レタリング落しにはメタノール
どういうときにレタリングを除去したいかといえば、たとえばモデルの車番を変更する場合。もちろん塗装を傷めたくはない。車体全体を塗り変えたいときでも、レタリングの上から塗料を吹けばそれが浮き出てしまうから、この印刷部分だけを落としたくなる。塗膜もろともに剥がせば完璧だけれど、この塗装剥離という作業が思いのほかに大変。凝るつもりのないモデルでは、少しぐらい塗膜が厚くなったところで構わないこともある。
過去には、マイクロスケール社のデカール柔軟剤"Micro Sol"を使った事例がYouTubeにアップされた。ただし当方が試したモデルでは全く駄目だった。
そんな中、MRフォーラムに"methyl hydrate"という物質が紹介された。doctorwayne氏のヒント。なんだこれ? 辞書を引けば“メチル水和物”。さらに、“メチル・アルコール”のことだという。薬局で売っているかな? あっ、アルコール・ランプ用、燃料用アルコールだ! インターネット上に瓶入りで80%含有、残りはエタノールという商品が見つかる。近所のホームセンター・コーナンには95%+エタノール5%があった。500ミリ・リットルで300円ほど。ダメモトで買ってきた。エタノールの作用が心配になって発売元の大洋製薬(株)に聞いてみたけれど、もちろんわかるはずは無い。沸点を上げるために入れているらしい。
結果は冒頭の写真の通り。液体を綿棒に付けて擦ったらモロモロと取れた。綿棒自体に塗料の色が移ったものの、塗膜が薄くなった感じはしない。僅かに残った白い部分は、そのまま。徹底的に取ろうとすれば塗膜が削れていく気がする。また、擦ると塗膜面にツヤが出てくる。ほどほどで止める必要がありそう。
うれしくなって懸案だったモデルを引っ張り出してきた。あっという間にこの通り。すべてAHM/Roco製品。
続いてアサーンのウッド・ボックスカーにチャレンジ。次の写真の丸いマーク部分。こちらは失敗。レタリングが中々消えずに、しつこく擦っていたら塗膜まで落ちた。インクが塗膜の中に食い込んでいる感じだった。
インクや塗料にもいろいろあるということだろう。逆に燃料用アルコールが塗装剥離に使えることがあるかもしれない。イソプロピルアルコール(IPA)と何が異なるのかな。マイクロソルやソルバセットの中身はこれか? デカールに試してみようか。まだまだ疑問は山ほど残っているけれどボチボチと。
【追記1】香港クラウン製のゴンドラは、燃料用アルコールで塗膜が落ちた。>>EJ&Eゴンドラ 2019-11-15
【追記2】MDCラウンドハウスのグレインホッパーFMC4700も塗膜が落ちた。
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