鉄道車両技師 福島善清さん
当方の故郷は信州上田。西小学校に通った。ブリキの汽車セットを父親が買ってくれたのは二年生の頃。三年生となったら、3線式のOゲージがクリスマス・プレゼントだった。まあ、親が遊びたかったのだろう。ブリキセットの貨車を改軌してOゲージ上に走らせるなぞ、当時の私にできるはずがない。木や竹のほうが弄れて面白いから、ゴム動力の飛行機や船、自動車を自分で考えて作っていた。プラモデルも小遣いで買えた。
五年生となったときに教室が図書室の隣となった。そこで発見したのが、ポプラ社の少年産業博物館シリーズ。中に鉄道物が2冊あった。確か貸出不可だったと思う。来る日も来る日も入り浸って眺めていた。これが実物を知った最初ということになる。ご想像の通り、3線式が色あせていく……。なんと、このうちの1冊の著者が福島善清さんだった。
日本の鉄道車両(少年産業博物館:8 ポプラ社, 1955)
小沢俊雄, 福島善清 著(表紙は交通博物館陳列模型)
本来は色刷りのカバーが掛かっているようだが、私には記憶に無い。人気があって、すぐに失せていたのだろう。今、地元の図書館に取り寄せてもらいページを開くと、昔日の感激がよみがえる。
カラー口絵の湘南電車は衝撃的だった。当時はすでに"こだま"が登場していたけれど知る由も無く、これが最初に認識したカッコイイ電車となった。今このキャプションを読むと、当事者の前のめりともいえる意気込みをヒシヒシと感じる。
ディーゼル電気機関車の解説は、訪米の成果躍如といったところ。見るからにアルコの6軸機、RSDだから、この画が深層心理に働いてモデルを買った、というのは穿ちすぎ(アトラスO・モデル記事)。
ポプラ社のもう1冊は山中忠雄著「日本の国鉄」。これもいくつかのページを覚えている。
そう、「模型とラジオ」誌の前にこれらに出会っていたのだ(雑誌についての過去記事)。
さらに御名前を検索するとまたビックリ。なんと、趣味誌である鉄道ピクトリアルの創刊号に執筆されている。趣味人、あるいは筆が立つとして知られていたのかもしれない。
主に国会図書館のデータから、書かれたものを拾い出してみた。
鉄道ピクトリアル(電気車研究会)
1951-07:C62形はどんな機関車か【創刊号】
1951-10:アメリカの機関車を見る
交通技術(交通協力会)
1947-08:蒸氣機關車の現況
1948-06:運轉 機關車運用效率の昂上について
1948-09:C61、62形式機關車の性能と運用計画
1949-02:E10形式機關車の運用計畫
1949-04:機關車の運用と轉用
1949-05:將來の機關車
1949-09:機關車の油
1949-10:機關車の水
1950-02:機関車用石炭
1950-04:モデルシエツドについて
1950-07:機関車用ジエツト掃除器について
1950-12:アメリカ鐵道の瞥見
1951-03:米國に於ける機關車の變遷
1953-10:ディーゼル動車の製造会社 /共同執筆
1955-06:高速列車用ブレーキ機構
車両技術(日本鉄道車輌工業会)
1959-12:1本レールの高速列車(ALWEG)
鉄道業務研究資料(日本国有鉄道鉄道技術研究所監修 研友社)
1942-09:機關車の動搖(第一報) / 共同執筆
1943-04:機關車の動搖(第二報)―蒸氣機關車どんつき振動の本質に就て / 共同執筆
1944-08:機關車の動搖(第三報)―蒸氣機關車の上下動理論と軌條繼目及び分岐器轍叉に於ける衝作用の考察 / 共同執筆
鉄道工場(交通資料社 レールウエー・システム・リサーチ)
1951-02:米国鉄道における罐水処理
電気鉄道(鉄道電化協会編)
1949-10:電化の結果
1963-11:車両と運転(ソ連鉄道電化設備視察記)
1973-12:「春夏秋冬」23年ひとむかし
熱管理(中央熱管理協議会)
1952-03:アメリカ雜感(2)
汎交通(日本交通協会)
1952-04:デーゼル動力車の是非
1955-02:鉄道輸送の夢が実現―1本レールの高速列車
訪ソ鉄道電化設備視察団報告書(鉄道電化協会編 1964)
6-6 電気車両(福島担当)
6-7 電気運転(福島担当)
建設機械(建設機械編集委員会編 日本工業出版)
1982-05:ネオパイル工法と施工例
1987-08:埋込杭の技術進歩と新工法--先端打撃による低公害工法 /共同執筆
機関車の水処理 共著 缶水処理研究会刊 1952年
1914年愛知県豊橋市のお生まれで、1938年東京帝国大学工学部機械工学科卒。亡くなられたのは2007年、享年 93歳。元日本コンクリート工業副社長だという。
訪米記は事情があって順番が滅茶苦茶なので、目次から入っていただいたらと思う。
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