AHMのフレキシフロー・カバードホッパー
車端にデッキを備えるスタイルが面白いと、10年ほど前に中古品2両を入手した。ところが、調べれば調べるほど実車とは異なっている。この腰部の縦リブ付が1964年製の25両だけという点は納得するにしても、車体長が1スケール・フィート、すなわち3.5ミリほど長すぎたり、投入ハッチが楕円ではなくて実車は丸形(3個は正しい)、Rサイドの側梁下は列車管とBC管など、根本からおかしい。AHMの社長、Bernie Paul氏が写真1枚をRocoに渡して作らせたのだろうか。そうこうしていて2年前、ラピード・トレインズが製品化を発表した。しかも3バージョン全てだという。
■というわけで、あっさりと塗り替えで済ますことにした。まずはレタリング落し。本来なら塗装も剥離するべきだろうが、面倒。燃料用アルコールで綺麗にとれた。ちなみにアサーンやMDCはこれで塗料まで落ちてしまう。
デカールは、Highball Graphics社(official website)にMDTスキームを見つけて直接求めた。ちょうど2両分。同品は程なくして絶版。危なかった。実車写真は、Classic Freight Cars, the Seriesの第11巻p47をはじめ、ネットにもたくさん見つかる。塗色は、近所のホームセンターで入手した缶スプレーの灰色(D2オリジナル パステルグレー)がイメージ通り。(デカールの再発売を確認 2021-01-10)
カプラーを車体マウントに変更。台車はプレーン軸受だったので、ローラー軸受タイプをIHCの50’ストックカーから転用。これがスリ割り爪付の中心ピンでジャストフィット。車輪は、125トン車用38インチ=11ミリ径のはずが、いろいろと面倒なので9.5ミリ径(軸長26.5ミリ、台車枠がポリスチレンなのでグリス塗布)とした。
重量は、車体長162ミリのNMRA推奨値で119グラムとなり、40グラム(20×2)を追加。このところ私は、ヤマテ金属の貼付け鉛ウエイトを愛用している。10グラムと50グラムの間を5グラム刻みの合計約700グラム単位で入手可能。AHM製品にはウエイトが付属していなかった。
投入ハッチの形と、Rサイド(手ブレーキハンドルを背にして右側)の配管は、知らなければ気にならない。両車端のデッキ上にカプラー取付ネジの先が見えるのは気にしない。
さすがはロコRocoで、車端部や配管の造形と、複雑なスライド金型、さらにこの肉厚でヒケを出さない射出成型は当時として驚異的。AHMの情報収集能力が悔やまれる。妻面車番のデカール貼付には苦労させられた。
■AHM製品についてはTony Cook氏のウエブサイトを乞う御参照。専用のグレードアップ・キットを、プレイノPlano社が2014年に売り出した(当該サイト、適用例)。デカールは、NYCとConrailをMask Island Decalsが発売中。Penn CentralはHerald Kingが中古市場で調達可能。またブラスモデルはOMI/Ajinが1993年に出した(BrassTrains.com)。レジンキットはRail Yard Models(2012年廃業)。
Page 175 of the MR Nov. 1993 issue
Rapido Trainsのサイトはここ。なかでPC/CRのスケール・テストカーに転用された2両セットが面白そう。そろそろ出荷のようだ。MDTスキームは1964年バージョンが抜けていて、うれしくなった。調べた限りでは、MDTへの移籍車の内で897801がこのAHMと同じ1964年製のスタイルだった(Trainweb.org)。897800は希望的想定。
■実車については、コンレール歴史協会のサイトに詳しい。次の2枚は1999年刊"American Car & Foundry Company 1899-1999"からの引用。NYC向け220両とは別に製造されたというSHPX車7両は判らない。
次はカー&ロコモーティブ・サイクロペディア1966年版p206で、ここに"Length over strikers 46 ft. 6¾ in."とあり、これをHOスケールに変換すれば163ミリで、AHMモデルとほぼ一緒となる。ということは、犯人はこれか! いや、「12インチ長すぎる」と書いたMR誌1975年8月号p27の勘違いかも。根拠が示されていないし‥‥。
Page 206 of the Car and Locomotive Cyclopedia ("70-ton" is incorrect)
【追記】ACF製ではなくNACC製のフレキシフローについては,PD3000プレッシャーデファレンシャルの記事をご覧いただきたい.2023-12-22
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