タンジェントのグレインホッパーPS-2CD4750
Pullman-Standard Co. producted over 56,000 PS-2CD4750 grain hopper cars between 1972 and 1981. The models manufactured by Tangent Scale Models since 2012 are the finest ever. However, there is a question about the mounting position of the brake cylinder due to its specification.
カバードホッパーが入った段ボール箱をひっくり返していたら、これが出てきた。すっかり忘れていた。ネットオークションで偶々安く落ちたのではなったか。思い起こせばタンジェント製品は2007年にPS-2CD4740が出たときに大喜びで3両を買い込んだ(第2次掲示板)。翌2008年のPS-2CD4000は史上初めての市販品ということで2両だった(第2次掲示板)。で、2012年のPS-2CD4750は食傷感からスルーを決め込んだ(第4次掲示板)。【画像はクリックで拡大】
パッケージから出した記憶がない。
他2社の製品と較べてみた。
左からタンジェント、インターマウンテン(手持ちの最新)、それにアキュレール。手すり類が金属線となったタンジェントの細密感は抜群。インターマウンテンは屋根歩み板の手掛けを折損している。空気ホースは黒く塗ったほうが良さそうだ。
妻面と床下面をブラックとしたタンジェント(左:PTLX/Tri-County)とインターマウンテン(右:PTLX/MFA)とでは、前者がハシゴの裏までブラックとしていることに驚く。この細い角棒をどうやって塗り分けたのだろう。
いくら超細密でも高価だし。これを20両といったら気が遠くなる。先頭だけにしてあとは安物という手はあるかもしれない。私はブルーボックス・モデラーを自認していて、車体高さが合っていてプロポーションがそれなりならOKだ。
■ところで、タンジェントは2両の間で異なるところがある。まず屋根歩み板。
一番左のTri-County車だけ丸孔が大きい。拡大すると楕円形のようだ。Soo車はピンクのインターマウンテンと同じ。お馴染みのMorton社製ではないのだろうか。
引っくり返して、中梁の造作が異なる。
四角錐(ベイbay)との取り合いも別物。車体表記の新造年が、ブラックTri County Grainの1974年と、ホワイトSoo Lineの1979年という作り分けかもしれない。Soo車はRサイド下辺に空気管を備える。ブレーキシリンダー(BC)が、車体か台車かのマウント位置を疑ってBエンドを確認すれば、共にシリンダーが無い。ということは、台車マウントとなるけれど、台車にそのモールドは無い。これはもちろんコスト的な都合なのだろう。パッケージの印刷デザインが違うので製造ロットということもありえるか。
まず予備知識を整理する。次はLife-Likeが1998年に発売したProto2000のPS-2CD4427(デカール未貼付は不問に願う)。
Rサイド下には列車管train lineが設けられ、中梁下のブレーキロッドでBエンドのBCからAエンド台車へブレーキ力を伝える。このロッドは実車の真横写真でよく判る。私がチェックした限りではPS-2CD4740もすべて同じ。これがセンターデスチャージの基本構造と考えられる。
一方、AC&F社のセンターフローには中梁が無い。
ブレーキ力をBエンドからAエンド台車へどうやって伝えるのかというと、BCを台車マウントとして圧力空気を管で送るわけ。BCは、各台車に2個ずつで1両4個。車体マウントの場合はBエンドに1両1個。上のアサーン製CF5250は両サイドの側梁下に空気管があって、Rサイド(上)が列車管で、Lサイド(下)がBC管。後者が少し細い(実車の話)。そしてBエンドには正しくBCのモールドが無い。(もちろん、BC車体マウントもあるので、ややこしい)
そこで、PS-2CD4750はどうかという話。BN所属では1974年製SLSF新造車(BN 445400-445699)の外観がPS-2CD4427と一緒。ということはBCが車体マウントとなる。これは断定できる。N&Wでは177715(177001-178000, 1973-1974年製)のBCロッドの様子が丸見えの横転写真が、Classic Freight Cars, The Seriesの第11巻"High Capacity Covered Hopper"の裏表紙裏に示されていて、その中梁形状はSoo車と一緒。
1979年製(BN 448925-449424とFDW459550-459649)はRサイドに列車管があって、中梁下にロッドが無い。なので台車マウントとなるはずだが‥‥。
そして、PS-2CD4750の改良型であるTrinity4750は両サイドに空気管が見えない。また中梁下にロッドが無い。
これは1992年刊"Burlington Northern Grain Hoppers"(free PDF file)という小冊子の2枚の写真で判明する。すなわち、BCは車体マウントで、ロッドと列車管は中梁の中を通していると判断できる。インターマウンテンPS-2CD4750は列車管だけ中梁を貫通しているように見える。
というわけで、ますます分からなくなってしまった。仮説は、タンジェントのSoo車はBC車体マウントで、製造年も間違っているといったあたり。
実をいうと、ACF CF4650の両サイド側梁下に空気管の無いロットが散見されるという疑問もある。モデルで再現するか否かは別問題で、単なる好奇心。どこかに解説は無いだろうか。皆さんからの御助言をお待ちする。
ちなみに高速運行の旅客車でBCの台車マウントは常識。目的はブレーキの効率と応答性の向上で、具体的には空走時秒が縮まってブレーキ距離が短縮される。長大編成の貨物列車は事情が異なるのかもしれない。
機能の面からは、列車管が露出していて破損によって空気が抜ければ列車全体にブレーキがかかり停止するので安全サイドとなる。これが自動ブレーキの根本原理。それに対して、BCロッドやBC管が支障するとその車両だけノーブレーキになってしまう。ただし、列車は複数の車両で構成されているからブレーキ力の低下は過少と考えることができる。それにもかかわらずTrinity4750がそれらを内蔵したということは、なんらかの法令的な規制が働いたとみるのが普通だろう。我が国でも1971年の富士急脱線事故の例がある。台車マウント・ブレーキは手ブレーキ力を1台車にしか働かせられないためという解釈は、採用する前から解っていたのだから当たらないはずである。
まあこんなことばかりに頭を使っているから手が進まないのだという御説教もいただいている。
プルマン・スタンダード系のカバードホッパー・コレクションはCascade Green Forever!のここをご覧いただきたい。
【追記1】MR誌の2013年12月号p80にタンジェントPS-2CD4750でBN 449127という車番の製品紹介があった。曰く、これは前年に発売された1970年代初期および中期のバージョンとは異なり、1979-1982年製造分である。違いは、①狭いルーフ投入ハッチ、②屋根歩み板の横断部分にスロープ付き、③大型のジャッキパッド、④中梁の三角フサギに丸孔あり、そして⑤車体肩部に縦リブ12本分に渡る補強付き(BN色のみ?)だといい、写真ではRサイドに列車管が通っている。BCについての言及はない。下は、私がインターマウンテン製をキットバッシュ中の様子。③と⑤を加工している。2020-07-24
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