UPカブース用台車の記事補遺
A supplement for the article "Caboose trucks of Union Pacific Railroad" in Apr. 2018 issue of "Train" magazine
とれいん誌2018年4月号に記事を掲載していただいた。ユニオン・パシフィック鉄道のカブースについて、単に自分の興味から調べてきたものに過ぎないけれど、同じような疑問を持つ方はおられるはずということでまとめてみた。情報を詰め込みすぎたせいもあって読み難い文章になったことを反省している。これでもだいぶ端折ったのだけれど……。というわけで、お詫びを兼ねてここに若干の補足をさせていただく。
記事の一つの柱は、CA-1からCA-13までの流れ。型式毎のスペックの違いと、ビッグボーイやガスタービン、さらにはダブル・ディーゼルとの関係を簡単な表にしてみた。これは、当方の様なUPにデープではないファンに便利だと思う。加えて、同じエリエイが2005年に出したRails Americana 1を横に置いていただくと分かり易いはずだ。ここにカブースのモデル300両が紹介されていて、うち16両がUP。>>出版社の販売チャンネル
1939年から1980年までの年表中で、1974年の「安全窓化」については、アメリカ型鉄道模型大辞典の「セーフティ・グラス」をご覧いただきたい。冒頭のCA-4がアルミサッシ化されていることに関係する。1953年の「CA-6,ISH台車導入」は、1955年の間違い。本文中も同じ。型式一覧が正しい。
型式一覧の中でメーカー名の「P-S」はPullman-Standard、「ICC」はInternational Car Companyのこと。まあ、このブログの読者ならとっくに御存じ。
1979年登場のCA-11が該当する屋根歩み板無しの姿については、同辞典の「ルーフ・ウォーク」に書いている。1966年に禁止となり、1967年製のCA-9は新造時から無い。既存車も順次撤去された。
小さな黒色四角に黄色丸の印は「イエロー・ドット」。他にも「ファースト・フォーティーズ」、「ナショナル・スイング・モーション台車」など、疑問を持たれたときに便利な項目を揃えている。特に次写真のナショナル・スイング・モーション台車は、あちらのファンも名前だけで、どこがどういう風にスイングするかを知らない。
Car & Locomotive Cyclopedia 1997 p718
UPカブースの定番台車はOutside Swing Hunger、略してOSH。これは2008年にカリフォルニア州鉄道博物館で保存車を実見してきた。ブログ記事
この台車の如何にも近代的なところは、スイングハンガーが外側に出ていることと、ボルスターアンカー付きであること。また、枕バネに板とコイルを併用している点が注目である。これが1952年のCA-5から導入されて旧型車も取り換えられた。
ところが1955年のCA-6、100両だけが古風なInsaide Swing Hunger、ISHとなった。その後のCA-7~CA-10は全てOSHである。
CA-6はしばらくして、古いCA-3やCA-4からOSHを奪取してISHを押し付ける。高速運転のUP本線では使いものにならなかったのか、あるいはハナからその計画だったのか。次の台車フレームを示したメーカー写真で、左がOSH、右がISH。基本は同じで、わずかなパーツの相違だと見て取れる。どうしてこんなものを採用したのか、値段の差を知りたい。
Car Builders' Cyclopedia 1957 p919
元記事にも書いたように、このISHをGNが1958年の15両に装備した。これがBN時代まで生き延びているので、HOスケール製品を探している。OMI/Ajinの車体付パーツを買うしかないとは思う。
OSH台車の方は分売品を入手してフリスコSFSL車に履かせる準備が20年も前にできている……って、自慢にならないか。
参考にした資料を示しておく。
まず、Union Pacific Modeler Vol.2
この本でファースト・フォーティーズを知った。
Cabins, Crummies & Hacks Vol.4 the SouthWest
ネットではUtahRail.netを参考とした。
これ以外にユニオン・パシフィック歴史協会が"CABOOSES of the Union Pacific Railroad"という288頁もある大冊を出版している。ただ、値段が値段だけに手が出ない。 ここにCA-13の内の10両に装備というRockwell high speed台車の情報があるはずと睨んでいる。存在が確認できていないCA-2という型式についても記載があるだろう。
ところで、MoPac(MP)から引き継がれて、UPイエローに塗られたワイドビジョン・カブースを2004年4月にこのブログで取り上げた(元記事は2001年7月のメールマガジン)。他社から引き継いだカブースは概ね,Barber-Bettendorfのローラーベアリング台車を履いている(台車探求:カブース用スイングモーション台車).
UtahRails.netからレタッチして引用
UP CA-7 OMI/Ajin
UP CA-4 diesel era USH/KTM
UP CA-4 steam era USH/KTM
UP CA-1 IMP/KTM
【追記】ロックウェル高速台車について、MRH誌2018年6月号p104に情報が載った。1960年代後期にRockwel ManufactureingのLFM-Atchison Divisionが製造という。なんと左右動の緩衝に金属コイルバネの横剛性を使っている。汽車会社のエコノミカル台車と似ているものの、両方の側梁が2本の横梁で強固に固定されていて、レールへの追従性が心配。2018-05-28
【追記2】CA-10保存車の車内写真が,とれいん誌2023年12月号に載った.内部まで再現したい方には嬉しい記事だと思う.2023-11-20
ベイウィンドウのCA-13(RIからの継承車)は,同誌2024年2月号.キューポラ式では連結器の衝撃で高い位置にある座席から転落する事故が発生し,ベイウィンドウはこの点でも有益だという.なるほど.CA-13がICCのバリエーションでフェーズIVに分類というのは初めて知った.元ネタは何だろう.2024-01-31
【追記3】UP貨車の塗装とレタリングを解説したウェブページを見つけた.鉄道内部資料がふんだんに使われていて驚く.その冒頭は今年10月にRPMという催しで講演された内容で,概観となっている.それ以外に各車種についての詳細があって,最後のカブースにはスローガンの図案まで示されている.また,CA-2は発注されなかったという.>>Dick Harley's website 2023-12-31
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