バウザーの40'ラウンドルーフ・ボックスカー
このバウザーのキットは全体的に中々繊細。印刷はいうことなし。塗装のツヤは他に例が無いほどに強め。
屋根歩み板は薄め。実物並みなんだろう。にもかかわらず、取付ボス位置の上面にヒケ。細過ぎてスプールから切り出すのに苦労。
屋根の取付孔は程々の締り具合ではあるものの、足2個所が浮いて接着剤を流した。
側引戸のゲート(湯口)をカッターで押し切りしたところ白化。目立つので、流し込み接着剤をちょいと塗った。
手ブレーキ・ホィールも細過ぎて壊しそう。チェーン下の引き棒と、非常コックの表現が無い。
床下機器3点セットは別パーツ。制御弁の取付は少し隠れ過ぎのような気がしてわずかに浮かせた。実車写真を確認したわけではない。
カプラーは、軸を太らせるスリーブが入っていてビックリ。ケーディー用という。4個添付で2個を飛ばしてしまった。フタ取付小ネジは0-80と珍しい寸法だから紛失が怖い。
台車はコイル・板バネ併用タイプ(Bowser HP)。PRRの2D-F12(PRR Railfan.net コイルが左巻!)。金属車輪化は、アサーン長軸用が適合で、バウザー純正品に同じ。
ウエイト鉄板は、わずかに曲がっていたけれど、手で修正可能。錆びていたものの、面倒なのでこのまま。小ネジ止メって気が利いている。後刻に外して塗装できる。
組立後重量は98グラムで、NMRA推奨値に12グラムほど足りない。
床板の車体への嵌まり込みは、スムーズ。ピタッとはならず、少し踊る。床板全体をわずかに凹にシナらせようと思ったが、4個所の抜け止めが折れないかと心配なので、このまま。四隅のステップ(sterups)は細くて心許無い。
全体の感想は、設計者が実車に詳しそうということ。ただし、プラスチックモデルを手掛けるのは初めてと邪推。未塗装キットを作り込むにはいいかもしれない。ああっ、そのときは浮きモールドのハシゴが邪魔か。要するに、どっちつかず。アキュレール製品を見習ってほしい。説明書の左上にある11-94という表記から推し量って、1994年の発売というのなら、時代進歩的に納得。
果たせるかなMR誌1995年4月号p40-41に製品紹介記事があった。"wagon-top"と呼んでいる。同誌1966年6月号p32に図面。
■この説明書の裏面の実車解説はうれしい。もちろん、プロトタイプはペンシルベニア鉄道のX31。同一型式で、側引戸にシングルとダブルの両方があるとは知らなかった。SAL車は、1940年代にシングルを500両、ダブルを1,200両だという。プルマン・スタンダード社製なので、厳密にいえばX31とは異なる。
屋根がInset、Flush、Turtleと3種が作り分けられていて、うち前2者は、屋根板と側板の重なり具合が違うらしい。このモデルはFlush。
Turtleは、次の写真(メーカーサイトから引用)。
「1940年代前半に、ラウンド・ルーフ40フィート車X31aをJeep運搬用に改造した690両のダブルドアX31f。両車端のパネル1枚分を除く中央部の天井を約6"持ち上げて車内高さを約11’とした」という。屋根板の外面に露出したカーリンが異様。一体どうやってジープを積んだのだろうか。
SALのラウンドルーフもタートルバック(=亀の甲羅)と呼ばれるという前知識があったので、混乱してしまった。
ところで、ラウンドルーフは東部の鉄道というイメージだけれど、なんとNPが40フィート車を335両と、50フィート車を260両も保有した。1960年代に木材輸送用としてセコハンをリースしたのだという。合併でBNとなった後も数年間そのまま走っていたので、このモデルは塗り替えるつもり……っていう理屈は我ながら上出来(笑)
【追記】松本哲堂氏の御発言で思い出したチラシ。1995年頃のカタログに挟まっていた。これは40フィートのダブルドアで、他に40フィート・シングルドアと50フィート・ダブルドアをラインナップ。
そのカタログには元アサーンの金属モデルが紹介されている。組立説明書はHO seeker.netに(登録が必要)。
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コメント
バウザーのラウンドルーフ貨車のキットはプラスチック製と金属製と、1輛づつ持ってました。16番とは些か縁遠くなってしまったので、今でも手元に残してあるかどうか、記憶がかなり怪しいです。金属製の方はメンジースだったかの製品を、そのまま併呑して売り続けたんじゃないかと想像しています。販売時期としては、金属製のメンジース引き継ぎ製品を売り切ったので、自社生え抜きのプラスチック製品に移行したと言うことなのかも?。
>>ああっ! そうです! 1995年頃に送られてきたカタログにありました。記事の追記としてアップしておきます。バウザーが金属製を引き継いだのが1990年で、ラウンドルーフの発売が1994年! 符合しますね。20年前にこんなモデルは全くのアウトオブ眼中でした。【ワークスK】
投稿: 松本哲堂 | 2017/12/09 08:54