« PFM社ドン・ドリュー回顧録を読んで(2) | トップページ | PFM社ドン・ドリュー回顧録を読んで(3) »

2018/06/12

UPのインパクトカーは積付試験車

The track cleaning cars sold by Bachmann are imitating the UP's impact car UP 195220, for loading test. A similar car was the Japan National Railway's Ya-90. Also, John Allen's impact test cars are interesting.

01gDSC00312.jpg

 昨年、バックマン製の変わったアイテムを見つけた。軌道クリーニングカーといい、床下にレールを擦るパッドを備えている。上回りには見覚えがあった。積み荷の荷崩れ状態を車外から観察する試験車である。側面の鋼板の代わりに透明板と金網を張っていて、車内が丸見えとなっている。【画像はクリックで拡大】

UP195220_CBC1953p443.jpg

 Car Builders' Cyclopedia 1953年版p443の実車写真と較べると、異なるところが多すぎる。側板のパネル枚数から始まり、ヘラルド位置や台車型式など枚挙にいとまがない。しかし、忠実なモデルでなくても雰囲気が出ていれば枯れ木も山の賑わいとばかりに注文してしまった。

 バックマン製品がモールドを利用した標準型ボックスカーは10枚パネルで、間柱の位置にリベットがあり、ドアはコルゲート模様だから、こうなったのだろう。また、同社が常用するABS樹脂は透明が不可能なので、これはスチレンのはず。

 この手の貨車は通例片面だけを透明とするが、この製品は両面とも同じ。まあそのほうがアピールはする。予告されているマイクロトレインズN製品は実車通りのようだ。

MicroTrains_UP.jpg

MRH2013-05.jpg 台車はMRH誌2013年5月号に説明をみつけた。Gould高速台車といって、ペデスタル式で、軸バネと枕バネには共に、板バネとコイルバネを併用している。軸バネ付としながらスプリング・プランクレスなのだから両側梁はねじれる。蛇足ながら、この時期の軸箱式が全て失敗している理由は、摺板の摩耗が進むと蛇行動を発生と邪推している。
 このモデル製品はあったような気がして、一応探している。

 ここでは元々、クリーニングカーとして運転会で走らせ、その使用感を報告しようと思っていたのだけれど、2度とも参加できなかった。ちなみに重量は157グラムで、同社の普通の車に比べて25グラム重い。>>Cascade Green Forever!

実車についてはUtahRail.Netに詳しい情報があった。カラー写真も示されている。

 種車は1917年製のボックスカーUP124557である。1943年にオマハ工場で改修されUP195220となり、さらに1952年に試験車へ改造されて、操車場職員の教育に使われた。この車以後に北米の9鉄道が同様の車を導入し、イギリスやドイツ、ベルギー、日本からも問い合わせが来た。1963年に廃車となった。

 ならばということで、他鉄道のものを探してみた。呼び方は"transparent car"や"plexiglas car"等々様々。

ATSF_impactcar.jpg
AT&SFは車番が読み取れない。なぜか掲載はFrisco forum。Trains誌1954年2月号p6にも同じ写真があった。

L&N40550.jpg
L&N 40550。Classic Freight Cars, The Series Vol.7p34、1960年、Bill Folsom撮影

CN87989a_Trains1954-12p9.jpg
CN 87989は、塗色やスタイルが様々に変化する。写真は当初の姿でTrains誌1954年12月号p9から引用。マイクロトレインズNが製品化を予告。

 SPは50フィート車でマイクロトレインズNが予告。SLSF6000も見つかったが、写真が不鮮明。他にあったらご教示願いたい。

 さて、問い合わせてきたという日本は、もちろん国鉄。1961年にワム50000から改造された積付試験車ヤ90で、これは、皆さんよくご存知のはず。UP車を参考にしたとは愉快である。

JNR_Guide1965p205.jpg
誠文堂新光社1965年刊「客車・貨車ガイドブック」p205から引用

 時代を考えると、この後に積み荷固定装置であるローディング・デバイスや、車端衝撃を緩和するクッション・アンダーフレームが普及したことになる。この車が、貨車輸送の歴史において一つの転換点を示すと考えて間違いではないだろう。

