とれいん誌2018年7月号 砂焼き小屋と芦屋変電所
Some topics relating to sanding facilitie and substation in the July 2018 issue of Train magazine
近着の"とれいん"誌2018年7月号は興味深い記事が多い。巻頭のJR東日本189系は元信越線あさま用ということで愛着のある電車だし、表紙となった美唄鉄道の石炭積込設備は醸し出す物語性が豊か。
さらにエイジング・ストラクチャーの連載に登場した「砂焼き小屋と給砂塔」は、よくぞここまで再現と感動。ただし名称の「砂焼き」はいただけない。【画像はクリックで拡大】
これ、国鉄用語では「砂煎小屋(すないりごや)」が正しい。大阪鉄道局編纂1935年刊「鉄道用語辞典」p405は次のとおり。機関車のスリップ防止に車輪とレールの間に撒く砂を乾燥させる設備で、「砂箱」の項に蒸機ボイラーの上部に置かれる理由が記されている。
以前に掲示板で話題となった。アメリカでは"dry house"という。
国鉄編纂1958年刊「鉄道辞典」では上巻p305-306、機関車給砂設備sanding facilitiesの説明の中に「砂いり」の語がある。記事の給砂塔はここの図面とそっくりだ。
たぶん、サラサラで流れやすくするために粒の大きさを揃えるとか、砂の材質、海砂はよく洗う等々ノウハウがありそうだが、書いたものを見た記憶はない。
なおキット自体の名称が「砂焼き小屋」となっている。「煎る」なんていう単語は死語なのだろうか(とれいん誌の新製品紹介)。
■"コーヒーカップ"の国鉄芦屋変電所も興味深い。少し前に書いたように、関西を知った切っ掛けが京阪神の国電区間だったから、「なるほど変電所も必要だ」と改めて納得した。実は、この電化完成時の記念品が手元にある。
直径が約15ミリで、長さが150ミリの銅の棒。これ溝付硬銅トロリ線といって、いうなれば架線。くびれた部分をつかんでぶら下げる。下の部分をパンタグラフが擦る。
カミさんの祖父が国鉄在職中にもらったものという(別記事)。習字の文鎮に使ったために墨がこびり付き打ち傷だらけだけれど、右書きの「「昭和十二年十月 京都明石間省電全通記念 鉄道省」の刻印が誇らしげ。
でもこれ、少し変だ。底の部分が平らに減っている。新品は丸いはず。材質が銅だし削るのは大変。東京の電車区間の使用済廃棄品だろうか。社団法人鉄道電化協会1983年刊「電気鉄道技術発達史」p244掲載の寸法表に照らすと、下から2番目のものが近い。
ついでに当時の変電所一覧(同書p136)。昭和9年、1934年に芦屋、神足(こうたり)、明石(あかし)、吹田の4か所に設置されたことが分かる。直流変換は回転変流機Rotary Converter(RC)で、省線としては60Hz用の最初である。1基が2,000kWだから、100kWの主電動機20台分。2M2Tの2編成分というわけか。
戦後に取り換えられていて、略号のMRが水銀整流器Merecury arc Rectifierで、SRは半導体整流器Solid‐state Rectifier。
この本を読みこめばアメリカ型鉄道模型大辞典の信頼性をアップできるのだけれど、如何せん、詳しすぎる。
そういえば叡山電鉄の山端(やまはな)変電所が古風で趣のある建物だった。叡電図面集のために資料を探したけれど、シリコン化した際のシルエット的なものしか発見できなかった。あれっ、写真をどうしたっけ。
■静岡ホビーショー2018からの紹介は青島文化教材社、1/45のEF66が気にかかる(同社ブログ)。問題はパンタグラフかな。レイル106がこの電機の特集で、レイル107にも関連記事が載るという。
■"B級コレクター道"は、サクラメント・ノーザンのその1。この電鉄についての記事は本邦初だろう。その2が楽しみ。アメリカ型はこれだけ。
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