サンタフェのノーザン4-8-4とスチール・カブース
この保存機についてはウィキペディア英語版に項目が立っていた。機関車の鎮座は1957年だという。1987年にカブースが追加されたときに線路長が足りずパイロットがはみ出したようだ。ネット上にはおびただしい写真がアップされているし、私は蒸機やサンタフェに詳しくないので、ここでは野次馬的に紹介してみる。ご助言をいただけるとありがたい。
Google Map, screen-shot on July 27, 2020
サンタフェの煙突といえばテレスコープ(望遠鏡)式を思いうかべる。これはUPも使った折り畳み?式。こちらの方が具合が良かったのか。
メインロッドのビッグエンドがフォークになっていて、第2-3動軸サイドロッドを挟んでいる(タンデムではない)。モデルでこの厚さが表現されているとグッと実感的。サイドロッドはどれも薄く、枕木方向の寸法取りにセオリーがあるようだ。我が国と違ってロッドが横方向から見てテーパー状をしているのは、両端の孔径(ロッドピンの外径)の関係か。
驚いたのが動軸の貫通孔。4軸とも中心にあいている。同行者の「軸の変形を検査するため」という見立ては、機械工学を愚弄している(笑) 新幹線300系の中空軸は超音波探傷の便と聞いていたけれど、これはちょっと小径すぎる。後日に判明した理由は、焼き入れの質量効果防止。車軸は強度をアップするために焼き入れを行うが、軸が太すぎると芯まで十分に入らなかったりムラとなる。それを防ぐため応力的に働きが少ない中心に孔を穿つという。なお、軽量化目的の例に国鉄の“こだま”型特急電車や“あさかぜ”型寝台客車が知られる(>>アメリカ型鉄道模型大辞典「車軸axle」)。
テンダー後部の連結器上部のものは、プラットフォーム・バッファーplatform bufferで、連結される客車の桟板が同じ構造をしている。コイルバネの作用で自動連結器の遊間を殺すわけ(これが緩衝器ではない点に注意)。アメリカでは自動連結器の草創期から採用された(過去記事)。我が国では新京阪のデイ100くらい。密着自動連結器(tightlock coupler, AAR type H)とどう関わるかのいう点は不知。仮説は、機関車は旅客用もすべてtype E(国鉄の並形相当)だった、でどうだろう。
テンダーは水も油も空だから台車のバネが伸びて、カブースの連結器とはこの程度の高低差がある。列車管と信号管、それに蒸気管が分かる。
このタイプのカブースは3回も話題にしている(PFM/フジヤマ製、香港クラウン+バックマン製、MDC製)。けれど、この車番がどういう由来を持つのかなど、調べる気力はわかない。せっかく保存するなら、レタリングなどをちゃんと入れてほしい。落書きの対象にならないだけマシか。
ところで蒸機について私のリストで調べると、Hallmark/Samhongsa製品が"とれいん"誌1995年1月号p7篠原模型店の広告に載っているくらい。ところがBLIのParagon3が発売中で現在も入手可能なようだ。実機解説は"SteamLocomotive.dot.com"。この英文は私には理解不能。
【追記1】宮崎繁幹さんがコメント欄で言及された書籍"The Illustrated Guide to Santa Fe HO Brass Steam Locomotive Models"は、表紙画像をお送りいただいた。2020-07-30
【追記2】ウィキペディアの「新京阪デイ100」をのぞいて驚いた。「緩衝器付幌は解結の省力化目的で、連結器の緩衝器の機能は無い」と書いてある。うぅぅむ。プラットフォーム・バッファーを知らないのかな。それと同等の自動連結器の遊間を殺す働きを下部のコイルバネに持たせ、上部の板バネは幌枠のピッチング抑止。密着連結器に馴染んでしまっていると連想できないのだろうか。2020-09-26
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コメント
蒸気機関車に関する本は、メリケンでも多く出版されている。米国の鉄道書の一般的スタイルに倣い、だいたいが鉄道別。サンタフェ(ATSF)についても出ており、その極め付けが、ここでも以前に取り上げたことがある“Iron Horses of the San Fe Trail”。しかし、蒸気機関車の模型だけを取上げた本は、そうは無い。しかも、それが特定の鉄道の蒸気機関車の模型だけを取上げた本だとしたら。そんな本、あるん? あるんです。その鉄道とは? まぁ、話の流れからして当然に、サンタフェ。“The Illustrated Guide to Santa Fe HO Brass Steam Locomotive Models”(1997, Redding Publications) が、それです。しかし、サンタフェのブラスモデルだけで、本が書けるかなぁ・・・、と思うんだが。西部の鉄道のビッグネームではあるが、UPやSPを差し置いて、サンタフェとは。普通の人はここの蒸気機関車(の模型)と言ったら、水色の蒸機として有名なブルーグース位しか、思い浮かばないんでは。だが、大型機の変形機などWESTSIDEが色々出しているし、ワークスKさんが触れている、HALLMARKも地元の鉄道で、各種出していて結構、色々なモデルが出されているわけです。件の3751classも、HALLMARKや、KEYが出しているほか、SUNSETも計画があったと云うことが、書いてありました。ただ出版が1997年なので、BLIのモデルは登場前であり、記載はありません。
>>ご紹介ありがとうございます。これらの本、入手するとなると昔は大変でしたが、今ではebayやbookfinderで自由自在ですね。お金に糸目を付けなければ‥‥【ワークスK】
投稿: 宮崎繁幹 | 2020/07/30 20:53