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2024/05/03

アーテルErtlの無駄にすごいボックスカー

The USRA 40-ft 40-ton double sheathed boxcar released by ERTL in 1997 is a Unnessesarily Awesome model too.

"ERTL"は「アーテル」と読んで,ミニチュアカーで知られたブランドである.そのアーテルが鉄道模型を発売したことがあった.1997年のことだ.貨車3種類と積み荷を揃えて,それなりにシステム的な展開を目論んでいたようだが,2年ほどで撤退してしまった.
 前回話題としたバックマンの"無駄にすごい"フラットカーを彼の地の掲示板で問い合わせたら,このERTL製品への言及が多かった.当方もボックスカーを入手していて5年前にCascade Green Forever!にアップしたモデルである.【画像はクリックで拡大】

この3枚の写真を見て,皆さんはどういう感想を持たれるだろうか.
 第一印象は,古風過ぎて一般受けしない車両……あたりだと思う.このUSRAボックスカーのみならず,フラットカーとゴンドラも魚腹台枠という1910年代に登場したスタイルだから,興味を持つのは一部のマニアックなファンといえる.メーカーが大量に売りたいなら人気のある蒸機とディーゼル機が混在したトランジション時代,さらにその後の馴染みのある型式が活躍する時代を選定するべきなのだ.
 USRAについては,アメリカ型鉄道模型大辞典をご覧いただきたい.

それと,下回りのウエザリングに違和感を持たれたことだろう.出荷時にウエザリング済という製品のハシリだと思う.しかも,こんなクセの強いウエザリングは疑問しかない.ボカシが入っているから,普通の技術ではない.台車と車輪まで同色とするのは相当の注意を要したはずだ.こんな冒険を冒す必要があったのか.

ブレーキ・リギングは立体的で,材質はABS樹脂のようだ.車輪がプラで,ウエイトが購入者に任され,定価30.50ドルでは高値感があったはずだ.
 当方は40グラムを補充し,車輪を金属製に交換した.ケーディークローン・カプラーは片方のナックル戻しバネが折損していて交換したいが、ポケットのフタが外れない.無理をして割ってしまうのが怖いのでそのままとしている.さしあたって機能に支障はない。

2020年にRapido社が発売した同型のモデルは,これの金型,あるいはCADデータを利用しているかもしれない.


カプラーポケットへのメーカー名の印刷など,無駄にコストを掛けている.


Walthers Catalog 1999年版から引用.


50'の記載は当然,40'の間違い.40-tonでもよかった.


リポーティングマークとヘラルドは大きすぎる.NEWとBLTの日付に矛盾がある.

ところでウエイト無しは,積み荷を楽しむという鉄道模型の新たな提案の一環のように当方の目に映る.発電機などの機械類や木箱など,各種の積み荷を別売していた.屋根板が外れて,二重床構造とし,側引き戸が可動と,その意味ではコンセプトの筋が通っている.フラットカーとゴンドラを揃えたのは,積み荷にフォーカスした結果なのだろう.

なお,このボックスカーを"まともな姿"に仕上げる記事がMR誌の1999年2月号に載っている.Paint Shopシリーズの3頁ほどの解説である.
 なんのことはない,アクの強いウエザリングは車体近似色でエアーブラシするだけだ.レタリングに掛かってしまうが,気にするなと言っている.
 そこまでするなら,大きすぎるレポーティングマークを何とかしたいから,全体を塗り替えてデカールを貼るという選択をするはずである.
 台車をアンドリュースへ交換せよという助言は的を射ている.

この記事の題名は,石原さとみ主演のTVドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」をモジっている.あっ,気が付かれていましたか.失礼しました.

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コメント

ウェザリングというものは、基本的に模型の所有者の感性に任せられるべきものと、私は強く思います。従って、私は新品中古にかかわらず、ウェザリング済の模型は一度も購入したことはありません。

投稿: 川口雄二 | 2024/05/22 07:47

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