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2018/01/18

MR誌2018年1月号を手に取って

Impression of the January 2018 issue of Model Railroader magazine

Mr201801p1a 天賞堂に頼んでいた新年号が一昨日、届いた。定期購読をやめたのが2012年だから6年ぶり。
 注文した理由はいくつかあって、一番は新しい編集長の下で誌面がどう変わったのかを知りたかったこと。加えて、日本の模型店が未だ扱っているのかと懸念していた。同封されていた送付状は手書きで、実をいうと大いに心配。税込本体価格1,512円に送料300円だった。【画像はクリックで拡大】

 手に取ると、薄さは想定の範囲内。104頁が92頁に減っただけだから健闘といえる。6年前の定価5.95ドルは、7.99ドルと、34パーセントも値上げされた。

 誌面をメクってみると、大判の写真が多いことには唸る。レイアウトの情景はカメラ位置がどれも低く、奥行きが深い。冒頭に掲げた表紙もそう。特にp78-79の見開きはすごい。ネット上でも公開されている(Computer desktop wallpaper from the January 2018 Model Railroader)。

January 2018 model railroader wallpaper

 このピントの合い方は、今流行の深度合成ソフト(多焦点合成とも)を使っているはず。12年前のMRG誌が"Helicon Focus"のことを書いていて、当時はこの話をしても誰も信じてくれなかったものだ。それに、アマチュアが使えるようになるとは到底思えなかった(TrainLife Model Railroading誌2005年11月号)。(何度も見直していて気になってきた点は、視点の高さ。いっそのこと、もう少し下げて、人形の眼の高さにしたいもの。そうすればリアリティが増すのにと感じるのは私だけではないはず。カメラの制約なんだろうが、それが飯の種なのだし、表面鏡を使うとか金を掛けて何か工夫してほしいよな。2018-03-14追記)

 次の驚きは、製品紹介の多さ。16頁もあった。NMRA規格に合致などという言わずもがなの評価に加えて、何年か前の改良品だとか、表記が年代にマッチしないとか、シビアなコメントが増えたような気がする。目の肥えた読者=リベットカウンター、あるいはニット・ピッカーの反応を考えているのだろう。

 一方、車両を弄る記事はたった4頁。買ってきたままのボックスカーをチェックする方法だから入門者向け(Athearn 40' modern BN scheme)。車輪やカプラー、それに推奨重量を説明するだけの内容は、月並みというかウワベだけで、本音の部分を外している。ビギナーに配慮しつつベテランの役に立つ記事を書くことは同じ頁数で可能だと思う。
 表紙の最上段に"21 Fixes for a Reliable Car Fleet"とある。「信頼できる貨車編成のために押さえるべき21のポイント」ほどの意味だろうが、今どきの製品がそんなに確認しなければならないレベルだとは、メーカーと買い手を愚弄している。それと、トレーラー重量に5ケタの精度が必要か? こりゃあ、駆け出しに書かせたな。40年前の記事の焼き直し!

 p62-64の"Weeds and Junk"という記事では、レイアウトに加えられる小物を紹介。中でアルミホイルを使ったブルーシートがリアル。プライマーに触れていず、塗料が剥がれないか心配。レイアウト上に放置なら大丈夫か。フラットカーの積み荷とするにはどうすればいい?

 広告で確認したかったのは、デンバー近郊の「カブース」という店。世界最大を標榜した「カブース・ホビーズ」が昨年9月に廃業して、今年2月にその名を継いだ新しい店が開業し、MRH誌に加えてMR誌にも広告していると聞いていた。まあ、今のところは知名度を上げるために必要なんだろう。巷間ではこのご時世に、いつまで続くかと取り沙汰されている。

Mr201801p9c

 ここ以外に実店舗を構えていそうなところはTrainWorldを含めて数軒。巻末の小売店リストには139軒。6年前の2012年1月号は242軒で、約40パーセントの減少。こういう店をレンガ造り"brick-and-mortar"と呼ぶようだ。

