カーラインの高級40フィート・ボックスカー
Researching Kar-Line Model Railroad Products Company, a third party manufacturer for HO boxcar models
とれいん誌1980年3月号p94-95 貨車はアサーン14両、MDCラウンドハウス2両、そしてカーラインが42両。
カー・ラインKar-Lineという名を知ったのは20年ほど前。当時、雑誌などの資料からアメリカ型の索引を作っていた。1頁ずつ繰りながらモデルや実車について写真や記述を探した。そんな中で“とれいん”誌1980年3月号の見開き2頁に貨物列車を見つけた。NPのZ8、4-6-6-4(PFM/Tenshodo)が牽引する60両のボックスカーにはそれぞれメーカーとしてA、R、Kとアルファベットが振ってあった。もちろん、“A”はアサーンで、“R”はラウンドハウス(MDC)と容易に推察できた。では“K”はなんだろう? 半数以上の42両も占めていて、これがカーラインだった。【画像はクリックで拡大】
先頃入手したキットの山の中に"KAR-LINE"の文字があって、記憶と結びついた。そして驚いたのは、デカール貼りだったこと。モールドは何の変哲もないアサーン製なのだ。同じような商売をしたメーカーには、ベブベル(Bev-Bel)やCMショップス(CM Shops)、サード・レール・グラフィックス(Third Rail Graphics)などがあるが、どこもタンポ印刷だった。
そりゃあ疑問に思う。こんな手仕事が量産品に太刀打ちできたのだろうか。
この写真は、上がアサーンで、下がカーライン。この時代のタンポ印刷の白色は“ミルクのような”と形容されるほどに薄く、不正確な表記と共にハイエンド・モデラーには嫌われたらしい(MR Forum)。そう考えると、この製品がブラス購買層をターゲットとしていたことが見えてくる。
まず、パッケージ。他社はアサーンのままなのに、独自の箱を用いている。初期の黒色フタミ箱(次の左:NH車)は高級感を醸し出す。後年は白の窓付箱(同右:ATSF車)に代わった。
箱の端部にアピール・ポイントが記されている。黒箱は、ケーディーカプラーとセントラル・バレー(Central Valley)のダイキャスト製台車を同封。白箱は、ケーディーカプラーと金属車輪で、余分に買うものが無いとしている。MR誌の広告を追うと、1961年10月号(p75)に始まり1973年まではセントラル・バレー台車を謳っていて、その後は金属車輪で1991年4月号(p12)まで。
ウエイト鉄板は片面を黒色に塗装済み。ただし手ブレーキハンドルと床板、魚骨フレームは未塗装。カプラーはMKD。
白箱は、手ブレーキハンドルが取付塗装済みに変わる。カプラーは#5。仕切りは完成後の収納を想定している。
黒箱のセントラルバレー台車(左)は、車輪に錆が出ていた。絶縁車輪側の空色マーキングが印象的。白箱(右)はポリアセタール製アサーン台車に金属車輪が組み込まれている。
次はセントラルバレーの参考用で、とれいん誌1980年8月号裏表紙の天賞堂広告。当時は我が国でもダイキャスト製が高級と思われていた。
なおこの台車は、心皿高さが約8ミリでアサーン純正よりも1ミリほど高く、取付孔は2.2ミリで3.2ミリのボスに入らない。ただし、このボスを切り取ってしまえば取付に不自由はない(注) 。加えてケーディーの取付高さがピッタリと出る。私は車体高さが上がるのを嫌って、あっさりアサーン製に交換してしまった。
あとは、NH車(白箱)のドアをブラックとして変化を持たせたくらい。組立はアサーンと全く一緒(過去記事)。
この時代、妻面右上の車番は感涙モノだったろう。例によってCascade Green Forever!に展示。【写真では車輪の取付を間違えて、NH車をカーライン・オリジナルの金属車輪としている】
次は、ウォルサーズ社の小売部門、ターミナル・ホビー・ショップが発行した1977年版カタログに掲載のラインナップ。この多様さはすごい。40フィート車が7.95ドルで、当時のアサーンはカタログ価格が1.98ドルだった。
(注):アサーンの台車取付について松本謙一氏が「一度ビスを一杯まで締め込んでから4分の1回転から半回転戻すぐらいがよい」と書かれた件は、このことだったのではなかろうか。とれいん誌1999年5月号の「本誌読者だけに教えるアサーン貨車キット攻略法(1)」という記事での話。
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