戦前の輸出向けOゲージ汽車セット
A pre-war O gauge train set for export, manufactured by Seki Electric Works, Japan
戦前、関電機がイギリスへ輸出したOゲージの汽車セットを入手した。ブランド名が「ストロンライトStronlite」で、こういうものの存在を田口達也著「ヴィンテージ鉄道模型大全(過去記事)」で知っていたのがいけなかった。【画像はクリックで拡大】
いくらソコソコの値段で美品だといっても、これ以上、新たなジャンルに手を出してはいけないとは重々承知。念のためにと調べたら、関電機はアメリカへも輸出していたことが判ってきた。そう、そんなわけで、これがカツミや天賞堂の先行事例という理屈が出来てしまったのだ。
冗談はさておき、完全なトイ・トレインである。売主の説明によれば、製造は日本のSeki。1931年にレミントン・スパLeamington SpaというところのBurgess & Colbourneが発売。箱には"Stronlite, Foreign"、"NO.4620 LMS"とある。"Japan"の文字は無い。厚紙製の収納箱はシッカリしている。ただし、レールが納まりきらない。まさか別物?
線路は8本組。軌道中心の直径が約735㎜。軌間は30~32mm程度。枕木長さ57㎜。なんと、カントが付いている。後年のカツミ製とは全く異なる。トランスは付属しない。
フリーランスのサドル・タンク機は、Leeds (LMC)社のコピーだという(オランダ・ファンのHP、メディカル・アートのHP)。もちろん絶縁劣化が必至なので、通電は御法度。
関電機は輸出用にいくつかのブランドを使っていて、英国向けにはStronliteとOxil, 欧州大陸向けはBryant。米国向けがSekiとBryant。オーストラリア向けにはMaraklin(綴りに注意)が知られているらしい(イギリスファンのサイト、英国コレクターのサイト、オランダのコレクターHP)。
英国のOゲージ・フォーラム、Sakai and Seki Toy Train Group
MR誌を検索したら、1991年頃に横浜の個人の方が「求む」欄に投稿していた。反応はあったのだろうか。
メーカーの歴史や製品の全体像は相当なところまで判っているようだ。ただ、文献資料が見つからない。例の「ルミネ街の汽車(過去記事)」でもダメ。Carstens出版の"Toy Trains of Yesteryear(アメリカ型資料室)"なんて本を買ってはみたものの、全く参考にならなかった。
我が国にも収集家が数多く存在していて、ことによると原博物館にだって相当数がコレクションされているのかもしれない。
まあ、これ以上は首を突っ込まない方がよさそうだ。
【追記】シカゴの"Leganger Bryant Company"なるメーカーが、"L. B. Track"という名の3線式フレキシブル線路を1940年代?に販売しているものの、関係は不明。英国ファンの頁 2017-03-17
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