 広告では、裏表紙のマイクロ・マークもビックリ。6年前は1/6頁大だった。商売が繁盛しているのかも。www.micromark.com

 p9には3種のホビーショーwww.trainshow.comと、p23にはマサチューセッツ州West Springfieldのショーwww.railroadhobbyshow.com 。この手の催し物は人を集めることができるのだろうか。そういえば我が国でも盛況だ。

 p17には、アーテルErtl製ダイキャストHOスケールの農業トラクターなどを各種掲載。このジョンディアJohn Deereグリーンは、フラットカーの積み荷に欲しい。ディーラーで買えるって、実物の店へ行けってこと? www.deere.com/en/

 p19では、"AirWire Wireless Battery Operation"。以前はGゲージだけだった。HOやOスケールでも売り出されている。ラジコン路面電車の機は熟しただろうか。www.cvpusa.com

 p20にRokuhan C005 e-Train Controllerなるものが紹介されている。ロクハン? HO、NとZというのだけれど、どんなもの? www.ztrackdistribution.com

 p65の"Enter Trainment Junction"は初耳。オハイオ州West Chesterにあって、25,000平方フィート(2,300㎡、700坪)で世界一広い鉄道模型展示だという。本当だろうか?www.EnterTrainmentJunction.com

 p84にタホ・モデル・ワークスが広告している。違いの分かる台車ファン御用達。www.resincarworks.com/tahoe.htm

 同じページでIHCホビーが「ハリケーン・ハーベイ」で売り尽くしセールという。おっと、広告からは"Texas"の文字が抜けた。www.ihc-hobby.com

 MR誌自体の中身紹介はここ。(広告には郵便所在地の無いものばかり。示されているのはネットのリンク先だけで、詳細はそちらということ。記事も同じ。この雑誌が紙に印刷されていること自体を疑いたくなってくる。2018-03-14追記)

 ところで、2010年の1月に直近10年の変遷をたどったので、さらに10年が経過する2年後の2020年にも振り返ってみたいと考えている。ところが、MR誌がそれまで存続するのかと危惧する向きも出てきた。未来のことは分からない。同じ年の7月に書いた大予言は外れまくっている。
 掲示板でのMR誌に関する話題はこちら。「カブース・ホビーズ」も。

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コメント

MRの内容紹介、興味深く拝読しました。
製品の紹介が多いのはどこも同じですね。
情報誌化は世の流れでしょうか、自作するより既製品(の加工)がほとんどのアメリカですから仕方ありません。

>>コメントありがとうございます。“忖度”が薄まってきたなあという感じがしました。問題はこれが読者に届くかでしょう【ワークスK】

投稿: Cedar | 2018/01/21 11:39

この話題を拝読した直後に、MRから読者アンケートの依頼がメールで届いた。30年位前だったか、定期購読で届いたMR誌の中に、アンケート用紙が入っていたことがあったが、今やコストを掛けずにこの種の調査が簡単にできる訳だ。

アンケートには。直近号の2月号の内容を採点する項や、自身の年齢、ゲージを問う項目などが最初に並んでいる。鉄道模型との関わりの現状を問う質問は、3択で回答は次の中から:

 1.活動的模型人。日常的に模型を製作し、レイアウトをいじる。
 2.ときどきやってる。折があれば、模型の製作や、レイアウトをいじる。
 3.安楽マニア。今は模型を作ったり、レイアウトをやってない。昔はやったもんだが、また将来再開するかも。

ウーン厳しい質問! 日本でも「模型やってる?」は、よく聞く質問なんだが、買ったり、走らせたりするだけなのは、彼我を問わず「やってる」には、含まないらしい?!

最後に出て来る質問が、今後を占うのに面白いかも。以下のトピックであなたの関心を惹くものは?、と云うもので6件ある。

1.3-Dプリンターの活用
2.家庭用レーザーカッターの活用
3.エア・ブラシを使った塗装、ウェザリング
4.スマホを使った機関車制御
5.LEDの活用
6.従来のDC又はDCCに代え、電池と無線による機関車制御

なぁんか、新鮮味に欠けるような気もするが、こう云う記事を載せておけば、2020年までは大丈夫かな?

>>確かに雑誌にとって読者の嗜好は死活問題ですね。ただし、設問の書き方は難しく、過去に逃げていった読者の理由は分かりません【ワークスK】

投稿: 宮崎 繁幹 | 2018/01/24 22:03

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