ライフライクのスロールドア・ボックスカー
妻面に「KEYSTONE 10"」って書いてある。次画像で四角い板の3行目。
およよっ! こりゃあ、クッションアンダーフレーム。
キーストーンは、サンタフェのショック・コントロールのメーカー名じゃないか(過去記事)。
実車写真を確認すると、カプラーが少し突き出ている風でもある。こんなモデルにカプラーポケットを用意するのは面倒だし、どうする?
SPハイドラ・クッションの40フィート車では、カプラーを床板に取り付けたから出っ張りが少なかった。じゃあ、上回りの車体シェルにネジ止メしたら如何に!
そう、妻板下部にプラ板を接着して厚くすれば、ネジ孔を立てられる。直ぐにやってみた。ポケットはもちろん細身のケーディー#262。
SP車よりも1.5mm、前へ出た勘定。10インチっていうんだから、これでも出過ぎなくらい。
ただし、水平を出すのが大変。削ったり、貼り足したり。強度も少し心配だけど、まあまあかな。ポケットの材質がポリアセタールで滑り易い。ポリスチレンの#242の方がいいかも。
この写真の一番左がライフライクの前期製造ロット。妻板を別パーツとして、実物並みに引っ込んでいる。
真ん中が後期ロット。妻板とハシゴが車体一体モールドとなって評判が悪いもの。プロト1000はこれ。Proto1000
一番右は、1999年?にウォルサーズが発売したRTRモデル。ライフライク製よりも車体が5mm長い193㎜。
他に直すところは車高と台車。ウォルサーズ製品よりも1mmほど高くて、履いているのは古い所謂ベッテンドルフ。
なお、床板の陽刻が"MADE IN CHINA"で、台車が"TAIWAN"という国共合作。
床板は心皿が車体高さのオーバーしている元凶。ボルスターを含む車端寄を潔く切り落として、プラ板で作り直し。床板上面には、全長に添え板を貼り付け。使った厚さは皆、1.2mm。
台車は、こういう自作ボルスターと相性の良いMDCラウンドハウス製。心皿面は平らでOK。ローラーベアリング70トン・タイプの33インチ車輪。ワッシャ厚は0.8mmや0.5mmを適宜。カプラー高さに合わせたら、1.5mmほど低くなり、台車の隠れ具合がよくなった(次写真手前が加工済)。
車両重量に関しては、カプラーポケット間の全長が200㎜だから、NMRA推奨値は140g。前期ロットは添付の鉄板を用いてピッタリ、後期分は30g不足で補重。
MD&W 3000, Life-Like early-production
GB&W 54, Life-Like late-producton
MD&W 3049, Walthers, released in 2000
HTCX 370, St. Regis, Walthers, released in 2000
ライフライク製品は1975年のリリース(Tony Cook's website )。後期ロットは1986年以降?(HO seeker.net)で、Proto 1000でも発売。Bev-Belも手掛けた。
前期のモールドを使ってE&B Valley RR Co.が未塗装キットを発売(MR誌1982年6月号p43-46)。これもBev-Belが引き継いで同じように未塗装キットで発売.
NゲージではRed Caboose(MR誌2001年7月号p18-20 Intermountain HP)、OゲージはMTHが製品化(Walthers、MTH Electric Trains)。
■実車の開発秘話がTrainWebに出ている。マククラウド・リバーMcCloud River鉄道のアイデアで1962年にインターナショナル社(ICC、カブースのメーカー)が試作(IRCX 4501⇒PLYX 1000⇒MR 1000)。1967年にスロールThrall社へ40両を発注。
その後、スロールが大々的に売り出したようだ。なにせ、"THRALL-DOOR CAR"と名乗らせた。Trains誌1967年10月号p9には、end-of-car cushioning装備と書かれている(写真を引用)。
図面は、RMC誌1978年6月号p49にあるらしい。
実車写真がAtlas Rescue Forumで紹介された。2022-07-20
同様のオールドア・ボックスカーを、エバンス社とPCF社が製造。
■エバンスEvansは"Side-Slider"と名付けた(trademarkia.com)。Car and Locomotive Cyclopedia 1980年版p118に、図面付で紹介。同社広告と共に見開き2頁という豪華さ。
同書1984年版p241には次(2015-05-30追加)。
ライフライク製からのコンバート例がMR誌1979年8月号p108-110と、1985年8月号p109-110(後者には、スロール製から普通のプラグ・ドアに改造されたMcCloudのボックスカーも載っている:実車写真)。一ファンによるディテール写真(pbase.com、天井の骨組みは一見の価値)。
ところで、バックマンのオールドアがエバンスを謳っているけれど、真っ赤な大ウソ。プルマン・スタンダード社製のSR向け(過去記事)。
■PCF(Pacific Car and Foundry)社製は、Car and Locomotive Cyclopedia 1974年版pS3-15。キットバッシュは難しいか。
1970年代後半には、製材済み木材の輸送にセンタービーム・フラットカーが使われるようになって、オールドア・ボックスカーは消滅。1960年代後半から1970年代までと、寿命は短かった。
けれど、ファンには人気。実車写真もネットに豊富。例えばRailcar Photosで、"Car Type"に、"Box Car -All Door"のカテゴリーがある。
【追記】エバンスの"Side-Slider"が,3D Central Trainsというメーカーから発売された.詳細は鉄道模型情報室に.2024-02-07
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