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2019/11/10

香港クラウンの貨車(1)40'ボックスカー

How to upgrade freight car models manufactured by the Crown Products in Hong Kong, part 1: 40' boxcar

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ネット・オークションでときどきクラウンの貨車を見掛ける。落札されていくので、こんなレアなモデルをよくぞご存じと驚く反面、手に取ってガッカリされないかと心配もする。そのままではコロガリが悪く、ケーディーカプラー化も難しいのだ。
 もう半世紀以上前になる1963-1964年、マンチュア社向けに作られた香港製品で、日本でも出回った。私は、生まれて初めて手にしたアメリカ型ということで長い間、いじり倒してきた。その方法を紹介する。悩んでおられる方のお役に立てればうれしい。まずは加工簡単なボックスカー。【画像はクリックで拡大】

(1)クラウン製の見分け方

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写真だけを眺めると、こりゃあ、お値打ち、とクリックしたくなる。カプラーと車輪を交換するのは御茶の子さいさい、と早合点しても無理はない。

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裏返して、オォー! アサーンと同じ。床板が塗装済だ。台車はバネ入りだ。もうけた! むっ? カプラーのフタが焼き潰し。台車取付が木ネジ。

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床下中央部を拡大すると、丸い地球マークに"OK"の文字、さらに、HONG KONG、CROWN。これがクラウン製の証。(OKマークは後年の香港製品でもお目にかかる。金型メーカーだろうか? 2019-12-17)

(2)アサーンとの相違点

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手前がクラウン。奥がアサーンの初期製品(加工済)で、その6年前となる1957年に発売された。側引戸の構造まで瓜二つ。台車はクラウンがプラスチック(ポリアセタール)で、アサーンはダイキャストと異なる。

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この写真の奥はアサーンでも一般的なブルーボックス製品(加工済)。側引戸のカギ爪と、プラスチック(ポリアセタール)製の台車が識別点。なんとブレーキ機器配置のエラーまで一緒。

(3)床板の改造とカプラーのケーディー化

その方法は、アサーンと全く同じ。プラ板1.5ミリでウエイト鉄板を置き換えて、ウエイト鉄板は床板上面に両面テープで貼り付ける。魚骨フレームのカプラーポケットは切り取って、ケーディー純正のポケットを床下面にネジ止めする‥‥という手順。これは過去記事をご覧いただきたい。

(4)金属車輪化

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台車枠がみすぼらしくみえるが、いじっている間に表面の白い粉が落ちて、“信頼感”が出てくる。

まず、クラウンの台車をそのまま使う手法。単に車輪をインターマウンテン製9.5ミリ径(短軸:軸長約25.5ミリ)へ取り換えるだけ。クラウン・オリジナルの軸は1.4ミリ径のプレーンだけれど、インターマウンテンの軸受円筒部分の径が1.5ミリだから、ジャストフィット。これで十分なものの、少々コロガリが悪い。軸穴がスリ鉢上になっていないので、ピボット軸受ではなくてプレーン軸受というわけ。グリースを塗ると効果がある。費用のことを考えればこれでOK。トラックチューナーで軸穴を円錐状に加工しても、軸を支える部分の直径に変わりがないので効果はわずか。
 抜本的に改善するには台車ごと他社製品へ交換する。アサーン製を使う場合は、車体高さを維持するためにM3小ネジ用の0.5ミリ厚ワッシャを中心ピンにかます。

以上で終わり。重量(質量)は110グラムとなり、NMRA推奨値をクリア。あとはお好みで、ブレーキ機器配置を左右逆としたり、手ブレーキハンドルに車体色を塗るくらい。

ボックスカーは全部で6色が発売され、私はD&RGW、RI、NYC、それにPRRを手に入れた。他にGNとL&Nがある。
 ボックスカー以外には3ドーム・タンクカー、ゴンドラ、4台車フラットカーと鋼製カブースが出た。これらを順次、お見せしていく。
 もし1960年代後半から1970年代の間に買われていたのなら、どこで、いくらだったかをお教えいただけないだろうか。アメリカ型モデルの埋もれた歴史を何とか掘り起こしたいと思っている。>>コレクションはCascade Green Forever!

 


製品はブリスターパックで供給された。当時は珍しかったようだ。この姿でセコハン市場に登場することは滅多にない。


ブリスターパックの裏面には発売の全ラインナップが書かれている。


MR誌1964年1月号表紙裏の1頁大の広告に"Division of Mantua Metal Products Co., Inc."とある。発売元の広告はこれ一度限り。1963年々末のクリスマス商戦向けだったんだろう。

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