贅沢なんだけれど‥‥。リモネン系接着剤でイモ付して、あっという間に完成。ただし、少し細身。

 もう一両は、アサーン・ジェネシスの保冷リーファー。

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 パッケージから出した途端にカプラー解放バーが折れ、回る軸端キャップを弄っていたらポロリと脱落して行方不明。
 PC&F社製50フィートで、8フィート+8フィートのLandisプラグドア付。エバーグリーン、efcだという。さらに車体四隅にケッタイな引きヒモ(換気口?)が設けられていて、興味深いものの調べもせずにホッタラカシ。

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 これも一応、カプラー解放バーを接着剤で修理。軸端キャップは失ったまま。

 さて、ハイドラ・クッションについては、過去記事アメリカ型鉄道模型大辞典をご参照頂くとして、ここでは市販パーツを紹介する。
 まず、前述のDetails West製床板は、単体での別売品がある(ウォルサーズ・サイト)。ブレーキ3点がセットされていて便利。値段が7.95ドルと、少し高め。
 細密化を目指すならCal-Scaleのパーツ一式。1964年11月号(p54、次図)が広告の最初。1965年9月号p10に製品紹介があって、ポリスチレン製と知れる。今でもバウザー社が引き継いで発売中(同社サイト、またはウォルサーズ・サイト)。

 

Mr196411p54a

 またモロコmolocoも発売。

 実車については、MR誌1963年10月号p22に次図。荷崩れ防止が目的であることがよく判る。出典はたぶん、エバンスEvans社のカタログか何か。

Mr196310p22a

 実物を扱うTrains誌を検索すると、なんとSP自体が広告を出している。1958年1月号p13、同年9月号p13、および1965年6月号p7の3回。
 1998年3月号にSPの歴史が解説されていて、そのp43にハイドラ・クッションを推進した人物がDonald J. Russell(Wikipedia英語版)だと書いてある。

Hydra-cushion_underframe 手持ちのCar Builders' Cyclopediaでは1957年版のp98-99、SPボックスカーの組立図に描き込まれているのが初登場。1961年版ではクッション機構自体の広告(下)。Car & Locomotive Cyclopediaとなって、1966、1974年版に広告掲載(右)で、1984年版では消滅。その間の1980年版は手持ちが無い(追記3参照)。通して同一の構造と考えられる。(図版を追加 2016-12-20)

Cbc1961p649

 ハイドラ・クッションの文字を掲げたSP貨車にはオレンジとグレーの塗分も存在し、関連会社のCotton BeltやPFEでも見付かる。
 それら以外でも多くの車両が採用しているが、側面にその使用を謳った例は、エバンスの他、ボストン&メインとフリスコくらい。

 モデルは、Cascade Green Foreverに展示
 シルエット・ロマンスは大橋純子、っていう世代。

【追記1】"Air-Pak"がどういうシステムだったのかと探ぐると"Car and Locomotive Cyclopedia" 1974年版pS3-208に次。記述は無いけれど、積込時に外部から圧縮空気を供給して、その力で積み荷を押し、機械的に保持(ロック)する仕組みではないか。電気コード状の細いものは空気ホースという見立て。

Evans Double Air Pak bulkhead

 一方、PCFが製造したビアカーの"Air-Bag"は、空気ダメを床下に持っているので、圧縮空気をブレーキ管から常時補給するのだろう。エバンスのエア・パック車には空気ダメが見当たらない。2015-03-19

【追記2】ハイドラクッションのCar Builders' Cyclopediaでの初登場を、1957年版に訂正した。2015-04-06

【追記5】試作段階の構造と考えられる図が1957年刊「鉄道車両-研究資料-」大塚誠之監修p305にあった。2020-03-10
Otsukap305

【追記3】Car & Locomotive Cyclopediaで、手持ちが抜けている1980年版が気になって、とうとう入手した。すると、予想外の"Hydra Cushion II"だって(驚) p515のDresser社広告。要は他社のEOCCと同じ直動シリンダー方式となったわけ。ただし、採用状況などは不明。SP車で、側面に"Hydra Cushion"を謳っているにもかかわらず、床板に垂直シリンダーが見えないものを探さなければ……。見当は製造が1980年前後以降。2015-05-30

Clc1980p515

【追記4】ハイドラ・クッションを愛用していたエバンス社が1970年、自社開発のクッション・パックCushion-Pakへ転換したという記述を見つけた。たとえばRMJ誌1996年4月号p12。終焉はこの頃か。2016-02-29

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