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2018/10/17

アサーンの57'メカニカル・リーファー

Coupler-cushionizing projects, part 21: Athearn Blue Box 57' machanical reefers

 アサーン・ブルーボックスでカプラーポケットがそのまま使える方法が揃ったので、いじりたかったストックを引っ張り出してきた。下手をすると20年ぶりにもなるだろうか、当時珍しかったクッションカプラー(ポケット)装備の57フィート・メカニカルリーファーである。次の写真の手前がそれ。奥はコンコー製品で、両者の比較は後半に。【画像はクリックで拡大】

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57mreefer

 まずカプラーの加工。改良点は4つ。①動作が安定しているウィスカー型を使う。②ポケットの一部を切り欠いてナックル戻しバネの当たりを避ける。③ポケットのフタの落ち止めとして小ネジを追加する。④左右復元力の確保に軸へヤクルトのストローを被せる。回転軸に塗料がのると左右復元が渋くなるので注意。
 燃料タンクは床板のみに接着し、台枠が着脱可能としておくと、後日の修理や塗装なので何かと便利。
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 中梁の中央に設けた丸棒は、ハイドラクッションの垂直シリンダーを模している。MR誌1989年7月号p129-132の、このモデルをSPFE車に仕立てる記事によっていて、キットに同梱されているカバードホッパー用のブレーキシリンダーを利用する(過去記事 右写真)。同記事には他に、エンジンの排気口をAエンド・Lサイド寄の屋根上に追設せよとか、スクリーンへ墨入れせよと書いてあるけれど、数をこなす上では大変。

 ここでトラブルが判明。一部のカプラーポケットの根元が折れていた。
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 慌てて切り取って、自作パーツ(過去記事)を取り付けた(床板が1.5ミリしかないので慎重にタップ立て)。組立済の中古を求めた3両6カ所の内、2カ所がダメだった。

 じっくり見ると、この部分のモールドが貧弱。金型設計者は多分、中梁に歪みの出ないことばかりを考えていて、本質的な強度確保のことを見落としたのだろう。情けない。
 中梁を床板に接着すれば、次写真の左の矢印の部分で強度をアップできるかもしれない。いずれにしろ、カプラーは取扱注意である。
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 キットに含まれる小ネジは2種類が2本ずつ。短い方の3/16"(4.6ミリ)がウエイト鉄板用で、長い方の1/4"(6.4ミリ)が台車用。どちらも短め。前者では、中古品にウエイト鉄板が外れているものがあった。小ネジが短くてメネジ山をナメて抜けてしまったようだ。また後者は、台車中心ピンに0.5ミリのワッシャをかますとネジ山の掛かり代が少なくて弛み止めとならない。そこで、台車用としてもっと長い3/8インチ(9.5ミリ)を買ってきた。こうすると、1/4"をウエイト鉄板用に回せる。(0.5ミリ厚ワッシャはカプラー高さを出すため。台車に心皿高さの0.5ミリだけ高いアキュレール製を一部の車に使っていて、ワッシャ無しとした。もちろん、クッション・カプラーポケットを新調したならばワッシャ不要=車体高さ適正とできる。2020-11-20)

 なお、大阪日本橋の「ネジのナニワ」で売っていたユニファイ・ネジUNC#2-56のナベ頭は2種類。共にステンレス製で、3/8"長が10個376円=1個37.6円、短い5/16"長が4個260円=1個65円と貴金属並み。よって購入は少しでも安価な3/8"長に限定してやりくりするしかない。

 ウエイト鉄板自体は床板の上面に小ネジ止めというスマートな構成となっている。
 これで全重量が137グラムほどとなる。車体長200ミリのNMRA推奨重量は140グラムであるけれど、クッションカプラーポケット間長さがそれより13ミリ長い213ミリなので147グラムが望ましく、10グラムほど足りない。まあ、またいつか。床板の抜け止めは写真では見にくいものの対角に2つ。これで何とか大丈夫。あっ、車体と床板とが反対……。
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 最後の作業はタッチアップ。BNスキームはロゴが側引戸ストッパーのモールドに掛かって、塗り残しがひどかった。
 Bエンドの手ブレーキハンドルを妻面の塗色に合わせると俄然、見映えが良くなる。ついでにカプラーポケットの突出し部を同色としてみた。面倒なので全車ではない。
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さて、この車のプロトタイプについてはRMJ誌1993年12月号p34-39にJames Eager氏が詳しく書いている。PC&F社が1969-70年に製造したPFE class R-70-20で、同型車がほかにATSF(SFRC)やBAR、Milw、GN(WFCX)、NP(NPM)、BN(BNFE)、Sooなどにも納められた。

