サンタフェはスーパー・ショック・コントロール
屋根がブラックの手前のモデルはアサーンの定番、"ATSF 520977"。アメリカ型を始める前から保有。
購入直後にケーディー化し、4年前には金属車輪に取り替えて下回りの標準化、そして今回はクッション化と、3度も楽しめるとは安いもの。
Details Westの床板はウォルサーズ(同サイト)が扱っている。品切れになっても、しばらくしたら補充される。需要があるのだろう。不思議な点は、ブレーキ関係の3つのパーツが、プラスチックだったりホワイトメタルだったりと定まらないこと。当然、プラスチックの方が扱い易い。
床板の加工方法については過去記事をご覧いただきたい。
少し朱色がかった一色塗りのモデルは、タイコTyco製で、トレインセット・クラスの製品。"Super"が書いてないところに注目。たぶん、それをイエローで印刷するとコスト・アップ、などという了見なんだろう。意外にもこれ、"Super"以前に実在したスキーム。
少しレタリングを追加して、屋根と妻をブラックとすればそれらしくなりそう、とはいうものの、如何せん、カラーが鮮やか過ぎる。ディテールズ・ウエストの床板を使うには、長さで1.5mm、幅で0.5mmほどを詰めなければならない。
まあ、このまま。
次は、表示が小さくなった後年のもの。残念ながら、カプラーは飛び出していない。Weaver製Oスケール・モデル。
なお、とれいん誌増刊号"Green River Report Vol.1"に、このスキームのコレクションとして7両が掲載されている。発行された1985年頃までの製品。
ショック・コントロールについては、今までに判明したことをアメリカ型鉄道模型辞典に書いている。1958年にキーストーン社が開発してAT&SFが採用し始め、1961年にはAT&SFが“スーパー”を冠した商標を登録したまでは突き止めた。ただ、この“スーパー”の意味するところが判らない。
AT&SFは写真集などが多数、発行されているから、その中に何か記述があるかもしれない。どなたかご存じないだろうか。
Car Builders' Cyclopedeaでは、1961年版に初登場し、1966年版にも同じスライディング・センターシル・クッション方式(SCSC)が掲載されている。1974年版以降にキーストーン社はエンド・オブ・カー・クッション(EOCC)へ転換して、最新となる1997年版まで続くという経過。
次図は初登場の1961年版から引用。センターシル=中梁が2重となっていて、内側が両端のカプラーを結び、全体として前後にスライドする。また、車体中央に衝撃を吸収する機構(hydraulic device)があって、その前後のコイル・バネは中梁全体を中央に戻す役目(return spring)。
さらに1966年版から、立体図とハイドロリック・デバイスの構造。
内側のシリンダーに設けられた複数のオリフィスをオイルが通過することで、衝撃を減衰する仕組み。軸とピストンが車体に固定で、一体の内外シリンダーがスライディング・シルとともに動く。ストロークにつれ、オリフィスの数が変化するところがミソ。
キーストーン社のシステムは他の鉄道でも採用されているものの、その名を側面に書いている車両は今のところ見つけられない。
【追記】これらのボックスカーの格好の参考書が“Santa Fe Box Cars, the Shock Control Era 1954-1995”(アメリカ型資料室)。これで数々の疑問がハッキリすると期待したのだけれど、書いてあることがどうもシックリこない。
「ショック・コントロール」の商標はキーストン社の所有のはずが、それが述べられていないのだ。サンタフェが1958-1995年に導入した「ショック・コントロール」は、サンタフェ製、キーストーン製、PC&F製ハイドラ・クッション、PS製ハイドロフレーム、フレイト・マスター、AC&F製フレイト・セーバーだといいながら、アンダーフレームがサンタフェ製とキーストーン製となっている車以外に「ショック・コントロール」の車体標記が無い。第一、サンタフェ製などというクッション・アンダーフレームがあるのだろうか。SCSCとEOCCの区別にも言及が無い。
著者のこの方面の見識には疑問符を付けざるを得ない……と、当方の英語読解力を棚にあげて(笑)
なお、“スーパー”が付けられた切っ掛けは、18"という大きなトラベリング・ストロークの開発だとか、妻面もインディアン・レッドという車がある。1986年に貨車の塗色がミネラル・レッドに統一された……等という情報は貴重。2017-06-19
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