AHMの50'エバンス・ブレッドボックス・コイルカー
詳細に見ていくと不満な点は多いけれど当方はもちろん適当に手を入れただけ.カプラーを車体マウント化して,重量をNMRA推奨値に近づけたくらい.
(1)カプラー
クッションカプラー化では,突出寸法をどれほどとするかが問題。ポケット#242をそのまま使って小ネジ止めするには車端部ランボードにメネジを開けるしかない。1ミリ厚の小ブロックを写真の箇所に追加して、境目のところを中心にメネジを切った。ポケットの取付小ねじにはM2.3×6という低頭ネジを使った.M2.3は,ケーディーの取付孔にギリギリ入る.要は緩みを防げるかもしれないという目論見で,インチネジUNC2-56のネジ山外径約2.1ミリよりも太い.
(2)台車
台車は、車輪径33インチ(9.5ミリ/HO scale)の70トンAARタイプ(プレーン軸受)が付いていた。これではあまりに貧弱なので、同じAHMの50'ストックカーからローラーベアリング台車を転用した。うまい具合にポリアセタール製。車輪を36インチ(10.5ミリ、短軸)に取り換えて、押しピンをそのまま使って取付けた。本来は125トン車なので38インチ径.
軸長が少し長くてフリーロールしない場合は、金属ピボット車輪を台車に装着して,軸箱の外側を金づちで叩くと,だいたい回るようになる.それでだめなら,0.5ミリ程度のドリル刃でスリバチ穴の底をほんの少し掘る。角度が付いてもOK。その後にトラックチューナーで浚(さら)う。
数の足りない分はアサーン製を充当した.これは,中心ピンにプラ棒で埋め込んで,小ネジ止めしている.
(3)車体まわりの加工
車端のハンドル類は取付位置が間違っているので,付け直し.手ブレーキハンドルは表裏が反対にしか取り付けられずに,この向き.車端デッキが狭すぎる.
ハイドラ・クッション用の垂直シリンダーは、いつものとおり,4ミリほどのプラ丸棒を接着した.それ以外に欠けたステップを0.8ミリ黄銅線で補足している.
ウエイトは,不足の34グラムを追加した.カプラーポケット間の203ミリに対するNMRA推奨重量は140グラムとなる.
さらに,あちこちに車体色を差して完成.
■この車両の図面と写真がMR誌1968年8月号に掲載されている.実車は,P&LE(Pittsburgh & Lake Erie)向け50両に,B&LE(Bessemer & Lake Erie)向け10両が製造された.カバーの手動操作が煩わしいと数年で普通の"フタ式"に改造されたという.
モデル製品は1972年にAHMが発売した後,同じ金型でライオネルやバックマン,ライフライクからも発売されたので,ネットオークションへの出品も潤沢である.
他に解説記事はLionel Freight Car Friday,加工例はMR forumや,MRH forum.雑誌ではProtype Modeler誌1986年12月号と,MR誌1989年11月号にある.
デカールがCMR Productsから各種発売されているので,キットバッシュに不自由は無い.
実をいうと,当方のモデルは2019年に完成していて,この記事も書き掛けていた.公開が遅れた理由は,車番が重複していたこと.P&LE車でもB&LE車でも,別のブランドなのに鉄道毎に同じ車番を付している.どうしたものかとアップを躊躇っていたところ,この製品を特集したHOコレクター誌2019年第4四半期号が到着して,その偶然に驚いた.その後,他のことに気を取られて忘れてしまった.
当方のコレクションはCascade Green Forever! P&LEの銀色カバーと,CB&Qスキームはフェイク.
【追記】表題に使った"bread-box"という呼称の起源は,NYCシステムの社内誌1966年7-8月号(pdf)に依るようだ.パンを入れておくケースのことだろうが,ネットで見つかる画像にイメージが共通するものは皆無.時代で形状が変化するのかもしれない.
"integral-cover"の方は,「(車体から取り外さずに)一体のカバー」という意味だと思う.
P&LE車の塗色はNYCのJade green.塗料とデカールが入手できれば不鮮明なレタリングをやり直せる.2024-02-26
| 固定リンク
「AHMの大いなる遺産」カテゴリの記事
- 京都隧道倶楽部の30周年運転会と記念ボックスカー(2025.06.02)
- AHMの50'ダブルデッキ・ストックカー(2024.02.26)
- AHMのフレキシフロー・カバードホッパー(2020.08.10)
- AHMの6ドーム・タンクカー(2019.12.19)
- AHMの40'スライドドア・ボックスカー(2022.07.18)
「カプラーのクッション化」カテゴリの記事
- AHMの50'ダブルデッキ・ストックカー(2024.02.26)
- MDCのダイキャスト床板50'ボックスカー(2)(2020.11.20)
- アサーンの86'ハイキューブ・ボックスカー(4)(2020.09.25)
- 珠玉のミニ・ハイキューブ・ボックスカー(6)(2020.01.29)
- アサーンの86'ハイキューブ・ボックスカー(1)(2020.01.10)
「ゴンドラゆらゆら」カテゴリの記事
- AHMの50'エバンス・ブレッドボックス・コイルカー(2024.02.25)
- AHMの40フィート・ゴンドラ(2019.11.30)
- 40フィート・ゴンドラにはパルプウッド(2019.11.22)
- 香港クラウンの貨車(3)40フィート・ゴンドラ(2019.11.15)
- ラ・ベル木造貨車キット組立の顛末(2004.08.02)
コメント