MDCのダイキャスト床板50'ボックスカー(1)
Coupler-cushionizing projects, part 16: 50 foot boxcars with diecast underframe manufactured by MDC-Roundhouse (1)
ネット・オークションにUPのボックスカーが出品された。側面の地図に"Cushioned Load"の文字が入っていて、是非ともコレクションに加えたかったスキーム。よって少し高めで応札しておいた。
ブツはMDCラウンドハウスの50フィート・ボックスカーで、床板がダイキャストだから弄り難く、誰も手を出さないと考えたけれど、さにあらず。あれよあれよという間に当方の指し値と同額となった。
それで落札できたのだから、単なるツリアゲだったのかもしれない。よく聞く話。【画像はクリックで拡大】
ユニオン・パシフィック鉄道は我が国では特に人気なので、高めとなる傾向にはある。しかし、このダイキャスト床板は難物で、懲りた方が多いはず。
実は、手持ちをまとめて改良中だった。
次の一番手前が製品オリジナルの構造で、台車とカプラーを木ネジで止める。少し考えれば判るとおり、相手が金属のダイキャストだから、何度か着脱すると弛み易くなる。それと、カプラー高さが低くて台車には平ワッシャが必須(下シャンクの#27他を使う方法もある)。
真ん中と奥が改良の様子。
要は、カプラーポケットの内側を切り取ると、ケーディーの幅狭ポケット#262がスッポリと納まる。床上面にプラ板の積層1.2mm×3枚をネジ止めして、実質的には、ここにカプラーと台車を取り付ける。
カプラーは、1.0-1.5mm程度の座板を噛まして高さを調整。
台車は、インチねじ2-56×1/2"(山径約2.1mm、首下長約12mm)でセルフタップによって弛み止め。
床下面の一部リブ(根太)を削っているのは、車輪のフランジが当たりやすいため。回転ヤスリでゴリゴリやった。台車中心ピンにワッシャを噛ます方法なら不要で、カプラー高さも上げられるけれど、車体高さも上がってしまう。
そして、結果が次。
一番左が製品オリジナル。2番目が今回の加工品で#262に置換。3番目が、加えて2mm前方へ張り出して、クッション・カプラーを気取ったもの。一番右は、ディテールズ・ウエスト社の床板に丸々交換。
#262に頼る方法は以前の40’ハイドラ・クッション車でも経験。出っ張りが少ない気はするけれど、床板が床板だからこんなもの。もっと大きく切り取って、自作カプラーポケットとする手はある。
ブレーキ3点セットの配置は、説明書がおかしい。シリンダーよりも制御弁の方が中梁に近くなっている。次の写真で一番手前がそれ。一番奥がアキュレール製品。真ん中は真似して配置変え。制御弁が足りなくなって適当に繕っている。
台車は次の左が付属する。別売品の名が"Express Roller Bearing"といって、軸箱が独立したタイプ。1940-1950年代に新造の急送貨車が履いた。普通の貨車には用いられなかったので、BNとUPの4両は、右の軸端キャップが回るタイプの"Modern Roller Bearing"に取り換えた。これ、ASFライド・コントロールに似ている。
プレーン軸受のAARタイプ(所謂ベッテンドルフ型)でも時代的にはイケる。
車輪を金属化して、全重量は120g。NMRA推奨値に10gほど足りない。
クッション・カプラー化したモデルは2両。
BN車はマークと鉄道名の位置が変。理由は後述。
■UP 499842, Automated Railway, Cushioned Load
UP車は、塗装が2色で、印刷が6色とカラフル(4色刷?)。
"rail"と"way"を切り離して、前者に下線を引いた理由は、"automated"と共にトラック輸送との競争を意識しているのか。
UP色の他の2両は、クッション化を行っていない。手ブレーキ・ハンドルを塗装すると俄然、雰囲気が出てくる。台車や床下機器はシルバーかもしれない。
■UP 499192, We can handle it. (black letters)
■UP 499346, We can handle it. (red letters)
BNファンとして、この色彩と種類は羨ましい。ウォルサーズHOカタログ1996年版(下)には、他にも2種類。しかも、この時点で新製品(赤*印)が追加されている。カラーリングが多彩だから値段も倍ほど。こりゃあ、メーカーとしては美味しい。
>>これら3両のUP車はアップグレードの上、別記事に仕立てた(2020-11-20)
もし他にプラスチックの床板が入手できると、加工は楽。3つの方法を試みた。
■GM&O 1223, Cushioned for A Soft Ride ....Inside
ディテールズ・ウエスト製のクッション・アンダーフレームを使った例。床板が車体に較べて少し小さく、左右両側に0.25mm(次の写真で黒色プラ板)、前後に1.2mm(白色)のプラ板を貼って修正。したがって、カプラーの出代は1.2mm分だけ減少。また、床板の位置決め用に車体内側に0.5mm(黒色)プラ板を貼った。
ちょっとキツメの嵌まり込みとして、抜け止めは設けていない。
このキャッチフレーズで検索したら、ロック音楽?のアルバム名をヒット。なにか意味があるのかもしれない。
■SCL 821600, "Smooth Cushioned Load"
これは床板をアサーン・ブルーボックス用に、台車をアキュレール製に取り換えた。ディテールウエスト床板と同一の寸法調整が必要(2020-12-02追記)。
SCLは、別に"Service Customers Like."という標語も使った。
■CP 165194, Insulated Heated
この実車は床下にアルコール式の暖房装置を設備しているので、加工しやすいプラスチック床板をFMCモデルからコンバートした。もちろん大きさ的にはジャストフィット。(2020-12-02追記)>>改めて記事を仕立てた(2024-03-04)
一方、ガラクタ・ボックスの範疇はスライド・ドア車を含んだ5両で、うち4両をBN、UP車と同様に改造。ウッディーズ・トレイン・ショップ車だけはオリジナルのままで残しておいた。
■Woodie's Train Shop, Hazelwood Railroad
■CPIX 1933, RMC 60th Anniversary
■CPIX 1993, RMC 60th Anniversary
■ALP 9480, Lonesome Pine Route
■DRX 1992, NMRA Convention DiscoveRail
最後は、古文書探求。
新発売の広告は、MR誌1963年3月号p21(右)。"50' plug door box car"と呼んでいる。
UP車は、イエロー・ボディにレッド・レタリング。
そしてBN車の登場は、6年後の同誌1969年6月号p5(下)。なんと、BN発足の1970年3月より9か月も前。同時に6種類を発売。
これで、意匠が実車と懸け離れている理由が理解できた。ボックスカーは先行塗装されたCB&Q車を写しているわけ。ただ、このまま売り続けた神経が知れない。ことによると、買わされた製品は皆、当時からの売れ残り?
スライド・ドアは1969年12月号p20で初登場。"50 ton- 50 foot A.A.R. steel sheathed box car"となっている。後年は"50' AAR box car"と表示された。カタログ落ちはプラグ・ドアよりも早い1995年頃と推察される。
このシリーズを弄るのは、最後になるのだろうか?
【追記】BN実車塗装サンプルの写真を発見した。Trains誌1968年8月号p17。CB&Q、GN、NP、およびSP&Sの4社は1968年5月10日に合併すべく、ボックスカーの新しいスキームが経営陣に披露された。それがこれ。ところが土壇場で延期となり、セントポールに送り返されてカバーがかけられたとのこと。MDCがこれを参考にした可能性も無くはない。ボックスカー自体はCB&QのXML-4(またはXML-5)。2021-05-01
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