« AHMの6ドーム・タンクカー | トップページ | アサーンの86'ハイキューブ・ボックスカー(2) »

2020/01/10

アサーンの86'ハイキューブ・ボックスカー(1)

Athearn 86-ft hi-cube boxcars (1) Coupler-cushionizing projects, part 25

00img_0018
左が今回改造のアサーン製で、右が目標としたウォルサーズ製

30年近くも悩んできた表題のブルーボックス・モデルについて、新年早々にアイデアを思いついた。試作が上手くいったので御覧に入れる。要は、ウォルサーズ製の同様車と機能的に同じレベルに改造する方法である。【画像はクリックで拡大】

01img_0020

1.カプラーポケットのスイング化とクッション・アンダーフレーム化

基本的にはウォルサーズのコンバージョン・キット#933-997に、ケーディーのポケット#242を継ぎ足す。


Athearn 86' Hi-Cube Box Car instruction sheet

04IMG_2314.jpg
Walthers Athearn Coupler Pocket Conversion Kit ラベルはシアトル郊外に2001年頃まで存在したExpress Stationで、値段は3.98ドルだった。

 

12img_9979
(1-1) 継ぎ板には1.5mm厚のポリスチレン板(6.4×18.5ミリ、PS)を使う。コンバージョン・キットのスインギング・カプラーポケットは接着の難しいポリアセタール(POM)なので、これに2本の小ネジM2×2で留める。ミソは、天地を逆として、小ネジを超低頭タイプとすること。ポケットの厚さが0.7ミリで、ネジ代は1.3ミリとなる。もちろん、カプラー回転軸は削り取る。先の尖ったニッパーと平先の彫刻刀が便利。
 後者のポケットはポリスチレンで、継ぎ板に流し込みタイプの接着剤で接着する。長さを縮めるためにポケットの尾端を2ミリ切り取る。フタが外れやすくなるので、これまた低頭ネジM2×4で固定する。メネジ孔は継ぎ板に開けて、ネジ代は1.0ミリ程度となる。
11img_9983

(1-2) ケーディー・カプラー本体は#118 Metal "SF" Shelf "Whisker" Couplerを使う(同社サイト)。かつて同じ品番で板バネ・タイプがあったので要注意。Shelfカプラーは実車とは異なるものの、オーバーハングが大きな車両で発生しやすいカプラーの自然開放を防ぐのに極めて有効。

Img689a

この概念図は改造の検討。カプラー取付高11.5ミリと、床板下面高10.6ミリから、コンバージョン・キット取付のシムの厚さ(緑色)が1.2ミリと導かれた。しかし各部分には歪みや変形があるので、数字通りには出来上がらない。またカプラー・ポケットの上面とエンド・プラットフォームの間が狭いことが判る。2019-01-12追記

14img_9977

86shims2
コンバージョン・キットのシム(緑色)は1.0ミリ厚を推奨。計算上は1.2ミリ。車体ボルスターのシム(橙色)は1.2ミリ厚。

(1-3) 床板(19741)の下面に1.2ミリ厚のポリスチレン板を適宜切り出して接着してシムshimとする。ここにコンバージョン・キット全体を3本の小ネジで取り付ける。この厚さが、低頭小ネジM2×2の頭部分をクリアしつつ、カプラー高さを出す役目をする。なお、この1.2ミリという板厚は1.0ミリでも実用上は問題がない、というよりもお奨め。カプラーは元々垂れ下がりやすいから、少しぐらいは高めに取り付けた方が具合がよい。2019-01-11 6本のセルフタップ・ネジは、いずれもナベ小ネジで4本のM2×5と、2本のM2×6とする。ウエイト鉄板に支障させないため。2020-01-14

(1-4) 一方プラスチックの床板上面には、全面に1.2mm厚ポリスチレン板を貼り付ける(29×300ミリ)。もちろんこの作業は、床板下面へ加工する前に行う。厚さは1ミリでもOK。1.2ミリを超える場合には、後述する床板陥没止め(3-1)の取付位置を変えなければならない。ウエイト鉄板(90717)はその上から小ネジで固定する。
15img_0041
床板上面への1.2ミリ板(白色)貼付と、ウエイト鉄板(黒色塗装済)取付を示す。後者の*1は製品本来の小ネジ位置で、改造では*2としてカプラー高さの安定化を図った。

(1-5) 魚骨状のアンダーフレーム(19742)は車端部分を切り取って、コンバージョン・キットと競合しないようにする(キット説明書を参照)。車体ボルスターの切り取りについては後述(2-1)。

16img_9996
左はアサーンの説明書通りの組立で、右が今回の改造

(1-6) 車体妻面下部のカプラーポケットが干渉する部分を切り欠く。上手い具合に、この切り欠きはエンド・プラットフォームの下に隠れる。

(1-7) 改造の鍵となるパーツの入手が重要。アメリカで揃えることができるだろうか。日本に住む私は、低頭ネジに八幡ねじ(近所のホームセンターのケーヨーD2で購入)、1.2ミリ厚のポリスチレン板にはタミヤ製品を使った。
17img_0004b
ケーディー#118には#242が付属。私はカプラー本体のみ25両分のバルクパック#118-25とポケットのみ#242を別に購入。黒色の1.5ミリ厚ポリスチレン板のブランド名は失念した。

【追記】このモデルに悩まれているリポートを発見した。とれいん誌1983年1月号p57「工作台だより」で、東京都の星野智昭という方。アサーン製85フィート(原文のまま)のボックスカー3両とフラットカー4両を購入したものの半径900ミリで脱線する。そこで、カプラーの自由度を増やしてウエイトを追加した。そうしたらカプラーの高さがチグハグとなり自然開放を起こすし、重くなって牽引機関車を4-5重連とせざるをえなかったと書かれている。添付写真のレイアウトには勾配があって、難易度がきわめて高い。2020-08-28

|

« AHMの6ドーム・タンクカー | トップページ | アサーンの86'ハイキューブ・ボックスカー(2) »

アサーン・フリーク」カテゴリの記事

ボックスカー・アトランダム」カテゴリの記事

カプラーのクッション化」カテゴリの記事

コメント

切らない、脱線させないための飽くなき探求心と改修の工程が多いにもかかわらず成功の見通しを付ける構想力に感服致します。連結器を改修して再販されぬものかと私は易きに流れますから。

>>コメント多謝。GreenvilleとThrallをモデル化したアサーン製が発売されたのが50年前で、Pullman-Standardのウォルサーズ製は20年前ですから、新製品化の噂は間々耳にしますね。でもまあ、意に沿わぬモデルをこねくり回すのも趣味のうち。解決したときは無上の喜びというわけです【ワークスK】

投稿: 屋根裏親仁 | 2020/01/11 20:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« AHMの6ドーム・タンクカー | トップページ | アサーンの86'ハイキューブ・ボックスカー(2) »