模型をと探したら、MR誌にジョン・アレンJohn Allenの記事が引っ掛かった。1962年10月号p57-59である。

MR1962-10p58_John_Allen.jpg

 彼の目的は、列車に内緒で組み込んで運転技量を測るというもので、できれば衝撃の大きさを時間軸で記録したかったという。この図は、設定値を超えたときに床下のランプが点灯する仕組みだから、常時監視している必要がある。

 それ以外の効能では、車体を外して鋼球の動きを見ていれば、軌道の凹凸が如実にわかるといっている。ただし、次の2点が呑み込めない。どなたか解釈していただければありがたい。彼がベーカーカプラーを愛用していたことと関係するのだろうか。

Putting the car toward the end of a train, the ball points out coupler and drawbar surge. In fact, it showed that some lightly sprung draft gears produced too much surge for sensitive setscrew settings. It also brought attention to coupler design that requires too much impact to couple.

But the most surprising feature it registered was the smooth running of a loco mechanism. A very slight bind not even noticeable in operation showed up only too clearly as it set the ball rolling back and forth. In fact, when the channel depression was set to be quite sensitive, it was found that some locos we believed to be exceptionally free running still couldn't keep the ball out of the pocket. Putting the impact car near the front or rear of a train showed drawbar comparisons not suspected.

 そしてこれをウォルサーズが17年後に商品化する。次はMR誌1979年9月号p41の広告で、"Tongue-in-Cheek"=冗談シリーズの一つだという。

MR1979-09p41_Walthers.jpg

 仕組みが書いてないし、屋根上のランプが点灯する点は怪しい。たぶん、透明の側板に目盛りが印刷されていて、ボールの移動量を目視できるぐらいのことだと思う。お持ちの方のご体験をお待ちする。
 もちろん現代なら、ジョン・アレンが最初に意図した機能を容易に実現できるはずである。確かに模型列車の走行はLilliputian、縮小された自分が乗っていたと想像すると恐ろしくなる有様である。

【追記1】1973年5月号p36ミキストにジョン・アレンのエピソードが書いてあった。曰く「G&Dクラブの連中がスピードを上げすぎたりすると山岳鉄道らしくない運転だといって彼は電源スイッチを切ってしまった」という。2018-06-13

|

« PFM社ドン・ドリュー回顧録を読んで(2) | トップページ | PFM社ドン・ドリュー回顧録を読んで(3) »

ボックスカー・アトランダム」カテゴリの記事

コメント

号数は失念しましたが、とれいん誌に松・謙氏の書かれた紹介記事が載っていたように記憶しています。屋根裏に接点板?が仕込んであって、車内のレールの上に金属球を載せておく。運転が上手じゃ無くて連結時の衝撃が大きいと金属球が車端部まで転がって行き、車内のレール→金属球→屋根裏の接点板と言う風に回路が出来上がって通電すると屋上の電球が光る、、、とまぁ、こんな仕掛けじゃなかったでしたっけ?。この方法は面白いと思うのですが、車内の接点板のメンテナンスにはかなり気を使わなければならないような気がします。

なによりも、線路状態によって車体が傾いたら金属球が勝手に転がって行っちゃうので連結の上手・下手に拘わらず点灯するので厳密な試験は出来ないように思います。厳密な試験にこんな車輛は使わないかも(^^;;)。

積み付け試験、、、パレット荷役だったら、こんな車輛の必要性は無いですね。

>>MRHフォーラムにこの装置を再現した投稿がありました。ただし、鋼球が当たる部分をマイクロスイッチとして、作動したときは音を出すという変更が加えられています。わざわざ鋼球を使わなくても3軸加速度計で可能だという意見が付き、ジョン・アレン自身の作ったモデルのカラー写真も披露されています。
 なお全体として、彼の目指したものが忘れ去られている風ではあります【ワークスK】

投稿: 松本哲堂@風雅松本亭 | 2018/06/12 06:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« PFM社ドン・ドリュー回顧録を読んで(2) | トップページ | PFM社ドン・ドリュー回顧録を読んで(3) »