MDCの40フィート・ボックスカー(3)
今回弄るのは最もよくお目にかかる、1978-2001年に製造された分。今の時代、こんなモデルに手を出すファンは稀有だろうが、まあ、自分自身が再び弄るときの覚え書き。以前に披露したものを、一から整理した。
(1)床板上面の加工
まず、車体を下げる算段。次の写真で奥がオリジナルで、手前がウエイト鉄板と取付用ボスを撤去した状態。鉄板の跡へ、0.7mm厚プラ板をキチキチの寸法で切り出して、貼り付ける。手持ちの関係で黒色を使った。白色で構わない。
次が貼り付け後。要は、床上面をツライチとするわけ。0.5mmでは薄過ぎ、0.7mmだと少し厚めだけれど、これでOK。
この両側のリブをナイフで切り取る。そしてヤスリで平らに仕上げる。
床板上面には、さらにプラ板を貼り付ける。厚さは1.0-1.5mm程度。当方は手持ちの関係と加工のし易さから1.2mm。目的は、カプラー取付ビスと台車中心ピンのネジ代確保、それに床板のユガみ矯正。次の写真では、このユガみが大きかったので2枚を重ねている。機能的には1枚で十分。幅は25mm、ウエイト鉄板に合わせた。
無論、引戸を開けた景色を楽しむことはハナから断念。
出入り口部両側に、床板上面ツライチとして1mm角のプラ棒を貼り付ける。長さは24mm程度。これ、床板の抜け止め。
1.2×25mmプラ板の中央出入り口部に接着剤が回ると、床板全長が凹形に変形するものの、車体へキッチリと填め込むには好都合。
(2)ステップ上部の切欠き
車体が下がると、床板にモールドされているステップ上部に支障する。で、現物合わせで削る。次の写真は少し削り過ぎ。これがBrass-solder氏のアイデア。
(3)カプラー・ポケットの加工
ケーディー・カプラーは、下シャンクの#147(ウィスカー)か、#27(板バネ)が適合。【注記参照】
問題は、ポケットの内幅が0.5-0.6mmほど広すぎることで、復元力が不安定な原因となる。よって、両内側面に0.25×1.5mmのプラスチック帯材を貼り付ける。0.3×1.5でもOK。長さは11mm程度。
キモは、写真でいったら赤丸部を0.5mmほど詰めること。ナックル・スプリングがここに当たらなくなって、飛ばしてしまうトラブルが減る(はず)。
(4)フランジが当たる床下面リブの削除
実車では根太(ねだ:joist)という部材。上写真の青丸部分を削って、車輪フランジとのクリアランスを確保する。カーブや分岐での脱線が減る(はず)。【注記参照】
(5)車体妻下部の切欠き
カプラーポケットの上面が車体と競合するので、現物合わせで削る。黄色丸部分。幅が9mmで、削り代が0.5mmくらい。
(6)ウエイトの取付
カプラーポケット端面間距離の146mmから計算すると、トレーラー重量のNMRA推奨値は110グラム。キット添付の鉄板だけでは25グラムほど不足。とりあえず15グラムを追加。残りはまたいずれ。
(7)屋根歩み板の取付
屋根歩み板は歪みの矯正がホネ。隙間の空いている足のところに流し込みタイプの接着剤を垂らして、指で押さえつける。10分ほどでくっ付く。一度に全部やらずに、2、3回に分けて。押さえる指に接着剤が回らないように注意。塗膜を予め剥がす必要は無い。
また、歩み板の厚さも悩み。木板製は、これでよいのだろうか。次のMDC50周年記念モデルでは異様に見え、薄いアキュレール製(鋼製スロット・タイプ)に取り替えた。
引戸下部のガイド用カギツメ(向こうの連中がクロー"claw"と呼ぶ部分)を、Brass-solder氏は躊躇なく撤去されている。でも、当方にはなぜか未練(笑) 引戸が開くと何かと便利。ただ、スライドが少し緩いのは困ったもの。
その他の注意点は、各部のバリ。特に屋根歩み板と手ブレーキ・ハンドル。台車枠は忘れずにチェック。
カプラー取付ネジはM2×8mm(黒)、下孔を1.6キリで貫通し、タップ切り。台車中心ピンは#2-56の8~12mm長程度。下孔は1.6キリで貫通し、こちらはセルフ・タップ。金属車輪はインターマウンテン製33インチ徳用パック。
このあと、アキュレールのブレーキ・リギングを床下に取り付けたいものの、手持ちが切れた。またいつか。
では、例によってコレクションを乞う御高覧。
British Columbia
この車の車端部は、旧来工法(過去記事)。思い余って、ステップにAライン製リン青銅帯板パーツを使っている。
【注記】適合するケーディー・カプラーについて混同していて、記事アップ後に訂正した。カプラー・メーカーの表に指定されている中シャンクの#5や#148では、台車中心ピンに1mm程度の座金(washer, shim)を必要として、その分だけ車高が上がる。その場合は、「(4)フランジが当たる床下面リブの削除」が不要。
【追記2】MDCの40フィート車の変遷をまとめていたら、この1978-2000年タイプの中に床下機器配置がアサーンのように左右逆になっているものを見つけた。保有11両のうち2両がそうだった。次の写真は発売年がハッキリしている記念モデルを並べたところで、1984年と1996年が左右逆となっている。もちろん車体シェルと床板の組み合わせがオリジナルのままという保証はない。何か御存知の方はおられないだろうか。2021-01-05
【追記1】このAARタイプが、MDCのアサーン併合後にReady-To-Rollとして生き残っているというのだから驚き。>>「アサーンRTRの40'ボックスカー(2)」 2017-05-01
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