 一方、冒頭に登場させたオレンジのCon-Cor製品は、PFEの1964~67年製のR-70-14、-15、-16だという(RMJ誌1993年3月号p35-39、型式については追記1も参照:2019-06-04訂正)
。実はこの製造年の差がスタイルに大きく影響している。本ブログ読者ならご存知のように、1967年以降は屋根歩み板が無くなり、既存車も順次撤去されている。
 このあたりを作り分けたら面白いと思い立って20数年が過ぎてしまった。今回はアサーン製品だけ完成させて御披露目。コンコー製品はもうしばらくストックのままとなる。

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 UPFEのクッションアンダーフレームはキーストンで、垂直シリンダー付のハイドラクッションではないけれど、とりあえずこうしておく。あとでいつでも床板ごと、はめ替えられる。

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 カラーには時代的な変化がある。勉強しなければ……。コンコー製品には冷凍機エンジンの排気口がポチッと表現されている。
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 なお、アサーン製品は台車中心ピンに0.5ミリ厚のワッシャをかました関係で、車高が54.0ミリとなった。プレートBの限界が52.8ミリだから、ちょいと高い。プレートCの54.3ミリはクリアしている。コンコー製品は屋根歩み板の無い状態で53.0ミリと、こちらも少し高い。ということで、両者の差は表現されていると判断してもいいだろう。アーチルーフとピークドルーフだから、数字以上に差があるように見える。
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 例によって、当方のコレクションはこちら


ハイドラクッションのシリンダーは少し長過ぎる気がする。

以下3両はウォルサーズ社からの発売という珍品。

 オイルショックなんて想像だにできなかった時代を設定して、こんなのを数十両も連結し高速大馬力のSD45重連で大平原を疾走させるなんて夢は夢のままで終わりそうだ。

【追記1】コンコーのプロトタイプをMR誌1993年11月号p43(Keith Thompson氏)は、1966-67年に25,000両が製造された"R-70-16"だとしている。また、製品の車体表記も同じ"R-70-16"となっている。2019-06-04

【追記2】大阪日本橋のナニワネジは,2023年6月で小売り店舗を閉めたとのこと.>>website

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コメント

お礼が遅くなりまして申し訳ありません。
先日の関西合運ではとても楽しい時間をありがとうございました。

この車両のカプラーはRTRになってもそのままの構造で販売されており、我が家の車両も同様にポケットの根元から折れました。
対策としまして、¨あの¨85ftフラットカーや86ftボックスカーから外したスイングカプラーを加工して全車両(5両)を交換しています。
娘に触らせる車両ですので、このままでは安心して使えそうもありませんでしたので。

>>コメント多謝。なるほど、あのヘタレのスイングポケット、使えますね。こりゃあいいことをうかがった!【ワークスK】

投稿: あっしー | 2018/10/17 12:38

いつも大変興味深くTPRを拝見させて戴いております。

UNC#2-56のビスはebayで1/10の価格で配送料無料で売っていますよ…。
但し,注文してから自宅に届くまでに約3週間位かかります。

ちなみに、このURLを御覧下さい。

貴殿のお役に立てば幸いです。

碓井 拝
Oct./18/2018.

>>御教示多謝。うわー、こいつは安い! おおっ中国広東省!【ワークスK】

投稿: 碓井 民朗 | 2018/10/18 14:37

ユニファイ小ネジが、たった今届きました。うかがってすぐにクリックしたら航空便で15日後。500本が28.63ドル=3,343円、1本6.7円。早い! 安い! 手軽! 恐れ入りました。

投稿: ワークスK | 2018/11/02 11:47

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